大豆と癌の複雑な関係〜疫学研究から

大豆はアジアでよく消費される植物性タンパク質、フィトケミカルなどを多く含む食材です。

欧米に比べて、アジア地域では癌や心疾患の発生率が低いことなどから、これまでは大豆の発癌などに対する保護効果が報告されてきました。

2019年にQiuらは、大豆と乳がんのリスクとの関係について、過去12論文を総括して、わずかなリスクの低下を指摘しています。

2018年にNamaziらは、大豆消費と癌、心疾患、死亡率との関係について、一貫した結論が出ていないと総括しています。

一方で日本での最近の疫学研究で、大豆が癌のリスクになるという報告が相次いで出されています。

2018年にイリノイ大学のApplegateらは、大豆消費と前立腺癌のリスクについて総括しました。

過去の論文は、ほとんどが相対リスクが1を下回っており、前立腺癌のリスクを下げるという結論でした。

2020年に澤田らは、日本公衆衛生センターの前向き研究で、日本の中高年男性43580人を対象とした調査で、大豆とイソフラボンの大量摂取が前立腺癌による死亡のリスクを高める可能性があることを初めて報告しました。

2000年に永田は、大豆摂取量と前立腺がん死亡率との間に有意な相関を報告しましたが、平均年齢、喫煙者の割合、アルコール摂取量を調整した後、この相関は減少して有意差はないと報告しました。

■これまでの疫学研究では、マメ科植物の摂取と膵臓がんのリスクとの間に逆相関があることが示されています。(2007年のUteNöthlingsら2013年のCampos_Vegaら2012年のHuchinsら

2020年山沢らは、日本公衆衛生センターの前向き研究で、日本の90,185人を対象とした調査で、大豆食品、特に非発酵大豆食品の摂取量が多いと、膵臓がんのリスクが高まる可能性があることを報告しました。

1989年に平山が、大豆食品や味噌汁の摂取と膵臓がんの間に正の関連性があることを最初に指摘しています。