ニキビを漢方で改善|論文
まとめ:尋常性痤瘡(ニキビ)は、中医学では肺胃の熱や湿熱を基本とし、肝気鬱結、脾虚湿盛、痰湿、血瘀、衝任失調、陰虚火旺などが複雑に関与すると考えられる。初期には肺経風熱や肺胃熱盛によって紅色丘疹や膿疱が生じ、慢性化すると痰湿と瘀血が互結して結節や囊腫を形成する。また、脂っこい食品や甘味の過剰摂取による脾胃湿熱、精神的ストレスによる肝鬱化火、月経異常に伴う衝任失調なども発症や再発に関与する。治療は清熱解毒、清肺胃熱、健脾祛湿、疏肝理気、活血化瘀、化痰散結を基本とする。肺経風熱には銀翹散(金銀花、連翹、桔梗、薄荷、牛蒡子、淡豆豉、荊芥、淡竹葉、芦根、甘草)や枇杷清肺飲(枇杷葉、桑白皮、黄連、黄柏、人参、甘草)、胃腸湿熱には葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、甘草)や茵陳蒿湯(茵陳蒿、山梔子、大黄)、肝鬱化火には**丹梔逍遙散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、甘草、牡丹皮、山梔子、薄荷、生姜)**などを用いる。

慢性化して痰湿と瘀血が互結した場合には二陳湯合桃紅四物湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草、桃仁、紅花、当帰、川芎、白芍、熟地黄、生姜、烏梅)、血瘀が主体の場合には桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)、月経異常を伴う衝任失調には**温経湯(呉茱萸、当帰、川芎、芍薬、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、生姜、甘草、半夏、麦門冬)や当帰芍薬散(当帰、川芎、芍薬、白朮、茯苓、沢瀉)**などを弁証に応じて用いる。
また、難治性痤瘡では熱証だけでなく、脾陽虚、寒湿、陰虚などの虚証を考慮する必要がある。食生活、精神的ストレス、睡眠、便通、月経周期などを含めて全身状態を評価し、病期と体質に応じて処方を調整することが重要である。
尋常性痤瘡(ニキビ)に対する中薬内服と刺絡抜罐を組み合わせた内外同治療法についての総説である。中医学では痤瘡の病因病機を肺経風熱、肺胃熱盛、胃腸湿熱、痰湿瘀滞、肝鬱気滞、衝任失調などに分類する。肺経風熱には銀翹散や枇杷清肺飲を加減し、金銀花、連翹、枇杷葉、桑白皮、黄芩、山梔子、赤芍、牡丹皮などを用いる。肺胃熱盛には金銀花、連翹、黄芩、山梔子、赤芍、牡丹皮、丹参、蒲公英、野菊花などを用い、痰湿瘀滞や結節・囊腫型痤瘡には二陳湯や桃紅四物湯を基本として、半夏、陳皮、茯苓、浙貝母、海藻、昆布、桃仁、紅花、丹参、三棱、莪朮などを加減する。肝鬱気滞や衝任失調を伴う女性では柴胡、鬱金、香附子、当帰、白芍、益母草などを加える。血瘀痰凝型の集簇性痤瘡には余氏消痤方が紹介され、丹参を君薬として赤芍、白花蛇舌草、牡丹皮、黄耆、陳皮、路路通、皂角刺、防風などを配合する。湿熱蘊結型では翹荷湯合瀉黄散とアダパレン外用の併用により、総有効率93.67%と対照群の81.82%を上回ったと報告されている。刺絡抜罐は大椎、肺兪、膈兪、曲池などを中心に行い、肝鬱や衝任失調には肝兪、太衝、血海、三陰交などを選択する。中薬には抗炎症、抗菌、皮脂分泌調節、毛包角化改善などの作用が期待され、刺絡抜罐には局所微小循環の改善や炎症反応の調節が期待される。両者の併用は皮疹の改善、再発抑制、生活の質の向上に有用な可能性があるが、現時点では小規模研究や臨床経験報告が中心であり、有効性と安全性を確立するには質の高い比較試験が必要である。なお、本論文には各方剤の詳細な構成生薬や用量がすべて記載されているわけではない。(2026年、孫燕麗)
尋常性痤瘡を単なる皮膚局所の炎症ではなく、臓腑機能の失調と気機の昇降出入の異常によって生じる病態と捉え、『黄帝内経』の開闔枢理論と『傷寒論』の六経弁証に基づき、経方による治療を考察した総説である。開闔枢とは、太陽・太陰を開、陽明・厥陰を闔、少陽・少陰を枢とし、気血津液の運行を調節する理論である。痤瘡の発症過程では、肺衛の宣発失調によって腠理が閉塞し、津液が停滞して湿を生じ、湿が鬱して熱となり、さらに痰濁と瘀血が形成され、丘疹、膿疱、結節、囊腫、瘢痕へ進展すると考える。太陽病では外邪による腠理閉塞と陽気鬱滞を重視し、開鬼門によって発汗解表、宣肺通陽を図る。