糖質制限、ケトジェニックによる湿疹、色素性痒疹

(2019年6月22日の記事を加筆・修正しました)

色素性痒疹は 胸部や項部、背部を中心に強い掻痒感を伴う紅色丘疹 および紅斑が繰り返し出現し、皮疹の消褪後に粗大な 網目状色素沈着を残すことが報告されてます。

本疾患の原因は未だに不明ですが、近年はダイエット、糖質制限、摂食障害、糖尿病との関連が示唆されることから、ケトン体との関係を推測されています。

ケトン体の過多に伴う表皮細胞のATP分泌過多によって、衣服などの接触刺激による接触性皮膚炎が起こっていると推測してます。亜鉛欠乏と同じ作用機序です。

国内での報告例があります。

http://www.tokushima-med.jrc.or.jp/hospital/14/2017pdf/012.pdf

1.治療法は、糖質制限を緩めることです。糖質制限を緩めると言っても、精製糖質ではなくイモなどの根菜、バナナなど果物の複合炭水化物をお勧めします。白米、パン、麺、お菓子、ジュースなどの精製糖質を避ける糖質選択は忘れないでください。

2.欠食や断食をするとケトン体が上がりやすくなりますので、できれば1日3食以上、2食にするなら間食で複合炭水化物(イモ、バナナ、ソバ、玄米など)を摂取してください。

3.糖質を摂る量を増やせば、インスリンが分泌されて、グルカゴンが分泌されず、過剰なケトン体の生成が止まって皮膚症状は改善されます。

4.このグルカゴンの分泌を抑制するものの中で、ポイントになるのがGLP-1で、GLP-1の分泌を促進するのが、食物繊維と咀嚼です。特に腸内細菌のエサになる水溶性食物繊維です。

5.アミノ酸の過剰摂取でグルカゴンの分泌は促進されますので、プロテインなどの大量摂取は注意が必要です。(1970年、Ungerら)動物性タンパク質の摂取はグルカゴン分泌を刺激しますが、ブドウ糖と脂肪酸の摂取はグルカゴンの分泌を抑制します。(2019年、Adeva-Andanyら

6.一般の方の食べる順番は、プロテインファースト・カーボラストですが、グルカゴンの分泌を抑えるために、逆のカーボファースト・プロテインラストにします。(2016年、kuwataら

7.亜鉛欠乏症のある人、マグネシウム欠乏による乾燥肌や湿疹体質の方が、強めの糖質制限するとこの色素性掻痒が出やすくなりますので、不足したミネラルを補給します。

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