BUNとクレアチニン
BUNはタンパク質を利用した後の残りカス、クレアチニンは筋肉中にあるクレアチンの燃えカスです。
どちらも再利用することが出来ないので、残りかすや燃えかすと表現されます。
血液中の残りかすや燃えかすなので身体から尿経由で排泄するしかないのですが、腎臓に問題があるとちゃんと排泄できないので、腎機能の評価指標に使われます。
(クレアチンは、筋肉の炎症である多発性筋炎などでは、血中で増加します。)
■ BUN
タンパク質は3大栄養素の中で、炭素骨格以外に窒素(N)と硫黄(S)を含んでいます。この窒素は、アンモニアなどの有害な形で、大量に体内に存在していると有害なために、肝臓のオルニチン回路で尿素に変換されて、尿中に排泄されます。
尿素窒素(BUN)とは、血液のなかの尿素に含まれる窒素成分のことです。
腎機能の評価に使われるのが一般的ですが、クレアチニンと違って腎臓での再吸収があることやタンパク質代謝や食事の影響も受けるので、やや複雑な指標になっています。
蛋白摂取量、蛋白代謝量、腎機能の3因子によって規定されます。
①蛋白摂取量
栄養療法ではタンパク質摂取量の指標としてよく使われます。
消化管出血でも出血した血液を再吸収するために、結果としてタンパク質摂取量が増える形になりBUNが上昇します。
②蛋白代謝量
妊娠では胎児の成長にタンパク質が大量に消費されるためにBUNが低下します。
悪疫質や蛋白同化ホルモン(成長ホルモン、ステロイドホルモン)によって、組織蛋白の異化減少するとアミノ酸プールのタンパク質量が減って、BUNが低下します。
③腎機能
脱水などで腎血流量が減ると血中に尿素がうっ滞してBUN高くなります。逆に利尿薬などで尿量が増えるとBUNは低くなります。
各種腎疾患で糸球体の排泄に問題があると、腎性に尿素の排泄が出来なくなりBUNが高くなります。
前立腺肥大や尿管結石で、腎後性に尿素の排泄が出来なくなるとBUNが高くなります。
■ クレアチニン
腎臓と肝臓で合成されたクレアチンは、筋肉内でエネルギー源として消費されて、燃えカスのクレアチニンとなります。クレアチニンは食事の影響も受けませんし、腎臓での再吸収もされませんので、腎臓の排泄能力を見るための指標として、より重要です。
筋肉由来のために、筋肉量の少ない子供では低く、ボディビルダーでは高く、女性より男性が高くなります。筋肉量に影響を受ける腎機能の評価指標です。
eGFR(糸球体濾過量)はクレアチニンを用いた推定値を使います。
年齢、性別で補正することによって筋肉量の影響を減らした腎機能の評価指標です。
生理的には、BUN/クレアチニン比は、10である。
10を超える場合は腎外性、10以下の場合は腎性の病態を疑います。
BUN/クレアチニン比が10以上であれば、タンパク質摂取量が多いことを意味します。