営衛不和には桂枝湯(桂枝、白芍、炙甘草、生姜、大棗)、表寒による経脈拘急には葛根湯(葛根、麻黄、桂枝、白芍、炙甘草、生姜、大棗)、寒湿が強い結節囊腫型には麻黄加朮湯(麻黄、桂枝、杏仁、炙甘草、白朮)、表閉鬱熱には麻黄連翹赤小豆湯(麻黄、連翹、赤小豆、杏仁、桑白皮、生姜、大棗、甘草)、肺経鬱熱には麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、炙甘草)を用いる。また、陽気不足と水湿停滞を伴い、顔面の油膩、結節、囊腫、舌胖大、白滑苔、小便不利などを呈する場合には五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝)を用いる。陽明病では胃腸の湿熱、腑気不通、瘀熱上逆を重視し、潔浄府によって清熱通腑を図る。陽明経熱には白虎湯(石膏、知母、粳米、炙甘草)、気津両傷には白虎加人参湯(石膏、知母、粳米、炙甘草、人参)、腑実熱結には大承気湯(大黄、芒硝、厚朴、枳実)、便秘、煩躁、暗紅色の硬結性痤瘡を伴う瘀熱互結には桃核承気湯(桃仁、大黄、桂枝、芒硝、炙甘草)、痰瘀結聚による暗紅色の結節や瘢痕には桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)を用いる。太陽陽明合病で外寒内熱、顔面油膩、紅赤、湿熱蘊結を呈する場合には葛根芩連湯(葛根、黄芩、黄連、炙甘草)を用い、少陽陽明合病による肝胆鬱熱と胃腸湿熱には茵陳蒿湯(茵陳蒿、山梔子、大黄)や大柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、白芍、枳実、大黄、生姜、大棗)を用いる。少陽病では枢機不利による気機鬱滞を重視し、往来寒熱、胸脇苦満、食欲不振などを伴う場合には小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、炙甘草、生姜、大棗)を用いる。中焦の寒熱錯雑、脾胃昇降失調によって心下痞、悪心、下痢などを伴う場合には半夏瀉心湯(半夏、黄芩、黄連、乾姜、人参、炙甘草、大棗)、肝鬱脾虚と気機失調には四逆散(柴胡、白芍、枳実、炙甘草)を用いる。太陰病では脾陽不足による水湿停滞を重視し、顔色淡白、暗色の丘疹、腹満、食欲不振、軟便、手足不温、胖大舌、歯痕舌などを呈する場合には理中湯(人参、白朮、乾姜、炙甘草)を用い、陽虚を背景として膿疱や結節が難消難潰となる場合には薏苡附子敗醤散(薏苡仁、附子、敗醤草)を用いる。少陰病では心腎陽虚または陰虚火旺を重視し、陽虚水湿停滞による暗色の丘疹、難治性囊腫、清稀な排膿、畏寒、四肢冷感には真武湯(茯苓、白朮、白芍、附子、生姜)、陽虚寒凝には陽和湯(熟地黄、鹿角膠、肉桂、麻黄、白芥子、姜炭、生甘草)、陰盛格陽による虚陽浮越には四逆湯(附子、乾姜、炙甘草)を用い、封髄丹や潜陽丹を合方する場合もある。一方、夜更かしや精神的ストレスによって腎陰が損傷し、心火が亢進する少陰熱化証には黄連阿膠湯(黄連、黄芩、阿膠、白芍、鶏子黄)を用いる。厥陰病では肝気鬱結、寒熱錯雑、気滞血瘀を重視し、上熱下寒、手足冷感、軟便、顔面の炎症性痤瘡には烏梅丸(烏梅、細辛、乾姜、黄連、当帰、附子、花椒、桂枝、人参、黄柏)、少陽不和に太陰虚寒を兼ねる場合には**柴胡桂枝乾姜湯(柴胡、桂枝、乾姜、黄芩、天花粉、牡蛎、炙甘草)を用いる。女性で月経遅延、月経痛、経血量減少、下半身の冷えと顔面の丘疹・膿疱を伴う場合には温経湯(呉茱萸、当帰、川芎、白芍、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、生姜、甘草、半夏、麦門冬)を用い、血虚水飲を伴う場合には当帰芍薬散(当帰、白芍、川芎、茯苓、白朮、沢瀉)を合方する。また、寒凝血瘀による紫暗色の硬結性痤瘡には当帰四逆湯(当帰、桂枝、白芍、細辛、通草、炙甘草、大棗)**を用いる。以上より、痤瘡は火熱や湿熱だけでなく、表閉、気機鬱滞、陽虚、水湿、痰濁、瘀血、寒熱錯雑など多様な病機から生じるため、三陽病では開鬼門、潔浄府、利枢機を、三陰病では温陽扶正と去宛陳莝を基本とし、体質、全身症状、舌診、脈診に基づく方証相対が重要である。ただし、本論文は経方の適応と病機を論じた理論的総説であり、各方剤の具体的な投与量や統一された臨床有効率は示されていない。なお、上記の構成生薬は原論文にすべて列記されているものではなく、一般的な経方構成に基づいて補完したものである。(2026年、韓周欣)
