線維筋痛症の中医論文
まとめ:線維筋痛症(FMS)は中医学では主に**「痹証・筋痹・周痹」として捉えられ、多くの論文に共通する中心病機は肝鬱気滞・肝失疏泄である。情志失調から肝気鬱結を生じ、気滞→血瘀→経絡痹阻による「不通則痛」へ至る一方、肝鬱が脾に及ぶと脾虚→気血生化不足・痰湿内生となり、筋脈失養による「不栄則痛」を生じる。さらに慢性化すると肝血・肝腎不足、陽虚、寒湿、痰瘀などが加わる本虚標実・虚実夾雑**へ進展すると整理できる。したがって治療は疏肝解鬱・理気を基本に、健脾益気、養血柔肝、活血化瘀、化痰除湿、通絡止痛を証に応じて組み合わせる。代表的には柴胡疏肝散、逍遥散、柴胡桂枝湯、柴胡加竜骨牡蛎湯などの柴胡類方が多く、脾虚・痰湿には健脾化痰、血瘀には活血通絡、陽虚には温陽、肝腎不足には補益肝腎を加える。また近年は**少陽枢機不利、湿熱阻絡・三焦不利、陽気不足、伏邪(痰湿・瘀血)**などから病態を捉える報告もみられる。
総じて、FMSは単なる疼痛疾患ではなく、**「情志失調→肝鬱→脾虚・気血不足→痰湿・血瘀→筋脈の痹阻・失養」**を主要な流れ
線維筋痛症(FMS)の中医証候研究を整理し、肝腎不足、寒湿痹阻、痰熱擾心、肝鬱気滞の4証を主要証候として提案している。また、中医治療の評価は「治療前(診断・ベースライン)→治療中(効果判定・処方調整)→治療後(転帰評価)」の3段階で標準化し、代謝解析・プロテオーム解析などを活用した客観的な証候評価の確立が今後の課題であると述べている。文中では、温胆湯(半夏、竹茹、枳実、陳皮、茯苓、甘草、生姜、大棗)、解鬱止痛方(構成生薬の記載なし)、**六味地黄丸合芍薬甘草湯(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、茯苓、牡丹皮、芍薬、甘草)**が紹介され、特に六味地黄丸合芍薬甘草湯は肝腎陰虚型FMSの症状改善に有効で、多経路・多標的の抗炎症・鎮痛作用が示唆されている。 (2026, 宁辉丽)
線維筋痛症(FMS)の病機を**「肝気滞塞・玄府開闔失度」**と捉え、「調肝疏気暢玄・祛邪消積通玄・培元解痹振玄」を治療の基本とする。病期に応じて、初期は疏肝解鬱、中期は痰湿・瘀血の除去、慢性期は扶正と通痹を重視し、「調理肝気」を一貫した治療方針としている。**柴胡疏肝散(柴胡、香附子、川芎、陳皮、枳殻、白芍、甘草)**に辛香薬(丁香、薄荷、荊芥、細辛、呉茱萸、白芷)を加味して初期を治療し、**越鞠丸(香附子、川芎、蒼朮、神麴、梔子)合三仁湯(杏仁、白蔻仁、薏苡仁、半夏、厚朴、通草、滑石、竹葉)で痰湿・瘀血を除去、慢性期には解鬱通痹湯(当帰、白芍、柴胡、茯苓、白朮、炮姜、薄荷、遠志、鶏血藤、威霊仙)合升降散(僵蚕、蝉退、姜黄、大黄)**を基本とし、生黄耆・炙黄耆を大量に併用して扶正・通痹を図る治療法を紹介している。 (2025, 李喜媛)
