馬胃潰瘍症候群

まとめ:胃潰瘍の原因も精製糖質です。精製糖質の過剰摂取、低たんぱく食が胃潰瘍を招きます。

馬胃潰瘍症候群(Equine gastric ulcer syndrome, EGUS)は、飼育されている馬によく見られる胃の潰瘍で、競走馬の罹患率は100%と報告されています。(2007, Bell)

一方で、放牧されている馬は胃潰瘍を形成することがほとんどないことが知られています。(1994, Murray)

馬において胃酸分泌刺激ホルモンのガストリンは、干草よりも穀物を与えた時に多く分泌されます。(1988, Smyth)

馬胃潰瘍症候群を防ぐためには、長茎の高品質な飼料を自由に選択できるようにします。乾草を与えて、胃酸のバッファーを確保する。穀物や濃厚飼料は控えめに与えます。(2009. Reese)

馬胃潰瘍症候群を防ぐためには、胃酸を緩衝する良質の乾草に自由に摂取できるようにします。タンパク質が pH の緩衝材として作用していることが指摘されています。(2003, Buchanan)

■考察

動物の身体は水以外はほぼほぼタンパク質で作られていますので、食物からタンパク質をいかに確保するかが大事なポイントになります。馬は本来は草食動物なので、草のみを食べるように身体は作られています。競走馬が100%潰瘍を作り放牧馬が潰瘍にならない理由は、穀物の摂取です。穀物の歴史は一万年程度なので、動物の身体の代謝に適していません。精製されていない穀物であっても、干草と比較すると、食物繊維が少なく糖質量が多く、タンパク質量が相対的に少ないです。穀物を摂取しても、胃は干草を摂取したと勘違いして同じ様に胃酸を分泌しますが、胃酸を中和するタンパク質量が相対的に少ないために、タンパク質である自分の胃壁を分解してしまい、胃潰瘍になります。穀物は糖質量が多いために、肥満が起こってきます。人間も同じ原因で、潰瘍と肥満が起こっていると考えることが出来ます。人間にも穀物は合いません。胃潰瘍を治すには、糖質選択とタンパク質の摂取がポイントです。歴史的には潰瘍は近代になって頻回に発生するようになりました(2014, Graham)が、これも穀物の大量摂取が原因と考えます。6万年の歴史を持つピロリ菌(2009, Atherton)は無罪ではないでしょうか?馬ではなく牛の話ですが、グラスフェッドビーフという高級牛がありますが、これは本来は当たり前の話です。グラスフェッドビーフは脂身の少ない牛ですが、これ以外の牛は穀物を大量に食べて、脂身の多い不自然な牛ということになります。人類は穀物を食べるようになり、飢餓を克服しつつありますが、その見返りとして現代病と戦うことになっています。