起立性調節障害の薬物療法

起立性調節障害は、高タンパク食を中心とした栄養療法が基本ですが、薬物療法も有効です。

成長期の起立性調節障害(orthostatic dysregulation)は、身体の成長に伴って軽快してきますが、症状の改善を早くするために対症療法的に薬物療法を併用する方法もあります。

1.ミドドリン(商品名 メトリジン)

アドレナリンα1受容体を選択的に刺激することによって、血管を収縮させて血圧を上げます。

起立性低血圧、再発性反射性失神、POTSに対してミドドリンは、海外でも評価は受けています。(2014, Izcovich)(2011, Chen)

2.プロプラノロール(商品名 インデラル)

アドレナリン非選択的βブロッカーとして働き、血管の弛緩(拡張)を阻害して、循環血漿量を保持します。一方で、β1作用の心拍動を抑制するため、返って血圧が下がる可能性があります。頻脈を伴う起立性調節障害に有効で、頻脈を伴わないケースでは逆効果になる場合があるので注意が必要です。

プロプラノロールは脂溶性のため脳内移行してうつ病を招くリスクが指摘されているので、高用量ではなく20mg以下が推奨されています。(2006, Steffensmeier)

3.グリチルリチンおよび甘草

グリチルリチンは、医薬品やサプリでも存在しますが、漢方薬の甘草にも含まれています。グリチルリチンはアルドステロン様の作用を持ち、腎臓でのナトリウムと水分の再吸収を促す作用から、ナトリウム依存性に循環血漿量を増やします。

起立性調節障害によく使われる漢方薬は、苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)です。甘草が多く含まれる一般的に処方される漢方薬は、芍薬甘草湯です。副作用としての低カリウム血症をチェックするために血液検査が必要です。

4.その他にメチル硫酸アメジニウム(リズミック)、メシル酸ジヒドロエルゴタミン(ジヒデルゴット)があります。