カロリーよりも必要栄養素

地元で講演をしてきましたが、講演後の質疑応答で、カロリー理論の話が出ました。

エネルギー源として重要な炭水化物(糖質)脂質タンパク質3大栄養素といいますが、これらを実験的に完全に燃やすと、それぞれ1gあたり4.1kcal、9.4kcal、5.7kcalの熱を発生させます。

カロリー理論とは、この3大栄養素の熱の発生量を元に、カロリーが増えすぎないように、カロリーが減りすぎないようにと考えて行きます。

確かに3大栄養素は、理論的にはすべてクエン酸回路に入ってATPを産生することが可能です。

しかし、糖質はクエン酸回路に優先的に入ってエネルギー源になりますが、タンパク質と脂質はエネルギー産生だけでなく、体の組成や代謝を担います。

糖質摂取が過剰であると、あっと言う間にクエン酸回路を通り抜けて、中性脂肪として蓄積されます。

3大栄養素が、横一列でそのままエネルギー源になるわけではありません。

身体の再生、代謝、脂肪蓄積にも関係する3大栄養素を、エネルギー産生だけで論じている点が、カロリー理論の間違いです。

カロリー理論で食事を摂る際に最も注意しないといけないのは、糖質が過剰になることです。

厚生労働省が推奨する3大栄養素のバランスは、PFCバランスと呼ばれますが、タンパク質:脂質:糖質=2:2:6です。

これを2000kcalあたりで計算すると、タンパク質:脂質糖質=100g:44g:300gになります。

これでは明かな糖質過剰で、食べ続けると現代病になってしまいます。

一方で、必要栄養素量は決まっていて、一般成人では、標準体重x1.0g/日のタンパク質、その1.5倍量の糖質、1日50gの食物繊維などです。

現在のカロリー理論+推奨PFCバランスでは、糖質制限を無視した古い理論であり、必要栄養素量を毎日摂取していくべきです。

カロリー理論は問題のある理論ですが、完全に間違っているわけではなく、最も問題があるのは現在の推奨PFCバランスです。