乾燥・炮製していない新鮮な生薬である鮮薬を用いた皮膚疾患治療についての総説である。鮮薬は清熱解毒、涼血、抗炎症、抗菌、止痒作用を有し、単純疱疹、帯状疱疹、尋常性疣贅、扁平疣贅、尋常性痤瘡、丹毒、湿疹、乾癬、接触性皮膚炎、虫刺症、真菌性皮膚疾患などに応用されている。特に鮮馬歯莧は適応範囲が広く、単純疱疹には搾汁液の外用、帯状疱疹には鮮馬歯莧汁と食酢の外敷、湿疹には鮮馬歯莧200gを水2000mLで3分間煮沸した液による湿布が報告されている。帯状疱疹には鮮魚腥草汁、鮮仙人掌汁、鮮茜草汁、鮮海金沙などの外用も報告され、尋常性疣贅には鮮杠板帰や鮮旱蓮草、扁平疣贅には鮮馬歯莧、鮮敗醤草、鮮灯籠草などが用いられる。尋常性痤瘡には鮮仙人掌、鮮蘆薈、鮮枸杞子の外用が紹介され、鮮蘆薈汁とエリスロマイシン軟膏の併用や、鮮枸杞子泥の外敷と加味桃紅四物湯の内服による治療が報告されている。乾癬には紫草、苦参、土茯苓、刺蒺藜、牡丹皮、地膚子、白鮮皮、防風、板藍根の煎剤内服と鮮馬歯莧の煎液による外洗を併用する。鮮馬歯莧や鮮魚腥草は乾燥品より強い抗菌作用を示した基礎研究があり、鮮馬歯莧には炎症性物質や瘙痒関連物質を抑制する作用も報告されている。一方、鮮薬の外用による刺激性接触皮膚炎、光線過敏性皮膚炎、二次感染などの有害事象も報告されており、必ずしも安全とは限らない。鮮薬は乾燥生薬とは異なる薬理学的特徴を持つ可能性があるが、臨床報告の多くは症例報告や小規模研究であり、有効性と安全性を確立するためには質の高い臨床試験が必要である。(2025年、古琴妹)
尋常性痤瘡に対する中医学的治療の現状と研究進展をまとめた総説である。痤瘡の病因病機には肺経風熱、肺胃湿熱、痰湿瘀滞、衝任失調、陰虚内熱、毒熱蘊結、寒湿などがあり、飲食不節による脾胃積熱、肺熱、湿熱、痰瘀互結に加え、肝腎失調や気血の運行障害が関与すると考えられている。肺経風熱証には清肺解毒を目的に枇杷清肺飲(枇杷葉、桑白皮、黄連、黄柏、人参、甘草)や平痤方(構成生薬未確認)を用い、枇杷清肺飲と外用治療の併用では有効率88.1%、再発率16.7%と報告されている。肺胃湿熱証には白虎湯合枇杷清肺飲(石膏、知母、甘草、粳米、枇杷葉、桑白皮、黄連、黄柏、人参)、茵陳蒿湯合黄連解毒湯(茵陳蒿、山梔子、大黄、黄連、黄芩、黄柏)などを用いて清泄肺胃、清熱利湿を図る。痰湿瘀滞証には化痰散結丸(構成生薬未確認)、八生消瘰丸(構成生薬未確認)、消痤温胆湯(温胆湯の基本構成は半夏、竹茹、枳実、陳皮、茯苓、甘草、生姜、大棗であるが、本方の加減内容は未確認)などを用い、消痤温胆湯と電火針の併用では著効・有効率83.33%と報告されている。衝任失調証には金菊香方(構成生薬未確認)、二至丸合逍遙丸(女貞子、旱蓮草、柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、甘草、薄荷、生姜)、柴胡疏肝散(柴胡、陳皮、川芎、香附子、枳殻、白芍、甘草)などを用いて調補衝任、養陰清熱、疏肝理気を図る。陰虚内熱証には滋陰瀉火、清肺涼血を目的に消痤湯(構成生薬未確認)を用い、背部兪穴への刺絡放血との併用で総有効率96.67%と報告されている。毒熱蘊結証には五味消毒飲(金銀花、野菊花、蒲公英、紫花地丁、紫背天葵子)合梅花点舌丹(構成生薬未確認)、**清熱涼血湯(同名異方があり構成生薬未確認)などを用い、寒湿証には温経燥湿湯(構成生薬未確認)**を用いて温陽散寒、燥湿化濁を図る。中薬内服と外治法の併用は皮疹の改善や再発抑制に有用な可能性があるが、研究間で治療方法や評価基準が異なり、臨床研究の規模や質にも限界があるため、今後は弁証分類と治療方法の標準化が必要である。なお、構成生薬は古典方剤の一般的な組成を補記したものであり、原論文で使用された処方の詳細な構成生薬および用量は記載されていない。独自方剤については組成を確認できないため補記していない。(2025年、易雪晴)
