ナットウキナーゼは本当に効くのか?

まとめ:ナットウキナーゼが、新型コロナワクチンで作られた体内のスパイクタンパク質を分解出来るかは疑問が残ります。

ナットウキナーゼの分子構造は、275 個のアミノ酸 (分子量 27 724) から構成される単一のポリペプチド鎖です。(2010, Yanagisawa)

SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に対するナットウキナーゼの分解効果が報告されてから(2022, Tanikawa)、ナットウキナーゼのサプリが売れているそうです。

ナットウキナーゼは、経口摂取した場合は胃腸の胃酸や消化酵素でアミノ酸やペプチドに分解され、酵素としての性質を失います。分解を免れたものも分子が大きすぎて、そのまま腸の細胞の中に取り込まれて血中に移行することはありません。分解吸収されたペプチド断片等の薬理作用の可能性が考えられますが、経口摂取したナットウキナーゼが消化管から吸収されて血液中で作用する明確な根拠はなく、さらなる研究が必要とされています。(2020, Nakamura)

ナットウキナーゼをヒトの臨床に応用した研究は、今日までに十分な結果は出ていません。(2018, Chen)

この研究では、試験管内でスパイクタンパク質と275個のアミノ酸で構成されるナットウキナーゼを合わせると分解効果があるということです。

実際の生体内では、新型コロナワクチンで作られるスパイクタンパク質は主に血液中などに存在しますが、ナットウキナーゼは消化器官でバラバラに分解されますので、出会う機会がありません。

ナットウキナーゼは、動物実験で胃酸に耐性があり消化管で吸収されて、酵素活性を示すことが報告されています。(2011, Fujita)(1995, Fujita)(2017, Weng)

一方で、基礎研究にてジ・トリペプチドトランスポーターによる輸送で、タンパク質が分解したジペプチドおよびトリペプチドまでは吸収が可能であるが、それより大きなペプチドが吸収できるという証拠はほとんどないことが結論付けられています。(2014, Miner-Williams)(1999, Frenhani )(2002, Brodin)(2003, Nielsen)(2008, Rubio-Aliaga )

体内に侵入した異物タンパク質は、アミノ酸が5つから7つ以上に連なったペプチドは、異物タンパク質と見なされて抗原抗体反応の対象となり、分子模倣から自己免疫疾患を発症させる原因となります。(コロナワクチンが危険な理由、荒川)

つまり、体内に侵入したアミノ酸は、3つ(トリペプチド)までは免疫反応の対象になりませんが、5つ以上であれば、免疫反応の対象になります。これが、ワクチンやリーキーガット症候群で自己免疫疾患が発症してくるメカニズムの基礎です。

ナットウキナーゼは、「血圧を下げる」「ダイエットに良い」「免疫力を高める」「血液をサラサラにする」などと言われており、高血圧に対して有効性が示唆されているものの、その他については、情報の信頼性が高いとされる研究方法で検討した報告は見当たらない、もしくは現時点で十分ではないと警告されています。(国立栄養・健康研究所)

ナットウキナーゼの線維素溶解特性を持ち、血栓溶解剤としての効果を期待されていますが、大動脈弁置換術後のワルファリンで管理されていた患者を、ワルファリンなしでナットウキナーゼを1年近く服用した結果では、患者は機械弁に血栓を発症したことが報告されています。ナットウキナーゼは、弁置換後のワルファリンの代用として使用出来ないと報告されています。(2015, Ekahi)