てんかんと腸内フローラ

2017年にHeらは、クローン病の22歳の女性に糞便移植を実施したところ、17年間の罹病期間のあるてんかんが完治したと報告しています。

この報告を受けて、中国ではてんかんに対する糞便移植の有効性を検証するために、無作為化対照臨床試験を実施中です。結果に期待したいところです。

抗生物質による腸内細菌叢の乱れが、てんかんの原因となる可能性があるという報告が、2015年のShutterらをはじめとして、次々と報告されています。

てんかんの治療食として100年の歴史を持つケトン食が、てんかん患者の腸内細菌叢の乱れを改善して、抗てんかん作用を発揮することを2017年のXieらをはじめとして、諸氏から報告されています。

2018年にOlsonらの報告を簡単にまとめてみます。

ケトン食(KD)では、コントロール群(CD)に比べて、急激に腸内細菌叢が変化しています。

特に目立つのが、ヤセ菌として有名なアッカーマンシア属と抗肥満効果を持つと言われるパラバクテロイデス属です。

これらの腸内細菌叢の変化が、その代謝物を介して、最終的には脳内のGABA神経系に作用して、抗てんかん効果を発揮するという考察です。