家族性高コレステロール血症

遺伝的にコレステロールが高くなる疾患です。診断基準は、下記の3つの内の2つを満たすことです。

1.LDL-コレステロール180mg/dl以上

2.腱黄色腫、皮膚黄色腫

3.親族の早期冠動脈疾患の既往

LDL-コレステロールは、肝臓のLDLレセプターによって、取り込まれて壊されます。このレセプターに異常があるため、代償的に血中のLDL-Cが増えすぎてしまいます。そのため若年でも動脈硬化が発病すると考えられています。

頻度は、0.2%以下で、500人に1人以下の割合です。LDL-Cが250mg/dL以上の場合は家族性高コレステロール血症を強く疑います。

LDL-コレステロールの新常識。(ウィキペディアより)

1.LDL-Cは以前は、悪玉コレステロールと言われたが、現在は否定されている。

2.ACC/AHAガイドラインでは、家族性高コレステロール血症の患者以外ではLDL-Cの目標値を設定するエビデンスはない。(この目標値は、100mg/dL)

コレステロール低下薬としては、4種類のものがあります。この中でFHには、LDL受容体の分解を阻害して、肝臓でのコレステロールの回収を促進させるPCSK9阻害薬が、作用機序から考えると最も期待できます。

コレステロールの合成を阻害するスタチンは、作用機序から考えると「代償的に増えたLDLコレステロールを減らす」ために、逆効果にもなり得ます。

また重度のFHの方には、LDLを吸着して除去する治療「LDLアフェレシス」が極めて有効です。これは、血液透析のように血液を体外循環させる装置で、血液中のLDLを吸着除去する治療法です。