尋常性痤瘡に対する古典方剤の臨床応用と研究進展をまとめた総説である。中医学では痤瘡の病因病機を風邪、肺熱、胃腸湿熱、脾虚痰湿、肝鬱化火、腎陰虚火旺、痰瘀互結などと捉え、肺経熱盛証、脾虚湿蘊証、胃腸湿熱証、衝任不調証、痰湿蘊阻証などに分類する。肺経風熱証には清肺泄熱を目的に**枇杷清肺飲(枇杷葉、桑白皮、人参、黄連、黄柏、甘草)を用い、黄芩、生地黄、牡丹皮などを加減する。枇杷清肺飲と光線力学療法の併用では、中重度痤瘡84例を対象とした研究で総有効率100%と報告されている。肝鬱気滞証には疏肝解鬱、養血健脾を目的に逍遙散(当帰、茯苓、白芍、白朮、柴胡、生姜、薄荷、甘草)を用い、山梔子、牡丹皮、紫花地丁、魚腥草、川芎、赤芍、土茯苓、蒲公英、敗醤草などを加減する。逍遙散と光線治療の併用では皮疹、炎症反応、生活の質の改善が報告されている。血瘀を主体とし、暗紅色の硬結、囊腫、結節、瘢痕を伴う痤瘡には桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、桃仁、芍薬、牡丹皮)を用い、柴胡、牡蛎、白芷、薏苡仁、丹参などを加減する。寒熱錯雑と湿熱を伴い、口乾、口苦、舌紅、黄厚膩苔などの上熱症状と、胃部膨満、食欲不振、腹鳴などの中焦症状を併せ持つ痤瘡には半夏瀉心湯(半夏、黄連、黄芩、乾姜、大棗、人参、甘草)**を用いる。半夏瀉心湯から人参、大棗を除き、蒲公英、連翹、土茯苓を加えた症例や、茯苓、蒲公英、薏苡仁を加えた症例では、7剤の服用後に皮疹、瘙痒、口臭が軽減し、その後ほぼ消失したと報告されている。その他、葛根黄芩黄連湯、柴胡桂枝乾姜湯、当帰芍薬散、当帰四逆湯などの応用も紹介されている。これらの古典方剤には抗炎症、皮脂分泌調節、免疫調節、腸内細菌叢の改善などを介した作用が示唆されるが、臨床研究の規模や質には限界があり、さらなる比較試験が必要である。なお、本論文では各方剤の基本構成生薬は記載されているが、詳細な用量はほとんど記載されていない。(2025年、黄挽肖)
顛倒散(大黄、硫黄を等量配合)**による尋常性痤瘡、脂漏性皮膚炎、酒皶(玫瑰痤瘡)などの顔面炎症性皮膚疾患に対する治療効果と作用機序をまとめた総説である。顛倒散は『医宗金鑑』に記載された古典外用方剤で、大黄と硫黄をそれぞれ細末にして等量混合し、冷水で調えて患部に塗布する。中医学的には清熱解毒、活血化瘀、散結止痒の作用を有し、特に熱毒、痰湿、瘀血が皮膚に鬱滞する病態に適している。大黄に含まれるアントラキノン類には抗炎症、抗菌、抗酸化作用があり、硫黄には抗菌、抗真菌、殺虫、皮脂分泌抑制作用が認められる。両者の併用により炎症性物質の産生抑制、痤瘡関連細菌の増殖抑制、皮脂分泌の調節、皮膚バリア機能の改善などが期待される。尋常性痤瘡では、顛倒散の外用と消痤湯の内服を併用した治療や、顛倒散を用いた石膏倒膜療法により、炎症性皮疹の改善と皮膚バリア機能の改善が報告されている。脂漏性皮膚炎では、中薬内服と顛倒散外用の併用により皮疹の改善、再発率の低下が報告され、マラセチアに関連する炎症反応を抑制する可能性が示唆されている。酒皶では、顛倒散とレーザー治療の併用により顔面紅斑や炎症性丘疹の改善が報告されている。作用機序としては、炎症性細胞内情報伝達経路の抑制による炎症性物質の産生低下、細菌の酵素活性阻害、抗酸化作用などが考えられている。一方、外用後に紅斑、瘙痒、浮腫、乾燥、軽度の色素沈着などが生じる場合があり、大黄と硫黄の配合比率を調整することで刺激性を軽減できる可能性がある。顛倒散は簡便で安価な外用治療として有用性が期待されるが、臨床研究の多くは併用療法の観察研究であり、単独での有効性、安全性、最適な配合比率や使用方法については十分に確立されていない。なお、本論文には大黄と硫黄の等量配合が記載されているが、具体的な使用量、塗布時間、使用頻度についての統一的な記載はない。(2023年、王蘭)
尋常性痤瘡の中でも頻度の高い肺経風熱証に対する中医学的治療の研究進展をまとめた総説である。肺経風熱型痤瘡は、風熱の邪が肺経に侵入し、肺熱が肌表に鬱滞することで発症すると考えられ、顔面の黒色面皰や白色面皰、紅色丘疹、膿疱、瘙痒、疼痛などを特徴とし、舌紅、脈数を伴う。治法は疏風清熱、清肺泄熱、涼血解毒を基本とし、**枇杷清肺飲(枇杷葉、桑白皮、人参、黄連、黄柏、甘草)**を中心に治療する。枇杷清肺飲と火針療法の併用は単独内服より皮疹の改善が良好で、治療期間の短縮も報告されている。また、五味消毒飲(金銀花、野菊花、蒲公英、紫花地丁、紫背天葵子)との合方や、苦参湯との併用、顛倒散(大黄、硫黄)の外用も紹介されている。その他、清肺除刺方(金銀花、丹参、連翹、蒲公英、生石膏、大青葉)、麻黄杏仁甘草石膏湯(麻黄、杏仁、甘草、石膏)、清肺飲(黄芩、野菊花、桑白皮、連翹、地黄、赤芍、牡丹皮)、**春蕾湯(黄芩、地骨皮、桑白皮、金銀花、牡丹皮)**などが用いられる。麻黄杏仁甘草石膏湯加味による治療では総有効率91.67%と報告され、清肺飲とアダパレン外用の併用や春蕾湯の内服でも炎症性皮疹の改善が報告されている。