新型コロナとコルチゾール

まとめ:急性期の新型コロナ感染症において、コルチゾールは上昇しており、そのレベルは重症度と相関してます。新型コロナ後遺症においては、ME/CFSと同様にコルチゾールは極端に低下しています。

持続的なストレスに反応して副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが高くなります。コルチゾールは、いくつかのストレスホルモンのうち最も重要なもののひとつです。

急性期の新型コロナ感染症では、コルチゾール濃度が 2 倍になると、年齢、併存疾患の存在、および臨床検査で調整した後、死亡率の危険性が 42% 大幅に増加することが示されました。(2020, Tan)

重度のCOVID-19の患者は、軽度から中等度のCOVID-19の患者よりも高いコルチゾールレベルを示したことが明らかになりました。(2022, Amiri-Dashatan)

新型コロナ後遺症では、コルチゾールが極端に低下しており、96%の精度で後遺症の患者さんを識別できるバイオマーカーであると指摘されています。特定の自己抗体の上昇は見られないものの、ヘルペスウイルス(EBウイルス、帯状疱疹ウイルス)の抗体の上昇が見られます。(2022, Klein)(2022, Klein)

(HC:健康対象者、CC:回復期対象者、LC:新型コロナ後遺症患者)

日本のコルチゾールの基準値は、5〜20μg/dLです。検査機関によって基準値は違いますので、日本の基準値であれば下限の5μg/dLに近い値であれば、コロナ後遺症の影響を疑います。コルチゾールは日内変動が激しいため、朝10時までの血液検査が必要です。

ME/CFS の患者は、HPA 軸の機能不全を示し、コルチゾール低下症を引き起こし、コルチゾール覚醒反応が弱まります。循環コルチゾールレベルが低いことがME/CFSの特徴のひとつです。(2019, Cortes Rivera)(2012, Papadopoulos)(2013, Powel)(1998, Strickland)