寒ブリとオリゴスキャン
水銀の問題があるので、「魚は鯛より小さい魚を食べましょう」と説明しています。
私は普段はマグロなどの大型魚は一切食べませんが、唯一食べる大型魚が寒ブリで、冬場は結構食べております。
3ヶ月おきにオリゴスキャンで自分のデータを取っていますので、水銀の推移をグラフにしました。
おおまかな傾向として、寒ブリを食べている冬場に水銀が高くなっているようです。今年は特によく食べたので、水銀の値が跳ね上がっています。
北極海に住む生体のメチル水銀の量が、1850年以降急激に増えていることが報告されています。
大型海洋生物を食べるイヌイットの血中水銀濃度は1992年の時点では非常に高い数値でしたが、食の西洋化により2004年では32%下がっていることが報告されています。(2008年、Fontaineら)
食物連鎖の地位が高い大型魚ほど水銀が濃縮されています。成熟の早いサケが例外で、「鯛より大きな魚を食べない」が水銀を摂らない基本になります。
ヒトにおける水銀の体内半減期はおよそ70日と言われており、私の上図の結果の夏場に水銀が下がるデータと一致しています。
水銀は、セレンとモル比で1対1のセレン化水銀として安定した金属粒子を形成して排泄されることが知られています。(水銀のデトックス)(水産物のメチル水銀とセレン)
当院のデータでも、すべての必須ミネラルの中で、最も水銀のデトックス効果が期待できるのがセレンですが、P=0.065で統計学的な有意水準(P<0.05)にわずかに到達していません。散布図で見ると、ゆるやかな負の相関があるように見えます。
セレンは、するめいか、豚レバー、鶏レバー、牛レバー、かつお、うなぎ、さんま、鮭、豚は含まれていますが、食生活の極端な偏りがなければ、通常は不足することはありません。
気になる方は、セレンをサプリで摂取することも可能です。