水銀とセレン

水銀は亜鉛やカドミウムの同族元素(周期表の縦並び)である有害金属です。

ヒトのカドミウムの体内半減期が16〜38年に対して、水銀の体内半減期は70日と短くなっています。

カドミウムと水銀の身体での共通の解毒システムとしては、メタロチオネインという解毒・抗酸化タンパク質がありますが、この両者の生物学的半減期が違う理由は、水銀には別の解毒システムが存在しているからです。

それがセレンです。

セレンと水銀がモル比で1対1のセレン化水銀として安定した金属粒子を形成して排泄されます。

一方で魚類では、水銀は主に筋肉にセレン化水銀として無毒化して貯蔵されて、体外にはほとんど排出されません。

そのために生物学的連鎖で、大型魚ほど水銀濃度が高い傾向があります。

ヒトにおける水銀の生物学的半減期は70日と短いので、通常の魚食では水銀中毒になることはありません。

魚に含まれるセレンとオメガ3脂肪酸が、水銀を解毒してくれるからです。

ヒトで水銀蓄積となる原因は、大型魚の大量摂取とアマルガム(水銀と銀、スズ、銅の合金)です。水銀対策は、まずこの2つの排除です。

水銀の検査

1.毛髪-血中濃度比率は140〜460倍と幅がありますが、250:1(毛髪水銀 μg/g:血中水銀 μg/ml)以上が水銀中毒疑いのカットオフ値として採用されています。

体内に貯蔵された水銀が毛髪などから排泄されるので、このため毛髪中水銀は水銀中毒の長期暴露、血中水銀は短期暴露と相関します。

2.オリゴスキャンで組織内、血液検査は血液中の水銀蓄積量を推定出来ます。

3.毛髪、尿中、爪、便の水銀量は過去、血液とオリゴスキャンは現在の水銀量を推定します。

セレンの測定

1.血中セレン濃度で、ある程度正確に体内貯蔵量を推定出来ます。

2.オリゴスキャンで組織内のセレン量を推定出来ます。

日本人の平均的なセレンの摂取量は100 μg/日とされ、中毒を起こす摂取量は800 μg以上とされています。

セレンのサプリでは、1日1錠の200μgの摂取を推奨されているので、3錠の600μgまで増量出来る可能性があります。

セレン過剰症は、吐き気、食欲不振、下痢などの消化器症状です。

これらの消化器症状と血中セレン濃度に注意しながら、セレンのサプリを多めに飲むデトックス方法があります。