円形脱毛症の栄養療法
まとめ:円形性脱毛症の治療では、ホエイプロテインなどの高タンパク食、鉄、亜鉛、ビタミンD、葉酸、ビタミンB12の補給が必要です。自己免疫疾患に対して、グルテンフリー・カゼインフリーダイエットを行い、野菜・果物を十分に摂取して腸活を行うことも重要です。
円形脱毛症(AA、Alopecia areata)は、免疫が自分を攻撃する自己免疫疾患であり、多因子遺伝が関係していることが知られています。
円形脱毛症は、Aulus Cornelius Celsus(25 BC –50 AD)が、ローマの百科事典である「De capillis fluentibus」の章の有名な医学論(「De Medicina」)で言及しており、古くから存在する疾患です。
併存症として、うつ病、不安障害などの精神疾患、甲状腺疾患、SLE、関節リウマチ、乾癬、白斑、炎症性腸疾患などの自己免疫疾患があります。
爪の合併症は、円形脱毛症の患者の2〜44%で報告されており、サンドペーパー状になることが報告されています。(2008年、halilovicら)
2019年、Almohannaらは総論で、円形脱毛症と低ビタミンDレベルの関係が示されているので、レベルが低い場合は、ビタミンDを補給する必要があることを指摘しました。ただし、円形脱毛症患者に対する鉄、亜鉛、葉酸、B12、ビオチン、セレンの補給については、これまでのデータでは不十分であると報告しました。
2018年にTruebらは総論で、自己免疫性甲状腺疾患、慢性萎縮性胃炎/悪性貧血、ダウン症、アトピー性皮膚炎、低血清フェリチン、低血清亜鉛、低ビタミンD、ストレスの多い生活と精神障害に関連することを報告しました。
2020年にPhamらは脱毛症に対して、抗炎症食材を多く含む地中海式の食事だけでなく、タンパク質や大豆が豊富な食事の重要性を指摘しました。また、セリアック病に合併する円形脱毛症ではグルテンフリーダイエットが有効であること、低カロリー食および水銀の多い魚を多食すると脱毛症のリスクが上がることを報告しました。