歯周病

まとめ:歯周病も現代病ですが、栄養療法だけでは対策は不十分です。

プラークコントロールが必要です。

■歯周病の歴史

歯周病の歴史を振り返ってみますと、約6万年前のネアンデルタール人まで遡ることが出来ます。この旧石器時代は、火を使って食べ物を調理するようになった時代です。食べ物を調理することによって柔らかくしたために、噛む回数が減ったことが原因です。火を使うようになって以来、人類は歯周病に悩まされ続けています。

大昔の人は、堅い食べ物を何度も噛むことで、プラークコントロールが出来ていたようです。

■歯周病はサイトカインストーム

歯周病菌のエサは、主にタンパク質であるため、歯肉のコラーゲン繊維を浸食します。

また歯周病菌が異常に増殖することによって、口腔内の免疫が過剰に反応してしまい、歯、歯肉、骨を溶かして行く病態が歯周病です。この免疫の過剰反応は、口内炎と同じでサイトカインストームのことです。

■歯周病菌は嫌気性菌

歯周病菌は虫歯菌と違って、嫌気性菌であり空気を嫌うために、歯と歯茎の隙間や溝(歯周ポケット)で繁殖します。歯周病菌は増殖すると自分を守るためにバイオフィルムという、台所の三角コーナーのぬめりのようなものを作ります。このバイオフィルムはのり状の汚れでプラーク(歯垢)と呼ばれます。プラークは、通常の歯磨きでは取れにくく、雪だるま式に石灰化して歯石になります。この歯石がまた歯周病菌や炎症の温床となり悪循環を繰り返していきます。

■歯周病対策はプラークコントロール

歯周病も現代病ですが、大昔のような火を使わない食物だけで生活することは不可能なので、プラークの形成を完全には防ぐことは出来ません。対策としては、舌回しや堅い物を食べる方法がありますが。

■歯周病と栄養

歯周病と栄養についての論文も沢山出ています。

歯肉の再生のためには、口内炎の記事と同じ栄養素が潤沢に必要です。

■歯周病と合併症

歯周病の人は腸内フローラの多様性が低下しています。

糖尿病になると免疫抵抗力が低下して、歯周病菌に感染しやすくなります。また、歯周病になるとインスリン抵抗性が高まり、血糖値が上昇しやすくなります。以上から歯周病は糖尿病の第6の合併症と言われています。

歯周病がある人では、ない人に比べて心筋梗塞などの冠動脈疾患に罹患するリスクが2倍になることがわかっています。その理由として、歯周病菌が動脈を詰まらせるアテロームプラークの形成に関わるといわれている他、歯茎の炎症によってできる物質(サイトカイン)が心臓の血管を刺激し、それが心臓病のきっかけになるとも考えられています。また歯周病が高ホモシステイン血症を起こし、心疾患のリスクを上げることも報告されています。

身体の細菌叢は連携を取りあっていますので、口腔内フローラのディスバイオーシスは全身のフローラの異常を来たし、全身疾患に繋がって行きます。