肺脹(肺気腫)の中医治療

肺脹とは、西洋医学での肺気腫のことです。

肺気腫とは、主にたばこの煙が原因となって肺胞(呼吸の際に酸素と二酸化炭素の交換が行われる部位)に慢性的な炎症が生じ、構造が破壊されて肺の機能が低下する病気です。この肺の構造破壊は胸部CTにより診断することが可能です。肺気腫は、現在は慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれます。

実証
寒飲射肺風寒の外邪による悪寒発熱、痰は希薄で量が多い、口渇、飲みたがらず小青竜湯加減
痰熱壅肺風寒または風熱の外感が熱化、発熱するが悪寒なし、痰黄粘調清気化痰丸加減
虚証
肺腎両虚:肺腎気虚久咳が止まらない、動けば気喘(痰が喀出しない喘息)人参蛤蚧(ごうかい)散加減
     肺腎陰虚久咳が止まらない、動けば気促(呼吸数の多い呼吸困難)、手足心熱
脾腎陽虚冷や汗、冷え症金匱(きんき)腎気丸加減
閉証(症状が重篤化)
寒痰内閉四肢は冷涼、精神恍惚三生飲加減
熱痰内閉顔面紅潮、うわごと、胸中悶脹、精神もうろう
脱証(症状が重篤化)息切れ、激しい自汗、精神もうろう四逆湯加減

小青竜湯加減:麻黄、細辛、半夏、五味子、生姜、桂枝、芍薬

清気化痰丸加減:半夏、橘紅(きっこう、陳皮)、茯苓、黄芩、枳実、杏仁、胆南星、栝楼仁

人参蛤蚧散加減:蛤蚧(助陽、止咳)、人参、茯苓、甘草、杏仁、貝母、知母、桑白皮

金匱(きんき)腎気丸加減:附子、山茱萸熟地黄、茯苓、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、桂枝

三生飲加減:天南星、木香、附子、川鳥頭、胆南星、生姜

四逆湯加減:附子、乾姜、甘草