自閉症のReview ー2020年〜2021年
2021年にWangらは、自閉症の子供と青年のビタミンDが低下していること、母親または新生児のビタミンDが減少した子供はASDを発症する可能性が54%高いことを示唆しました。
2021年にImbrianiらは、さまざまな大気汚染物質に関する過去の20の研究を検討して、妊娠中の母親または生後1年の子供へのPM(Particulate Matter、粒子状物質)曝露と、その後の自閉症の発症のリスクとの間の関連性を指摘しました。
2021年にKothadiaらは、自閉症への薬物療法の研究をまとめました。使用された薬剤は、SSRIのサートラリンとフルオキセチン、抗認知症薬のドネペジル、ループ利尿薬のブメタニド、非定型抗精神病薬、筋萎縮性側索硬化症用剤のリルゾール、ビタミンDとオメガ3製剤です。
有意差が出なかったのは、サートラリンとリルゾールです。有効であったのは、非定型抗精神病薬、ビタミンD、オメガ3製剤です。
有効性はあったもののドネペジルは悪化群あり、ブメタニドとフルオキセチンは論文のデザインに疑問符が付けられています。
2021年にLimらは、運動障害の観察によって自閉症の子供の早期発見が可能であることをまとめました。
2021年にChenらは、87件の論文をまとめて、自閉症と酸化ストレスマーカーとの有意な関係を指摘しました。
酸化型グルタチオン(GSSG)、マロンジアルデヒド、ホモシステイン、S-アデノシルホモシステイン、一酸化窒素、および銅の血中濃度が、自閉症の子供で有意に高いこと、対照的に、血液還元型グルタチオン(GSH)、総グルタチオン(tGSH)、GSH / GSSG、tGSH / GSSG、メチオニン、システイン、ビタミンB9、ビタミンD、ビタミンB12、ビタミンE、S-アデノシルメチオニン/ S-アデノシルホモシステイン、およびカルシウム濃度は、自閉症の子供で有意に低いことを報告しました。
2021年にHiremathらは、自閉症を頭部MRI検査によって早期リスク予想が出来ることを報告しています。
2020年にZouらは、19の研究をまとめて、自閉症の子供たちは対照群と比較して、抗脳抗体、抗内皮細胞抗体、抗核抗体、および抗葉酸受容体抗体が高いことを報告しました。
2020年にLamらは、自閉症の子供と青年の歯科領域に関する15の論文をまとめました。歯ぎしりの有意に多いこと、唾液のpHが大幅に低いことを報告しました。しかし、齲蝕の有病率と重症度、口腔衛生と歯周状態、不正咬合の有病率、歯の外傷、唾液の流量と緩衝能力に関して統計的に有意な差は見られませんでした。
2018年にXiaoらは、自閉症児の口腔内フローラを解析して、多様性の低下、プレボテラの減少などを報告しました。
2020年にYuらは、自閉症のこだわり行動や反復行動に対する薬物療法の効果について、過去の9つの論文をまとめました。薬物療法(フルボキサミン、リスペリドン、フルオキセチン、シタロプラム、オキシトシン、N-アセチルシステイン、ブスピロンを含む)とプラセボとの間に有意差を認めませんでした。
2020年にResselらは、自閉症と薬物乱用に関する過去の26の論文をまとめました。自閉症スペクトラム障害における薬物乱用の合併率は1.3%から36%の範囲でしたが、サンプルの特性と診断手段のばらつきのため、一般的な有病率を確立することが出来なかったと報告しています。
2020年にHossainらは、自閉症と他の精神障害との合併についてまとめました。少なくてもひとつの精神疾患を合併する確率は54.8%でした。不安障害の合併率は、1.47% 〜 54%、うつ病は 2.5% 〜47.1%、双極性障害は6% 〜 21.4%、統合失調症および他の精神病は 4% 〜 67%でした。希死念慮の合併は、10.9%〜66%で、自殺企図は 1%〜35%でした。強迫性障害は9% 〜 22%、行為障害は12%〜48%、ADHDは25.7%〜65%でした。