知能と脳内ネットワーク
下記の3つの脳内ネットワークがTriple network(2011年、Menonら)と言われており、認知・感情・心理機能の中心を担ってます。
①ぼんやりしている時、休んでいる時に活発になるネットワークがデフォルドモードネットワーク(default mode network、DMN)です。
②仕事や家事や勉強などを実行している時に活発になるネットワークがセントラルエグゼクティブネットワーク(central executive network、CEN)です。
③この2つのネットワークの切り替えを行っているのが、サリエンスネットワーク(salience network、SN)です。(2014年、Goldenら)
■知能と脳内ネットワークの関係においては、もともとはDMNが着目されていましたが、近年はSNが注目されています。
DMNは休息中に非アクティブ化されるのではなく、広範囲の外部に向けられた注意を必要とするタスク(タスクによって誘発される非アクティブ化、task induced deactivation、TID)によって非アクティブ化されます。(2001年、Raichleら)
このDMNのTIDは、さまざまな認知的要因と病的状態に関連付けられています。DMNのTIDの大きさは、作業メモリー容量と正の相関があり、加齢とともに減少することが報告されています。(2014年、Hansenら)
DMNの脳血流が知性と創造性と関連することが報告されています。(2012年、Takeuchiら)
SNのノード効率(ネットワーク間の連結の良さ)が知能と関連していることっが報告されています。(2017年、Hilgerら)
CENとDMNとのconnectivity(接続、連結)が知能と相関すること、年齢が若いほどこの2つのネットワークが分離していることを報告されています。(2021年、DeSerisyら)
■一方でSNのconnectivity(接続、連結)が過剰になることも問題です。
SNのハイパーコネクティビティが、自閉症児の重症度と相関することが報告されています。(2013年、Uddinら)
SNのノード効率(ネットワーク間の連結の良さ)が自閉症の感覚過敏と関連していることが報告されています。(2016年、Greenら)