不思議の国のアリス症候群

2020年2月5日

不思議の国のアリス症候群という疾患があります。

物や人が大きく見えたり、小さく見えたりするという奇妙な症状が特徴で、童話の不思議の国のアリスに因んで、この名前がつけられています。

2016年にBolmが、総論を出しています。

過去に報告された不思議の国のアリス症候群166名の原因を分析した内訳は、脳炎などの感染症(22.9%)、脳梗塞や脳腫瘍などの脳疾患(7.8%)、目や耳の脳神経疾患(1.2%)、てんかんなどの神経疾患(30.7%)、風邪薬などの薬剤性(6%)、LSDなどの幻覚剤(6%)、催眠療法によるもの(3%)となっています。

150名については、治療経過が報告されています。54名が基礎疾患に対する薬物療法などを受けていました。全患者の46.7%で完全寛解となり、11.3%が部分寛解となりました。

てんかんや片頭痛などの症例は、完全寛解は稀であったそうです。

症状としては、直線が波状に見える、垂直線は斜めに見える、静止物体は移動しているように見える、物や人が大きく見えたり、小さく見えたりします。

最も頻度の高い症状は、片頭痛と巨視症で、約50%の方に認められました。

この症候群の症状は、視覚の情報処理の歪みとしてまとめることが出来ますが、この現象は脳の衰弱症の兆候として説明されています。

1,480人の青年期を対象とした横断研究では、男性の場合は5.6%、女性の場合は6.2%のミクロプシア(小さく見える)および/またはマクロプシア(大きく見える)の生涯有病率が報告されています。

3,224人の高校生を対象とした横断研究では、6か月の有病率は、ミクロプシアで3.8%、マクロプシアで3.9%でした。

不思議の国のアリス症候群は、自然緩解に至ることが多く良性疾患と考えられています。

てんかんや片頭痛などの基礎疾患を持つ場合は、基礎疾患の増悪期にこの症候群も再燃する可能性があります。

いずれにしても、血液検査や脳波検査などを受けて頂いて経過を見て、他の基礎疾患が見つかれば治療する必要があります。