旧株のワクチンを打つと逆効果になります

変異の激しいRNAウイルスに対するワクチンは、常に周回遅れ、つまり次々と新しい変異株が発生するのに対して、ワクチン株が常に旧株になってしまっていることが知られています。

抗原原罪(original antigen sin、免疫の刷り込み)とは、最初に感染したウイルス抗原に対して免疫が獲得された後に変異ウイルスに感染した場合、新たに持ち込まれた変異抗原に対しては抗体産生が抑制される現象です。

激しい変異を繰り返す新型コロナウイルスに対するワクチンは、常に周回遅れになっていますが、旧株に対するワクチン接種によって、変異した新株に感染した際に、旧株のワクチン株に対する抗体産生を盛んに行ってしまい、新株に対する抗ウイルス抗体が十分に作ることが出来ないことが報告されています。

ハムスターを用いた実験データにより、新型コロナmRNAワクチン接種を3回受けたハムスターと受けていないハムスターの、オミクロン亜変異体に感染した後の、免疫応答を比較しました。ワクチン接種を受けていないハムスターは、効果的な抗ウイルス抗体を誘導出来ましたが、ワクチン接種を受けたハムスターは、効果的な抗ウイルス抗体を誘導出来ませんでした。

ワクチン接種を受けたハムスターは、変異株の感染によっても旧株のワクチン株に対する抗体産生を盛んに行い、変異株に対する抗体産生が不十分となります。

この結果は、抗原原罪(刷り込み免疫)が存在することを示唆しています。(2023, Fujita)