線維筋痛症(FMS)を**「筋痹」として捉え、陽気不足を中核病機とする理論を提唱している。陽気不足により衛陽不固となって風寒湿邪が侵入し、筋脈失養・痹阻を生じるほか、五臓の陽虚から神明が失養され、疲労、睡眠障害、抑うつ、不安、認知障害などを来すと考える。さらに陽虚は痰湿・瘀血を生じ、「陽虚―痰瘀―陽虚」の悪循環によって症状が慢性化・難治化すると論じ、治療では温陽扶陽**を中心に筋を養い神を安定させることの重要性を強調している。なお、本論文は病因病機の考察が中心であり、具体的な方剤(構成生薬)の記載はない。(2025, 陈梓瑜)
600例の線維筋痛症(FMS)患者の実臨床データを人工知能(AI)で解析し、6つの中医証候に分類する診断モデルを構築した。AIにより①肝鬱脾虚兼血瘀、②肝鬱化火・脾虚湿盛、③肝腎虧虚・寒湿痹阻、④心腎不交・気血虧虚、⑤邪痹関節、⑥肝鬱気滞・痰熱擾心の6証型を抽出し、FMS診断モデルは正確度0.76、F1スコア0.79と良好な診断性能を示した。FMSでは乏力、白苔、睡眠障害、悪寒、下肢痛、不安などが主要症状であり、AIを用いた中医弁証支援の有用性が示された。本論文に具体的な方剤(構成生薬)の記載はない。(2025, 陈峰)
肝鬱脾虚証の線維筋痛症患者48例を対象とした単盲検ランダム化比較試験で、柔筋方はプラセボと比較して疼痛(VAS)、睡眠の質(PSQI)、線維筋痛症の重症度(FIQR)を有意に改善し、その効果は治療終了4週間後も持続した。一方、抑うつ(BDI-II)やQOL(SF-36)の改善は有意差を認めず、有害事象は下痢3例、胃痛1例の軽度な消化器症状のみで、安全性も良好であった。文中では柔筋方(柴胡、白芷、白芍、土茯苓、薏苡仁、陳皮、甘草)、その原方である**逍遥散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、甘草、生姜、薄荷)**が紹介されている。(2025, Fu)
線維筋痛症(FMS)の基本病機を**「枢機不利・湿熱阻絡」と捉え、湿熱が三焦に停滞して疼痛、乏力、不安、睡眠障害を生じると考察している。湿熱の程度を「湿重熱軽」「湿軽熱重」「湿熱並重」の3型に分類し、温胆湯を基本方として加減することで、湿熱を除き枢機を調え、胆胃を和し疼痛を改善するとしている。症例では加減温胆湯により全身痛、睡眠障害、口渇、乏力が著明に改善し、3か月の追跡でも再発を認めなかった。文中では温胆湯(半夏、陳皮、枳実、竹茹、炙甘草、生姜、茯苓、大棗)**、小半夏加茯苓湯(半夏、生姜、茯苓)、橘皮竹茹湯(橘皮、竹茹、人参、甘草、生姜、大棗)、二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草、生姜、烏梅)、**橘枳姜湯(橘皮、枳実、生姜)**が紹介されている。(2025, 刘淼)
肝気鬱結証の原発性線維筋痛症患者41例を対象に、疏肝定痛方とデュロキセチンを比較したランダム化比較試験である。疏肝定痛方は12週間の治療で疼痛(VAS)、線維筋痛症重症度(FIQR)、疲労、睡眠障害、不安・抑うつ、中医証候を有意に改善し、総有効率は85.7%とデュロキセチン(25.0%)を上回った。有害事象や血液・肝腎機能異常の増加は認められず、安全性も良好であった。文中では疏肝定痛方(柴胡、当帰、白芍、酸棗仁、香附、紅花、延胡索、黄芩、黄耆、山茱萸)が用いられ、比較・考察として柴胡疏肝散加減方(構成生薬の記載なし)、温胆湯加減方(構成生薬の記載なし)、柴胡加竜骨牡蛎湯(構成生薬の記載なし)、**柴胡藤芍湯(構成生薬の記載なし)**が紹介されている。(2025, 郭子嘉)