外治法としては火針、電気鍼、刺絡抜罐、耳尖放血、薬物湿布などが用いられ、刺絡抜罐では大椎、膈兪、肺兪、尺沢などを選穴し、総有効率95.6%と報告されている。耳尖放血では左右の耳尖を交互に用い、3日ごとに3~5滴の放血を1か月間継続する方法が紹介されている。さらに、合谷、曲池、大椎、足三里、肺兪などへの鍼治療と中薬内服の併用も有用とされる。肺経風熱型痤瘡では枇杷清肺飲を基本として、清熱解毒薬の加減や外治法を組み合わせる治療が有望であるが、研究の多くは短期間の臨床観察であり、作用機序、長期再発率、治療方法の標準化については十分な検証が必要である。なお、本論文には各方剤の具体的な生薬用量の記載はない。(2019年、花千)
尋常性痤瘡の中医学的証候分類と、体質、重症度、地域差、皮疹の特徴、用薬規律、性ホルモン、免疫指標との関連を検討した研究をまとめた総説である。痤瘡の主要な証型は肺経風熱、胃腸湿熱、痰瘀互結、衝任失調、肝腎陰虚などであり、病位は肺、脾、胃、肝、腎、大腸に及ぶ。72編の文献を解析した研究では43種類の証型が報告され、18種類に整理した結果、湿熱類18.63%、肺熱類16.67%、痰瘀類14.71%、陰虚類8.82%の順であった。また、一部の医家は陽気不足を重要な病因と捉え、夜更かし、不規則な生活、冷飲食などによる陽気損傷から虚火が上浮し、顔面に痤瘡を生じると考えている。体質との関連では湿熱質、陰虚質、痰湿質が比較的多く、湿熱蘊結証は湿熱質、痰湿質、気虚質、陰虚質と、痰湿凝結証は気鬱質、痰湿質、血瘀質と関連していた。重症度との関係では、軽症のⅠ・Ⅱ度は肺経風熱証や肺胃湿熱証が多く、重症のⅢ・Ⅳ度では痰瘀互結証が主体となり、その割合はそれぞれ60.6%、60.0%であった。皮疹の特徴では、初期の面皰や小丘疹は肺経風熱証、前額部の炎症性丘疹や膿疱は肺胃蘊熱証・胃腸湿熱証、口周や頤部の丘疹・結節は衝任失調証、暗紅色の結節・囊腫・色素沈着は痰瘀互結証に多かった。用薬規律では、湿熱内蘊証には連翹、金銀花、蒲公英、薏苡仁、黄芩、黄柏、痰瘀互結証には牡丹皮、当帰、赤芍、桃仁、浙貝母、皂角刺、肝腎不足証には白芍、女貞子、墨旱蓮、山茱萸が頻用され、血熱瘀滞型の外治薬には大黄、丹参、黄芩、白芷、黄柏が多く用いられていた。性ホルモンとの関連では、女性の肝鬱化火証で黄体形成ホルモンと卵胞刺激ホルモンの比が高く、脾胃湿熱証ではテストステロンが高値を示し、肝鬱化火証ではプロラクチンが高値を示す傾向が報告された。免疫指標では、血瘀痰凝証でインターロイキン4が高値、インターフェロンγが低値となり、結節、囊腫、瘢痕形成との関連が示唆された。痤瘡の中医証型は皮疹の形態、重症度、体質、内分泌・免疫状態と一定の関連を示すが、研究間で証型分類が統一されておらず、症例数も限られ、各検査指標の特異性も十分ではないため、今後は客観的な弁証基準の確立が必要である。なお、本論文は証候分類と用薬規律を中心とした総説であり、具体的な方剤の構成生薬や用量は記載されていない。(2018年、張天博)
尋常性痤瘡の病因病機と中医薬による内服治療、鍼灸、刺絡放血、外治法、中西医結合治療の研究進展をまとめた総説である。中医学では痤瘡の病性は火熱を主体とし、湿邪、瘀血、痰濁、陰虚などが関与すると考えられる。素体の陽熱偏盛、肺経血熱、辛辣厚味の過食による脾胃積熱、気血鬱滞、湿熱毒邪の肌表への鬱積などが主な病因病機であり、肺経風熱証、肺胃蘊熱証、脾胃湿熱証、痰瘀互結証、衝任不調証などに分類される。肝腎失調型には柴胡清肝湯加減(川芎10g、当帰10g、白芍10g、生地黄10g、柴胡10g、黄芩10g、黄柏10g、天花粉10g、連翹10g、女貞子15g、墨旱蓮15g、生甘草3g)を用い、12週間の治療で総有効率93.3%と報告されている。清熱解毒、涼血活血を目的とした痤瘡飲(丹参25g、製大黄10g、蒲公英15g、黄芩10g、黄柏10g、知母10g、女貞子15g、墨旱蓮15g、枇杷葉12g)では6週間の総有効率86.0%であった。宣肺化湿解毒法では杏仁10g、半夏10g、白豆蔲10g、薏苡仁15g、厚朴10g、通草8g、竹葉8g、滑石10g、枇杷葉10g、前胡10g、白前10g、紫菀10g、桔梗10g、金銀花10g、蒲公英15g、野菊花10g、紫花地丁10gを用い、4週間の著効・有効率94.0%、治癒率55.33%と報告されている。