<症例>BUN25、クレアチニン1.0

栄養療法を真面目にされている方で、BUNが高く、クレアチニンが若干高い方がおられます。

BUNもクレアチニンも、血液中に存在するタンパク質や筋肉由来の最終産物で、腎臓のみから排泄するので、通常は腎機能を反映します。

腎機能以外には、BUNはタンパク質摂取量とタンパク質代謝量、クレアチニンは筋肉量の影響を受けます。

BUN/クレアチニン比も、15以上と高くなってます。

BUN/クレアチニン比が高くなる主な原因は、①脱水、②高蛋白食、③組織蛋白の異化亢進(出血、低栄養、神経変性疾患)です。

脱水などで循環血漿量が減少した病態では、腎血流量が減少し、ADH(抗利尿ホルモン)の分泌が亢進します。この状態では、尿細管で尿素窒素の再吸収の割合が高くなりクレアチニンに比べてBUNの値が高くなります。

BUNは年齢依存性に増加しますが、クレアチニンは年齢依存性に増加しないことが報告されています。(1993, 青野)

年齢依存性に、BUN/クレアチニン比は高くなります。

このケースの原因は、高タンパク食の取りすぎです。

アミノ酸プールに入ったタンパク質の代謝は、①体組成タンパク質との交換、②尿素サイクルからの排泄、③TCAサイクルに入って、エネルギーになるか、糖新生に使われるか、中性脂肪となるかの3つです。

この②尿素サイクルに、負荷が掛かっている状態です。

クレアチニンは基準値範囲内ですが、若干上がっている理由は、大量の尿素を排泄するために、一時的に腎臓に負荷が掛かって、クレアチニンの排泄がうまく出来ないからです。

精製タンパク質のホエイプロテインは、吸収が早いことが知られています。吸収の早い精製タンパク質が、アミノ酸プールになだれ込んで、そのまま尿素サイクルから排泄される状態を想像します。

体組成タンパク質と一対一の交換が合致しない植物性タンパク質を大量に摂取しても、この尿素サイクルに負荷を掛けることになります。

この検査データで体調が改善されつつある人は、全く問題ありませんが、そうでない方は、精製タンパク質の摂取量を少し減らす方が良いかもしれません。

尿素サイクルはエネルギー消費回路なので、負荷を掛けると代謝面では損をします。