希望の商人(hope merchant)
内的家族システム療法(IFS)では、セラピストは「希望の商人」と呼ばれます。
セラピストは、パーツ全員を助けることが出来るという信念の元に、絶望したパーツたちに希望という商品を売ります。
人のこころは、たくさんの人格や性格の寄せ集めによって構成されています。その人格をパーツ、副人格などと呼びます。
セラピストは、対立するパーツのどちらか一方の味方に付くのではなくて、両方のパーツにとって希望を与えるような考えや方法を提供していきます。
セラピストは、パーツと議論・説得せずに、クライアントのセルフとパーツの橋渡し役として、楽天的な見方の提供、ヒント、誘導、仲介に徹します。
パーツ同士が、二極化するのではなく、お互いに理解し合えれば、どれだけ有用かを提示します。
また何か新しいことに挑戦するには、ゆっくりと時間を掛ける必要があることを、粘り強く話していきます。
この際に、セラピストもクライアントもセルフ主導であることがポイントです。
この希望の商人の立場は、IFSに限らず、通常診療でも、実社会でも基本的には同じです。
問題、議論、対立、紛争、戦争があった際に、慎重に対応して、安易にどちらか一方の立場に立たないことです。
医学に疑問を持つという視点という記事を書きましたが、医学を盲信する立場にも、医学を完全に否定する立場にも立たず、慎重に吟味して、最も有効な治療を提供することが大事だと考えています。