SIBOとSIFO

まとめ:SIBOとSIFOは同じ原因で合併して発症してきます。

SIBO(small intestinal bacterial overgroth、小腸内異常細菌増殖)は、本来は大腸に比べて腸内細菌の少ない小腸に異常に腸内細菌が増殖した状態です。

IBSはローマIII基準からの症状による診断名であり、SIBOは病態からの診断名で、中身はほとんど同じです。

低FODMAP食で、IBSの50〜80%が改善し(2017年、Staudacherら)、特に下痢型のIBS(2015年、Raoら)で有効であることが総括されています。

この総論は、一定の割合で難治性のSIBOが存在することを示しています。

SIBOやIBSは、自己抗体が関与する自己免疫疾患であることが指摘されています。IBS検査である程度確定することが出来ます。

SIFO(small intestinal fungal overgrowth、小腸内異常真菌増殖)は、小腸に過剰な真菌が存在することを特徴としています。カンジダ症は、特に免疫不全の患者やステロイドや抗生物質を投与されている患者に消化器症状を引き起こすことが知られています。しかし、ごく最近になって、免疫不全でない被験者の小腸での真菌の過剰増殖が原因不明の消化管症状を引き起こす可能性があるという新たな文献があります. 最近の 2 つの研究では、原因不明の GI 症状を持つ一連の患者の 26% (24/94) と 25.3% (38/150) が SIFO であることが示されました。これらの患者に見られる最も一般的な症状は、げっぷ、膨満感、消化不良、吐き気、下痢、およびガスでした。(2015, Erdogan)

医学的検査として、SIBOはラクツロース呼気検査があります。SIFOには十二指腸吸引による定量培養がありますが、侵襲性が高いため一般的には行われていません。代替医療の分野では、腸カンジダ症に対しては尿有機酸検査が実施されています。

SIBOとSIFOは、胃酸を抑制するPPIの長期投薬、オピオイド、小腸の運動障害が原因となって、合併して発症することが指摘されています。(2013, Jacobs)(2018, Rao)

セリアック病および非セリアック型グルテン過敏症ではグルテン誘発性ブレインフォグが起きることが知られています。(2017, Yelland)(2020, Croall)

このことは、体内に侵入したグルテンがオピオイド用物質に変わり、小腸の運動障害を招いてSIBOやSIFOを発症させたと考えられます。

医学的な薬物療法として、リファキシミン、アモキシシリン、レボフロキサシン、メトロニダゾール、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、テトラサイクリンは、 SIBOに有効です。フルコナゾールとナイスタチンは、SIFO に有効です。(2020, Bhagatwala)