脂肪酸4分画〜オメガ3、オメガ6のバランスを見ます

(2020年9月26日の記事を加筆、修正しました)

脂肪酸4分画の検査を行っています。(要採血、保険適応外で3670円)

オメガ3、オメガ6のバランスを知ることが出来ます。

必須脂肪酸は、植物油に含まれるリノール酸や畜産系の動物、卵、乳製品に含まれるアラキドン酸(AA)を代表とするオメガ6系と、アマニ油やエゴマ油に含まれるα-リノレン酸や多脂魚に含まれるEPAとDHAを代表とするオメガ3系に大別できます。

魚脂中に含まれるn-3系のEPAやDHA は抗血栓、抗動脈硬化作用のあることが明らかにされています。

EPAは炎症抑制性のメディエーターを産生して炎症を抑制します。一方、アラキドン酸(AA)は炎症促進性のメディエーターを産生して炎症を促進します。そのため、この両者の量的バランスを示すEPA/AA比は動脈硬化などの慢性炎症性疾患の指標として注目されています。

子供の脳の成長にはDHAが重要であると言われています。

アトピー、喘息、花粉症、慢性湿疹などのアレルギー疾患のある人は、まず第一に植物油を出来るだけ減らして、アルレギー症状の燃料となるアラキドン酸(AA)が増えないようにします。

これで症状の治まる方が多いですが、不十分な方は畜産系のタンパク質の摂りすぎに注意します。

ただしこの畜産系のタンパク質は重要なタンパク源でもありますので、アレルギー症状とのバランスで、摂取量の検討が必要です。

また、穀物中に多いリノール酸は、濃厚飼料依存度の高い牛で高い値を示しますが、α-リノレン酸は牧草摂取量の多い牛で高くなることが知られています。(農研機構)(2010, Delay)

オメガ3を多く含むグラスフェッドビーフなどが高価ですが、理想的なタンパク源のひとつと言えます。

EPAとDHAは、多脂魚に含まれていますので、不足されている方はこれらの魚の摂取を検討します。

海遊時間に比例して水銀が蓄積して来ますので、鯛より大きな魚は控えめにすることを勧めています。

食べものからEPAとDHAを十分に補えない場合は、以前はサプリや医薬品を検討していましたが、現在は推奨していません。(オメガ3が怪しくなってきた

α-リノレン酸はえごま油や亜麻仁油から摂取することが出来ますが、α-リノレン酸のオメガ3脂肪酸へのヒトでの変換効率は5%以下と低いので(2002, Brena)、オメガ3の摂取源としては効率的ではありません。

EPA/AA比が0.3レベルの方は食生活見直して、理想値の1.0を目指すようにアドバイスしております。

さらに脂肪酸の詳しい検査を希望の方は、トランス脂肪酸、総オメガ3、総オメガ6を測定出来る海外の検査などをご案内しています。