low T3症候群

甲状腺機能検査にて、T3低値、T4正常、TSH正常の状態です。

甲状腺機能低下症では、必ずTSHが高値になってきますので、これは甲状腺機能低下症ではありません。

飢餓状態、摂食障害、糖質制限のやりすぎで起こって来ます。

糖質制限→糖新生の亢進、身体のタンパク質の分解→身体の分解を防ぐために、代償的に全身の代謝を司る甲状腺ホルモンが低下→身体の代謝の低下→低体温、冷え性

身体がエネルギー不足を関知して、全身の代謝を抑えるために起こる生理的現象です。

さらに重症化すると、T4も低値になってきます。(これをlow T4症候群と言います。)

リコード法での最適値は、TSH 2.0 μlU/mL未満、遊離T3=3.2~4.2pg/mL、リバースT3 20 ng/dL未満、遊離T3(pg/mL)×100/リバースT3(ng/dL)20超、遊離T4=1.3~1.8 ng/dLです。

アトキンス式ダイエットでは、毎食ごと就寝前の1日4回の体温を測定して、その平均が36.5度を下回る場合は、甲状腺機能が低下しています。

身体が省エネモードになっているということです。

極端な糖質制限でもlow T3症候群になる場合があります。

これは糖質が無い状態であれば、人体はタンパク質からの糖新生を行うか、脂質代謝でケトン体を作ってエネルギーをまかなうしかありませんが、これが上手く出来ないことがあります。

高タンパク食、高脂質食で乗り切れる場合もあるようですが、なかなか改善が見られないようであれば、糖質制限を緩めることを勧めています。

low T3症候群では、グルカゴン過剰にもなっています。

これを改善するには炭水化物(糖質+食物繊維)がある程度は必要です。

スーパー糖質制限が可能な方と、合わない方がいます。

前者はケトン体回路だけで活動可能な人で、後者はグルコース回路+ケトン体回路のハイブリッドの人です。

腸内フローラバランスの個体差が関係していると考えています。