自閉症児への糞便移植治療

2017年に自閉症児に腸内フローラ移植が有効であったというKangらの報告があります。

18 人の胃腸症状 のある ASD 児に対して、2週間の抗生物質による腸内浄化ののちに、便の腸内細菌移植(主に経口投与)を行ったところ、80% の消化器症状が消失し、自閉症の行動異常も改善し、それらの効果は 8 週間後の追跡調査時にも続いていたという結果です。

自閉症症状の改善レベルが気になるところです。

SRSは自閉症症状と関連する症状を保護者が行動を観察して評価する検査です。

施術前は平均で約120点が、施術後に約90点まで改善していることがわかります。

この図はSRSの標準的な分布です。

健常児のSRSの平均点が約30点で、自閉症と診断されるラインの目安としては60点以上あたりではないかと思います。

Kangの結果は18名中2名が顕著に改善していますが、数名はほとんど治療に反応していないようにも読み取れます。

平均すると、中等度の自閉症症状が軽度まで、30%ぐらい改善したように読み取れます。

残念ながら、軽度の改善は期待できるが、完治は難しく、治療に反応しない場合もあるとも言えます。

完全に発達特性が無くならなくても、適性が上がる、本人が楽になる方法のひとつではないかと思います。

自閉症は原因が不明であり、100%の完璧な治療法はありません。

本人が少しでも楽になる治療法を組み合わせていくことが現状ではベストだと考えています。