湿熱を主体とする痤瘡には三仁湯加減(薏苡仁20g、滑石20g、杏仁10g、厚朴10g、通草10g、竹葉10g、製半夏10g、白豆蔲6g)を用い、便秘には大黄、枳実、暗紅色の結節や囊腫には桃仁、紅花、皂角刺、皮脂分泌過多には枳殻、白朮などを加え、内服と外用を併用した治療で総有効率88.6%であった。肺胃蘊熱型には消痤飲(黄芩10g、黄連5g、牛蒡子10g、連翹10g、桔梗10g、板藍根15g、玄参10g、升麻10g、僵蚕10g、蝉退10g、牡丹皮10g、赤芍10g、白芷10g、薏苡仁30g、生大黄5g、生甘草10g)を用い、21日間の総有効率93.5%と報告されている。陰虚火旺を伴う痤瘡には滋陰瀉火方(女貞子20g、墨旱蓮20g、知母12g、黄柏12g、魚腥草20g、蒲公英15g、連翹15g、生地黄15g、丹参25g、甘草5g)とミノサイクリンを併用し、6週間の総有効率83.72%であった。肺経風熱型には桑菊飲加減(桑葉15g、菊花15g、連翹15g、桑白皮15g、白芷15g、甘草6g、桔梗6g、金銀花10g、山梔子10g、黄芩10g)、湿熱蘊結型には五味消毒飲加減(金銀花15g、野菊花15g、紫花地丁15g、皂角刺15g、蒲公英15g、桑白皮15g、枇杷葉15g、薏苡仁20g、車前子20g、茯苓20g、蒼朮10g、甘草6g)、痰湿凝結型には土茯苓30g、薏苡仁30g、萆薢15g、赤芍15g、牡丹皮15g、丹参15g、浙貝母10g、法半夏10g、牡蛎20g、甘草6gを用いる治療が紹介されている。外治法では大椎、肺兪、膈兪、曲池、合谷、血海、足三里、三陰交などへの鍼治療、刺絡抜罐、火針、耳尖放血、穴位埋線などが応用され、三聯鍼法では総有効率95.0%、顔面囲刺と背部兪穴刺絡抜罐の併用では93.33%と報告されている。また、枇杷清肺飲と鍼治療の併用では総有効率93.33%であり、中薬単独の83.33%、鍼治療単独の80.0%を上回った。中薬外用では白及、白芷、茯苓、連翹、金銀花、紫花地丁、蒲公英、丹参を等量配合した薬物面膜と外用薬の併用により、8週間の総有効率94.34%が報告されている。以上より、尋常性痤瘡では火熱、湿熱、痰瘀、陰虚、肝腎失調などの病機に応じた中薬内服に、鍼灸や外治法を組み合わせる治療が有望とされる。ただし、報告された有効率は個別の小規模研究によるものであり、弁証分類、診断基準、治療効果の判定方法が統一されておらず、長期再発率の検討も不足しているため、有効性と安全性について質の高い比較試験が必要である。(2017年、成改霞)
尋常性痤瘡患者180例を対象に、三陰三陽体質の分布と皮疹の特徴、重症度、後遺症との関連を検討した観察研究である。2024年5月から2025年1月までに東直門病院皮膚科を受診した患者を対象とし、女性147例、男性33例、年齢中央値26歳、罹病期間中央値6年であった。痤瘡の増悪因子は精神的ストレス72.6%、夜更かし70.4%、月経46.4%が多く、皮疹は丘疹77.8%、面皰53.3%、結節22.8%、膿疱19.4%、囊腫7.8%であった。中医証型は脾胃湿熱証33.9%、肺経風熱証30.0%、衝任不調証13.3%、痰瘀凝結証11.7%、陽鬱寒凝証11.1%の順であった。三陰三陽体質の分布は、**少陽体質48.9%、陽明体質25.6%、厥陰体質14.4%、太陽体質7.8%、少陰体質2.8%、太陰体質0.6%**であり、少陽体質と陽明体質が全体の約75%を占めた。亜型では少陽乙型38.9%、陽明丙型14.4%が優勢であった。陽明体質では夏季に痤瘡が悪化しやすく、少陽体質では内陸部から沿岸部への居住環境の変化に伴って悪化しやすかった。痤瘡後の色素沈着は66.7%、紅斑は26.1%、陥凹性瘢痕は21.1%に認められ、少陽体質は炎症後紅斑の残存と有意に関連していた。一方、陽明体質では軽症から中等症が多く、重症度との間に負の相関を認めた。これらの結果から、痤瘡患者では少陽・陽明体質が優勢であり、体質によって増悪因子、炎症後の皮膚変化、重症度に違いがある可能性が示された。ただし、単施設180例の横断的観察研究であり、体質と痤瘡発症との因果関係や、体質に基づく治療の有効性を証明したものではない。(2025年、宋玉冰)
中医学的考察では、少陽体質は気機鬱滞と情志失調、陽明体質は胃腸の湿熱、厥陰体質は肝旺、太陽体質は衛陽機能の偏り、太陰体質は脾胃虚弱、少陰体質は心腎の陰陽虚損を特徴としている。とくに最多であった少陽乙型は少陽気鬱、陽明丙型は胃寒気実に相当し、痤瘡の発症を一律に熱証として捉えるのではなく、気鬱、湿熱、寒熱の偏りを体質別に評価する必要性が論じられている。なお、これらは著者による中医学的解釈であり、体質別の処方効果を検証した研究ではない。
