ケトン食療法の副作用

2020年12月11日

ケトン食療法は、現在の多くの慢性疾患に有効と考えられる治療ですが、最初に副作用について押さえておきたいと思います。

1.異所性石灰化(腎臓結石、50肩、動脈硬化)

人体が、グルコース利用からケトン体利用に移行する際には、たくさんのケトン体が出来ます。このケトン体が、血液のpHを酸性に傾けるので、アルカリミネラルであるカルシウムやマグネシウムが骨から溶出されます。この際に、カルシウムが過剰に溶出して、余剰カルシウムが身体に沈着してしまいます。(カルシウムパラドックス)

特に、グルコジェニック(グルコース利用の体質)とケトジェニック(ケトン体利用の体質)を行ったり来たりする場合は、頻繁にこの現象を起こすことになります。

一旦ケトジェニックに落ち着けば、血液のpHは均衡が保たれて、カルシウムの問題は起きません。

ケトン食療法では、3~7%の頻度で腎臓結石が出現するというデータがあります。

治療法は、

①糖質制限の枠を越えないようにする。糖質制限のレベルは、最大で1日60gまでです。

ケトン食療法の実施中に糖質を大量に摂取すると、一旦元のグルコジェニックに戻ってしまいます。そこからケトジェニックに戻すときに、問題が起こってきます。

②カルシウムやマグネシウムの摂取不足が起きないように、一定量を毎日摂取する。

③異所性石灰化は、夜間に活性酸素が関与して起こってくると言われています。寝る前に抗酸化物質を摂取する方法があります。

2.脂肪肝(低栄養性脂肪肝

ケトン食療法のために糖質制限を行うと、身体はエネルギー不足を防ぐために体中の脂肪を分解させて、遊離脂肪酸として血中に放出して肝臓でケトン体を合成しようとします。

そこに少量でも糖質を摂取するとインスリンが分泌されて、この遊離脂肪酸からケトン体ではなく、中性脂肪が作られて脂肪肝となります。

(完全な断糖であれば、脂肪肝にはなりません)

治療は、糖質制限のレベルをロカボにして、セミケトン体レベルを目指すことを勧めます。

ケトン食療法中は、3ヶ月に1回の血液検査が望ましいです。

3.高尿酸血症

ケトン体は尿中にも排泄されますが、ケトン体と尿酸は腎尿細管の排泄において拮抗するため、尿酸値が上昇することがあります。

まれに痛風になる場合があります。有名なメアリーの夫のスティーブも痛風になりました。

治療は、

①高尿酸血症そのものの治療は、行わない。

②ビタミンC3を1日3g以上摂って、経過観察。

③ビタミンAを1日25000IU以上摂取する。

4.不眠

ケトン体は延髄の上に位置する網様体に作用して覚醒効果を発揮するために不眠となる場合があります。

5.子供の低成長

子供にケトン食療法を行った場合は成長を抑制することが示唆されています。

食事全体に脂質の占める割合が高くなるために、タンパク質の摂取量が減ることが主な原因と考えられていますが、糖質制限によっても成長抑制が起こる可能性があります。