定量脳波(QEEG)と集中困難
1.基礎律動としてのアルファ波
アルファ波とは、脳波の成分の中で8~13Hz成分のことです。
主に目を閉じたときの脳波においては、後頭葉周囲から発生して脳全体に広がるアルファ波の占める割合が高く、基礎律動と言われます。
開眼時もこの基礎律動のアルファ波は閉眼時ほど目立ちませんが、常に発生しています。
生物が目で見る際には、カメラで写真を連続で撮影して、その写真を脳内で繋げて動画のようにしています。このアルファ波の周波数は、1秒間に記憶する写真の枚数を意味しています。
ヒトでは通常は1秒間に8~9回写真を脳内で撮っていますが、これがアルファ波の基礎律動が8~9Hzという意味です。カメラのシャッタースピードのようなものです。
眠くなるとこのシャッタースピードが遅くなり、7~6回、5~4回と下がってくるとぼんやりして、睡眠に近い状態になります。
基礎律動がアルファ波の範囲の8~13Hzをはずれることもあります。
覚醒時の基礎律動が8Hz以下になる場合は、認知症などのIntelligenceの問題を疑います。
逆に緊張して警戒する状況であれば、シャッタースピードが早くなります。
交通事故の時に、「時間が止まっているように感じる」現象です。
安静時に基礎律動が11Hzを越えている場合は、Vigilance(警戒)が高い常に緊張した状態です。
安静時の基礎律動は、深夜ゲーマーの方や解離性障害の方では複数のピークを持つ場合があります。
2.集中困難とアルファ波
集中して学業や仕事に打ち込める人の安静時のアルファ波は、開眼時も閉眼時も周波数が一定で、定量脳波では鋭いピークになります。
脳波で見ると下の2本(後頭葉)で目立つ波がアルファ波ですが、周波数が一定できれいに揃っています。
定量脳波で解析すると、1本の鋭いピークになります。
一方で、集中困難のある方の場合は、周波数が一定せずに、定量脳波ではゆるやかなピークになります。
脳波で見ると下の2本で目立つ波がアルファ波ですが、周波数が一定ではなく、不揃いです。
定量脳波で解析すると、ゆるやかな広いピークになります。
ADD/ADHD特性である集中困難や気ぞらし(distraction)に関係した脳波です。
定量脳波でのADD/ADHD特性は、海外の論文などを参考にしていますが、このアルファ波のピークの幅も参考にしています。