尋常性痤瘡に対する中医薬治療の弁証分型と処方用薬の規則性を明らかにするため、2019年11月までの中国医学文献58編を収集し、患者5,364例、18証型、64処方、140種類の生薬を解析した文献研究である。証型の頻度は、**肺経風熱証27.14%、湿熱蘊結証20.81%、湿熱瘀阻証9.49%、肺胃熱盛証8.35%、陰虚火旺証6.77%**の順であり、痤瘡の主要病機として肺胃の熱、湿熱、血瘀が重視された。使用頻度の高い生薬は、甘草59.38%、黄芩50.00%、生地黄50.00%、連翹40.63%、蒲公英35.94%、金銀花34.38%、白花蛇舌草32.81%、丹参32.81%、桑白皮31.25%、牡丹皮29.69%であり、清熱解毒、清熱涼血、清熱燥湿、清熱瀉火、補気を目的とする生薬が多かった。高頻度33生薬の薬性は寒性75.75%、薬味は苦味66.66%が優勢で、帰経は肝、心、胃、肺、脾に多かった。生薬の組み合わせでは、金銀花と連翹、連翹・甘草・黄芩、金銀花・連翹・甘草・黄芩の関連性が高かった。さらに生薬の使用傾向を6群に分類し、①旱蓮草、女貞子、知母、黄柏、生地黄、白花蛇舌草、十薬、甘草、②茯苓、白朮、沢瀉、③桑白皮、枇杷葉、山楂、黄芩、山梔子、牡丹皮、黄連、④野菊花、夏枯草、連翹、金銀花、紫花地丁、茵陳蒿、苦参、蒲公英、丹参、⑤大黄、薏苡仁、⑥赤芍、当帰、浙貝母、陳皮という薬物群が抽出された。これらの結果から、痤瘡治療では二至丸、知柏地黄湯、消風敗毒散、黄連解毒湯、消痤湯、枇杷清肺飲、清胃散、五味消毒飲などを基礎として、清熱解毒、涼血活血、健脾利湿、滋陰降火を組み合わせる処方傾向が認められた。ただし、本研究は既存文献に記載された証型と処方の使用頻度を解析したものであり、各処方の有効性を直接比較したものではなく、生薬の用量についても統一した推奨量は示されていない。(2020年、欧淑玲)
尋常性痤瘡に対する中医薬の内服と外用療法の併用効果を検討した後ろ向き研究である。2017年7月から2018年12月までに受診した患者90例(男性29例、女性61例、平均年齢25.63歳)を、肺経風熱証16例、肝胆湿熱証33例、腸胃湿熱証41例に分類した。肺経風熱証では前額や頬の面皰・炎症性丘疹が主体であり、肝胆湿熱証では顔面の皮脂分泌過多、膿疱、結節を伴い、腸胃湿熱証では前額、下顎、口鼻周囲に皮疹が多く、結節や嚢腫を伴う重症例が多かった。治療は、肺経風熱証に痤瘡一号方(生地黄15g、枇杷葉20g、黄芩15g、連翹20g、夏枯草20g、桑白皮20g、白花蛇舌草25g、当帰15g、陳皮20g、甘草10g、野菊花20g、皂角刺10g)を用いて疏風清熱・瀉火解毒を図り、肝胆湿熱証には痤瘡二号方(竜胆草10g、山梔子10g、黄芩15g、生地黄15g、茵陳蒿15g、柴胡10g、甘草10g、当帰15g)を用いて疏肝清熱・利湿を図り、腸胃湿熱証には痤瘡三号方(黄柏10g、野菊花20g、蒲公英20g、生地黄20g、当帰20g、牡丹皮20g、炒白朮15g、清半夏10g、陳皮20g、甘草15g、連翹20g)を用いて清熱利湿・涼血解毒・散結を図った。さらに全例に黄柏、連翹、丹参、馬歯莧を等量配合した消炎中薬面膜を併用し、水で泥状に調製して患部に30分間塗布する処置を隔日で実施した。煎じ薬は朝夕各100mLを6週間服用した。治療後は皮疹スコアおよび中医症状スコアがいずれも有意に改善し、**総有効率は91.11%(82例/90例)**であった。証型別では肺経風熱証100%、肝胆湿熱証87.89%、腸胃湿熱証90.25%であり、肺経風熱証で最も良好な結果が得られた。ただし、肺経風熱証は治療前から皮疹が比較的軽症であった。副作用として内服による軽度の腹痛・下痢が2例、外用面膜による発赤・瘙痒が3例認められた。本研究は対照群のない後ろ向き解析であり、内服薬と外用面膜それぞれの独立した効果や長期再発予防効果については明らかでない。(2019年、盧薪竹)
