ビタミンDの代謝、日光、サプリ、高カルシウムリスク
ビタミンDについては過去に一度記事にしました。
追加記事(2020年2月11日)を再度修正してまとめたいと思います。
D2とD3の違いですが、構造式がわずかに違うだけです。
D2とD3は、体内での代謝も生理活性も同等なので、特に区別はせずに単にDと表記して、合計量について考えていけば問題ありません。ただし、海外サプリはほとんど動物由来のD3です。
D2よりもD3が血清25(OH)Dの上昇に寄与することからD3サプリが推奨されています。(2012年、Tripkovicら)
D2はD3に比べて、血清25(OH)Dの上昇に対して3分の1程度の効果しかないことが指摘されています。(2004年、Amasら)
食物では、D2(干し椎茸)、D3(鮭、いくら、青魚)から摂取できますが、サプリを使わないと血中濃度(25ヒドロオキシビタミンD)は上がってきません。
人間は元々は赤道直下に住み、裸で生活するようにデザインされています。
この生活でやっとこさ、25ヒドロオキシビタミンDが理想値の50ng/mlに到達します。
日本在住者でこれに近い人は、今まで1人しか見たことがありません。
その人は、毎日6時間ぐらい自転車に乗って、真っ黒に日焼けした人です。
紫外線Bの照射によって、コレステロールからプレビタミンD3が体内で作られますが、照射量が多いと、皮膚癌のリスクが上がってきます。ビタミンDの1日必要量を満たすためには、オーストラリアでは紫外線のピーク時間(10.00〜15.00時間)に、顔と手と腕を、夏には数分から10分間、春と秋に15〜20分間、冬にの外で30分間露出することが推奨されています。(2009年、Boradareら)
ヒトでは10%食物やサプリから、90%は日光からビタミンD3を作ります。(2011年、Bozzettoら)このビタミンD3は、Mgを補因子として、肝臓で1回と腎臓で1回の水酸化を受けて活性型になります。またビタミンDは、マグネシウムの腸管吸収を増加させるのでビタミンDとマグネシウムは相補関係にあると言われています。(2018年、Uwitonzeら)
マグネシウムを補給してもなかなか改善しない方は、ビタミンDの補給が必要です。
厳密に言えば、ビタミンではなく、コレステロール由来のホルモンです。
栄養療法の基本は、自然に近い形(crude)の前駆体(precursor)を摂取して、自分で活性化することです。
身体はサボろうサボろうとするので、変にサボらせないようにしないと、出来なくなって(=活性型への変換)しまいます。
またサプリのビタミンDは半減期が15日、医薬品の活性型ビタミンDの誘導体は半減期が約50時間と短いので、体内動態が安定しにくい。
医薬品(1α-OH-D3)は最も作用の強い活性型ビタミンDの誘導体のために、生体内で作られる活性型ビタミンD(半減期15時間)よりも分解されにくいため半減期が長く、高カルシウム血症を起こすリスクが懸念されています。(2015年、Cianferottiら)
骨粗鬆症、変形性関節症、筋骨格疾患の臨床的および経済的側面に関する欧州協会 (ESCEO)および国際骨粗鬆症財団 (IOF) からの見解では、活性型ビタミンD類似体(1α-OH-D3)は、低カルシウム血症を招く副甲状腺機能低下症および 1α-ヒドロキシル化障害を伴う腎不全では必要ですが、一般的には高カルシウム血症になるリスクが懸念されています。(2015年、Cianferotti)
以上から、合成品の医薬品よりも前駆体の海外サプリがより自然と考えます。
過剰症については、脂溶性ビタミンでも活性化が厳密に管理されているので、一般的には少ないと考えられています。
一応目安としては、150ng/mlで、この値を超えると中毒症状が稀に出現する場合が報告されています。(2018年、Galiorら)
ビタミンD中毒の症状としては、高カルシウム血症、腎障害(多尿)、石灰沈着、悪心、嘔吐、食欲不振、体重減少などです。