カルシウムパラドックス
(この記事は内容が古くなっています。いずれ修正する予定です。)
カルシウムパラドックスという言葉をご存知でしょうか?
人間の体内では、カルシウムは、99%が骨に存在しており、血中にはごくわずかしかありません。この濃度差は、1万倍と言われています。血中のカルシウム濃度は、血液のpH(血液がアルカリ性なのか酸性なのかの程度)などに大きく関与しています。生体を維持するために、この血液のpHは弱アルカリ性に厳密に維持されています。血中カルシウム濃度が下がると、この血中pHが大きく変化します。この血中のカルシウム濃度を維持するために、骨からカルシウムが大量に溶け出します。我々が、銀行でお金を下ろすときに、必要な額より少し多めにお金を下ろしますよね。それと同じで、この時に、血中のカルシウム濃度が、逆に一時的に高くなります。
その濃度を下げるために、関節、血管、腎臓へカルシウムが沈着して石灰化が起こってきます。これが、50肩、動脈硬化、腎臓結石の原因です。
一時的に血中カルシウム濃度が下がることによって、その後に逆に高くなりすぎてしまいます。
そうなると治療のポイントは、第1に血中のカルシウム濃度を下げないことになります。
以前はカルシウムのサプリを勧めていましたが、現在は勧めていません。
特に女性では、閉経後に骨粗鬆症が起こってくることが知られています。これは、女性ホルモンの低下と関係しています。女性ホルモンは、骨からのカルシウムの溶出を抑制する作用を持ちますが、これが閉経後に減るために、女性ではより骨粗鬆症が大きな問題になってきます。この女性ホルモンの代わりになるのが、大豆イソフラボンです。
ビタミンEは、40以上の様々な生理作用があることが知られています。沈着したカルシウムを溶出させる作用があると言われています。
骨の成分の3分の2はタンパク質です。骨粗鬆症の改善のためには、タンパク質をしっかり摂ることも大きなポイントです。日本人の女性が高齢になると腰が曲がってくるのは、カルシウムの問題に加えて、低タンパク食の問題があります。
異所性の石灰化は、就寝中に活性酸素が関与して起こると言われています。眠前に抗酸化物質を取るのも対策のひとつです。