尋常性痤瘡に対する中医薬治療の処方傾向を明らかにするため、2004~2014年の臨床研究48編に記載された53処方、160種類の生薬を解析した文献研究である。生薬の総使用頻度は910回であり、1処方当たり平均17.17種類の生薬が使用されていた。使用頻度が高かった生薬は、黄芩32回、甘草31回、生地黄28回、牡丹皮28回、赤芍27回、丹参23回、金銀花22回、夏枯草21回、桑白皮21回、連翹21回、当帰20回、蒲公英19回、枇杷葉19回、黄連18回、黄柏18回、大黄18回であった。治法別では、清熱法517回、理気祛湿法211回、活血化瘀法107回が中心であり、補益肝腎法32回、健脾護中法30回、安神法6回が補助的に用いられていた。清熱法では金銀花、連翹、蒲公英、紫花地丁、野菊花による清熱解毒、生地黄、牡丹皮、赤芍による清熱涼血、夏枯草、桑白皮、枇杷葉、山梔子、石膏による清熱瀉火、黄芩、黄連、黄柏、苦参による清熱燥湿が重視された。理気祛湿法では浙貝母、皂角刺による化痰散結、白芷、柴胡、防風による疏風解表、香附、枳殻による理気、蒼朮による燥湿健脾、薏苡仁、茯苓、茵陳蒿による利水滲湿が用いられた。活血化瘀法では丹参、桃仁、益母草、紅花、川芎、当帰が中心であり、長期化した痤瘡に伴う暗紅色の結節、囊腫、瘢痕、色素沈着に対して重視された。中医学的病機として、素体陽盛を背景に肺胃の鬱熱が生じ、辛辣・肥甘厚味の過食や情志失調によって気鬱、湿熱、痰濁が形成され、さらに慢性化すると気血運行が阻害されて瘀血が生じると考察している。臨床的には、紅色丘疹、疼痛、口渇、便秘、尿黄、舌紅苔黄、脈数には清熱法、顔面の皮脂分泌過多、瘙痒、口臭、胸悶、膩苔、脈弦滑には理気祛湿法、暗紅色の結節・囊腫、瘢痕、色素沈着、舌の瘀点には活血化瘀法を中心に選択する。また、女性で月経不順、無月経、腎陰不足、衝任失調を伴う場合には白芍、女貞子、墨旱蓮、山茱萸などによる補益肝腎法を加え、脾虚湿盛や寒涼薬による脾胃損傷を考慮する場合には白朮、山薬、党参による健脾護中法を併用する。不眠、精神的ストレス、心火上炎を伴う場合には百合、琥珀などによる安神法を加える。以上より、痤瘡の基本治法は清熱解毒、理気祛湿、活血化瘀であり、病位は主として肺、脾、肝に関連し、心、腎の失調も考慮して弁証加減することが重要とされた。ただし、本研究は有効率70%超の臨床報告を選択した処方頻度の解析であり、個々の生薬や治法の有効性を比較検証したものではなく、具体的な処方用量も示されていない。(2016年、温淑婷)
尋常性痤瘡と食生活の乱れとの関連を明らかにするため、古典医籍および現代医学文献を検討し、食事制限、食事療法、脾胃からの弁証治療について考察した文献研究である。中医学的には、肥甘厚味、辛辣刺激物、甘味、脂肪の多い食品、飲酒などの過剰摂取によって脾胃の運化機能が損傷し、湿熱が内生して肺胃に鬱積し、顔面へ上蒸することで痤瘡が発症すると考える。さらに湿熱が長期間停滞すると痰濁や瘀血を形成し、炎症性丘疹、膿疱、結節、囊腫などへ進展すると解釈している。現代医学的にも、高糖質・高脂肪食などの食習慣が代謝や内分泌機能を介して痤瘡の発症・増悪に関係する可能性があるとし、食事と痤瘡の関連を示した疫学研究を紹介している。ただし、個々の食品の影響や発症機序については十分に解明されていない。食事指導では、高糖質食品、脂肪の多い食品、辛辣食品、飲酒を控えることを基本とし、魚介類や羊肉なども伝統的な食事禁忌として取り上げているが、これらすべての食品が痤瘡を悪化させるという確実な臨床的根拠が示されたわけではない。食事療法は病因病機と体質に応じて選択する補助療法と位置づけ、食事改善だけで治癒が得られない場合には薬物治療との併用が必要と述べている。
さらに、痤瘡治療に使用された生薬の頻度解析では、黄芩30回、山梔子30回、赤芍26回、連翹26回、生地黄25回などの清熱・涼血薬が高頻度で使用され、清熱瀉火、養血活血、散結消腫、健脾滲湿が主要な治療方針として抽出された。著者は、痤瘡を肺胃の湿熱だけで説明するのではなく、脾胃を中心とする気機昇降と水湿代謝の失調を重視し、胃腸湿熱証では清熱除湿に健脾運化を組み合わせ、気滞血瘀証では健脾理気によって気血の運行を改善する必要があると考察している。また、苦寒性の清熱薬を過剰に使用すると脾胃を損傷し、脾陽虚や運化失調を助長する可能性があるため、白朮などの健脾薬や理気消食薬を適宜配合することが重要とされた。食事の改善、清熱除湿、活血化瘀に加えて、脾胃機能を保護・回復させることが痤瘡の治療と再発予防に重要であるというのが本研究の中心的な結論である。ただし、本研究は文献調査と処方頻度解析であり、食事療法や健脾薬の追加による治療効果を直接検証したものではない。(2016年、皮佩瑶)
