ペプシノゲン

タンパク質は胃と小腸で分解・吸収されますが、低タンパク食が続くと、胃からの胃酸や消化酵素の分泌が不十分になり、ますますタンパク質が食べることが出来なくなります。

胃では、塩酸(=胃酸)、蛋白分解酵素、内因子(ビタミンB12の吸収に関与)が分泌されます。

塩酸は、胃底部の壁細胞から分泌されて、上部消化管の殺菌、pHを酸性にする、ペプシノゲンをペプシンに変化させる役割を持っています。

ペプシノゲンは、胃底部の主細胞から分泌されるペプシノゲンIと、胃全体および十二指腸から分泌されるペプシノゲンIIがあります。

ペプシノゲンⅠは15~100ng/dl、ペプシノゲンIIは3~40ng/dlが基準値です。

栄養学的な理想値は、ペプシノゲンIは70ng/dl以上、ペプシノゲンIIは30ng/dl以上です。

胃からの消化酵素の分泌能は、このペプシノゲンIとIIを見る方法が、現在では一般的です。

なお消化酵素の分泌と胃酸や内因子の分泌は相関すると言われています。(2014, Iijima)

糖質過食があれば、胃酸、ペプシノゲン、内因子の胃からの十分な分泌が出来なくなってきます。

ペプシノゲン検査は食事の影響が少ないため、絶食でなくとも午後でも可能ですが、食後ペプシノゲン値が増加し、陰性となりやすいため、出来れば空腹時に採血を実施します。

ピロリ菌感染を契機として、胃炎→萎縮性胃炎→胃がんと進展していきます。

初期の炎症(胃炎)では、ペプシノゲン分泌は亢進しますが、進行すると低下してきます。

特に胃底部のペプシノゲンIが顕著に障害されて、ペプシノゲンI/II比が低下します。

図にすると以下です。

このペプシノゲン検査とピロリ菌抗体を組み合わせた胃がんリスク検査(ABC検診)があります。