骨粗鬆症の栄養療法

(2020年9月2日の記事を修正しました)

■長寿国の日本に多いお婆ちゃんの腰が曲がるという症状は、タンパク質の不足が原因のひとつです。

日本では、欧米に比べてタンパク質摂取量が極端に少ないことが見落とされています。

骨は、軟骨(コラーゲン=タンパク質+鉄+ビタミンC)にカルシウムが沈着して形成されますが、タンパク質不足で軟骨が脆くなってます。

高齢になってもタンパク質量(≧0. 8g/kg 体重/日)を確保することが重要です。(2000年のHannanら2018年のRizolliら

■軟骨のコラーゲンが劣化する原因は、精製糖質の過食による糖化です。

糖化とは過剰な糖質がタンパク質と結合して、AGEs(最終糖化産物)という老化物質を作り、これが骨粗鬆症の原因となります。(2019年、Asadipootaら

糖化が起こった骨は、褐色に変色します。顔のシミと同じ現象が起こって、骨が脆くなります。

糖尿病などで顕著になる糖化の原因は、精製糖質の過食です。(2014, Sanguineti)

■乳製品を摂らないこと。

乳製品に含まれるミネラルは、リンが極端に多く含まれるというバランスの問題があります。

リンは摂りすぎると血液を酸性に傾ける性質を持っており、血液の平衡を保つために、アルカリミネラルであるカルシウムとマグネシウムが骨から溶出するからです。

乳製品を摂るほど、骨折が増えることが知られています。別記事で詳しく解説しています。

横断研究およびケースコントロール研究では、ミルクと乳製品の摂取量と骨粗鬆症および股関節骨折のリスクとの間に逆の関連性がありましたが、コホート研究ではそのような関連性は見られませんでした。ケースコントロール研究に対するコホートの利点を考えると、牛乳や乳製品の摂取量を増やすことは、骨粗鬆症や股関節骨折のリスクを下げることとは関連がないと結論付けられています。(2020年、Malmirら

ただし、ミネラルを含む水分を含まず、ほぼ脂質のバターと生クリームは摂取しても問題ありません。

乳製品については、マグネシウムに比べてカルシウムを多く含みすぎている問題もあります。

■ビタミンDをサプリの天然の非活性型ビタミンD3で補う。

人間の身体は、赤道直下で裸で生活するようにデザインされています。

日本で生活すると日光不足でビタミンD不足がほぼ全員に起こって来ますので、ビタミンDの摂取が必須です。

オゾン層が破壊されつつあり、温暖化が進む現代では、紫外線による皮膚癌や白内障の問題、熱射病の問題がありますので、安易に日光浴を勧めることは出来ません。

干し椎茸や青魚などの食物にも非活性型ビタミンDは含まれていますが、1食で摂取可能なビタミンD量は50~200IU程度で量的に少ないため、規定量の1000〜2000IUに到達することは困難です。

コレステロールは自分で作ることが出来るので、プロビタミンDまでは人体で自然に作ることが出来ますが、紫外線によってプレビタミンDに変換することが出来ません。

次の方法として食物にも含まれるビタミンDを摂るわけですが、食物だけでは不十分なのでサプリで摂るという方法です。
摂取すべきサプリの優先順位を付けるならば、このビタミンDは上位になります。

海外の骨粗鬆症のガイドラインでは非活性型ビタミンDをサプリなどで摂取することが一般的ですが、日本では医薬品で合成の活性型ビタミンD類似体の摂取が勧められています。文献で推奨されているのは、非活性型の天然のビタミンD3です。海外の医薬品の治療ガイドラインでは合成の活性型ビタミンD類似体は記載されていません。

骨粗鬆症、変形性関節症、筋骨格疾患の臨床的および経済的側面に関する欧州協会 (ESCEO)および国際骨粗鬆症財団 (IOF) からの見解では、活性型ビタミンD類似体は、低カルシウム血症を招く副甲状腺機能低下症および 1α-ヒドロキシル化障害を伴う腎不全では必要ですが、一般的には高カルシウム血症になるリスクが懸念されています。(2015年、Cianferottiら

また活性型ビタミンD類似体は、体内のビタミンD貯蔵量を最も反映する25ヒドロオキシビタミンDに貢献出来ません。またサプリの非活性型ビタミンDは半減期が15〜20日、医薬品の25ヒドロオキシビタミンD類似体は半減期が15時間~50時間と短いため、体内動態が安定しにくいです。

天然のビタミンD製剤の摂取は、1日2000IUが推奨されています。(2014年、Gallagherら

■カルシウムと同量以上のマグネシウムを摂取する。

カルシウムとマグネシウムは拮抗元素であり、例えば血管の収縮と弛緩にそれぞれ関係しています。

摂取比率は議論のあるところですが、同量またはマグネシウムを多めに摂取することが現在は推奨されています。

カルシウムとマグネシウムを含む食材は、乳製品を除くと共通している食材が多いです。

これらの食材を積極的に摂取することが大切です。