バルプロ酸によるカルチニン欠乏症→高アンモニア血症となる機序

2019年7月24日

抗てんかん薬、感情調節薬として使われるバルプロ酸ナトリウム(VPA)は、カルニチン欠乏症となり、その結果として高アンモニア血症の副作用を起こすことが稀にあります。

カルニチン欠乏症の作用機序は、VPAがバルプロイルカルニチンとしての尿へ の排泄や腎尿細管でのカルニチンやアシルカルニチン再吸収 低下,バルプロイルカルニチンによるカルニチントランス ポーターの阻害,ATP 産生低下と ATP 依存性カルニチントラ ンスポーター機能低下による脂肪酸代謝の減少などが考えられています。

高アンモニア血症の作用機序は、カルニチン低下によるミトコンドリアでのアセ チル CoA 濃度低下は,尿素サイクルにおける律速酵素であるCPS-I(carbamoylphosphate synthetase-I)の活性化に重要なN-アセチルグルタミン酸(N-acetylglutamate; NAG)の合成低下を来し、CPS-I 活性低下により尿素サイクルの作用低下を来します。血中のアンモニアは尿素サイクルを経て、尿素として 尿中に排泄されるためアンモニア代謝の減少により高アンモ ニア血症を来すと考えられています。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/clinicalneurol/advpub/0/advpub_cn-001254/_pdf

https://www.jstage.jst.go.jp/article/kanzo/59/8/59_421/_pdf

http://jsct-web.umin.jp/wp/wp-content/uploads/2018/01/29_1_30.pdf

高アンモニア血症は、血液中のアンモニアが高くなることによって、意識障害を主症状とする肝性脳症と言われる病態になります。

VPAによる高アンモニア血症の発病頻度は、2~80%と幅がありますが、ほとんどは軽症で無症候性と言われています。

この副作用の出やすい人は、ケトン体質の人(妊婦、乳幼児、やせ型の人、糖質制限されている人)、抗てんかん薬の多剤併用の人などです。

検査は、カルニチンの測定は可能ですが、アンモニアの測定はクリニックレベルでは出来ません。

カルニチン低下があれば、投薬の見直し、レボカルチニン製剤、カルチニンのサプリなどの治療方法があります。