骨粗鬆症治療薬(ビスフォスフォネート)の話

(2023年4月7日の記事を加筆しました。)

まとめ:ビスフォスフォネートは、低カルシウム血症、骨折リスク、顎の骨壊死のリスクが指摘されています。

ビスフォスフォネート(Bisphosphonate)は、骨粗鬆症の予防と治療に最も広く使用されている薬剤で、3年から5年の短期間の治療では脊椎骨折と股関節骨折が減少しますが、5年以上の長期使用では有効性が証明されていません。副作用として、非定形大腿骨骨折や顎の骨壊死が知られています。(2017, Khosla)(2012, Whitaker)

顎骨骨壊死の前駆症状として、疼痛、歯痛、顎の違和感、歯の動揺、下口唇・オトガイ部のしびれ、口臭、歯肉腫脹、排膿、治癒しない抜歯窩、義歯による褥瘡の遷延があります。X線で骨硬化を認める場合があります。(2024, Parekh)(2020, AlDhalaan)

アメリカでの20万人規模の大規模調査で、ビスホスホネートの使用期間が長くなるほど非定型大腿骨骨折のリスクは増加し、ビスホスホネートの中止後は急速に減少しました。(2020, Denis)

静脈内投与のビスホスホネートは、がん患者の骨粗鬆症や骨転移の治療に広く用いられている。低カルシウム血症のリスクは、骨吸収抑制療法のまれではあるが過小評価されている副作用である。臨床的に明らかな低カルシウム血症は、主にがん患者におけるゾレドロン酸とデノスマブの高用量投与に関連している。骨転移または骨粗鬆症の治療を受けている栄養失調患者および腎不全患者においては、特に注意が必要である。重篤な低カルシウム血症を避けるため、治療前にカルシウムとビタミンDの状態を評価し、必要に応じて補正する必要がある。(2014, Kreutle)

ビスフォスフォネート系薬剤のアレンドロネート治療を 5 年後に中止した場合と 10 年間継続した場合の効果を比較したところ、骨折リスクは有意差はありませんでした。(2006, Black)

ビスフォスフォネート系薬剤のゾレドロン酸を6年間継続して中止した患者と9年間継続した患者では、股関節骨密度の平均変化および骨折リスクは有意差はありませんでした。(2015, Black)

ビスフォスフォネート系薬剤のリセドロネートを5年間継続して中止した患者と7年間継続した患者では、骨折リスクは有意差はありませんでした。(2004, Mellström)

■ビスフォスネートの作用機序

コレステロール合成経路を阻害することによって、骨吸収性の破骨細胞を選択的にアポトーシスさせます。(2002, Lindsay)(2020, Rogers)

骨の強度と完全性は、破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成の間の微妙なバランスを維持することにかかっています。(2000, Rodan)

骨吸収だけを阻害する薬剤ではこのバランスを欠くために、長期使用での有効性がないだけでなく、骨関係の副作用(非定形大腿骨骨折や顎の骨壊死)が出ると考えられます。

骨粗鬆症の治療に使われる抗RANKL抗体製剤は、破骨細胞の分化、成熟、生存に最も重要な役割を担っている破骨細胞分化因子(recepter activator of nuclear factor-κB ligand:RANKL)に対する完全ヒト型モノクローナル抗体IgG2抗体です。

ビスフォスネートと同様の作用機序の破骨細胞を抑制する抗RANKL抗体製剤も、同じ骨関係の副作用があることが報告されています。(2019, Shibahara)