線維筋痛症の根本病機を**「肝鬱脾虚」、再発の原因を「伏邪(痰湿・瘀血)」と捉え、疏肝健脾・除湿豁痰・活血透邪を治療の基本としている。病態を湿熱痰瘀証と寒湿痰瘀証に分類し、湿熱には清熱・涼血透邪、寒湿には温経・透邪を重視する。また、蜂針や火針などの外治法を併用し、伏邪を除去して再発を防ぐことを重視している。文中では疏肝健脾涼血透邪方(柴胡、鬱金、枳殻、香附、党参、茯苓、白朮、寛筋藤、忍冬藤、寒水石、胆南星、牡丹皮、赤芍、地竜、土鼈虫、生地黄、升麻、青蒿、甘草)**、疏肝健脾温経透邪方(柴胡、鬱金、枳殻、香附、党参、茯苓、白朮、桂枝、川烏、紅花、桃仁、姜半夏、薏苡仁、鶏血藤、烏梢蛇、升麻、青蒿、甘草)が紹介され、症例では後者に青風藤、海風藤を加味し、火針を併用して著効を得ている。(2025, 刘玉玲)
線維筋痛症(FMS)の基本病機を**「湿熱阻絡」と捉え、湿熱が三焦に停滞して経絡を阻害し疼痛を生じると考察している。治療は「分消走泄法」を基本とし、湿熱の部位と程度に応じて宣泄(上焦・表)・走泄(中焦・半表半裏)・苦泄(下焦・裏)の3段階に分けて治療する。症例では新型コロナ感染後に発症した線維筋痛症に温胆湯加減を用い、疼痛、睡眠障害、倦怠感が改善し、3か月の追跡でも再発を認めなかった。文中では温胆湯(半夏、陳皮、枳実、竹茹、茯苓、甘草、生姜、大棗)**、半夏瀉心湯(半夏、黄芩、黄連、乾姜、人参、大棗、甘草)、茯苓甘草湯(茯苓、桂枝、生姜、甘草)、苓桂朮甘湯(茯苓、桂枝、白朮、甘草)、五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝)、麻黄加朮湯(麻黄、桂枝、杏仁、甘草、白朮)、麻黄杏仁薏苡甘草湯(麻黄、杏仁、薏苡仁、甘草)、防己黄耆湯(防己、黄耆、白朮、甘草、生姜、大棗)、**三仁湯(杏仁、白蔻仁、薏苡仁、半夏、厚朴、通草、滑石、竹葉)が紹介され、症例では温胆湯加減方(法半夏、茯神、炙甘草、生白朮、竹茹、川牛膝、鬱金、黄芩、生地黄、白芍、菊花、竹葉、桑寄生、砂仁、生竜骨、生姜)**が用いられている。(2026, 刘淼)
田雪梅は線維筋痛症(FMS)の核心病機を**「肝気滞塞・玄府開闔失度」とし、病程の進行に伴って気滞から痰湿・瘀血が形成され、さらに久病では正虚を伴う「肝痹・五臓玄府閉閽」へ進展すると捉えている。治療は疏肝調気・暢達玄府を全経過の基本とし、初期には柴胡疏肝散加減に辛香走竄薬を加えて調肝疏気暢玄**、中期には越鞠丸合三仁湯加減で祛邪消積通玄、久病では解鬱通痹湯+升降散に大用量黄耆を加えて培元解痹振玄を図る。 とくに中期では杏仁・白蔻仁・薏苡仁によって「宣上・暢中・滲下」し、紅花・桃仁・当帰・茯苓・丹参・姜黄などで痰湿・瘀血を除き、玄府における気血津液の流通を回復させるとしている。 久病例では解鬱通痹湯(当帰、白芍、柴胡、茯苓、白朮、炮姜、薄荷、遠志、鶏血藤、威霊仙など)と升降散(僵蚕、蝉蜕、姜黄、大黄)を組み合わせ、疏肝解鬱・養血柔肝・健脾利湿・活血通絡・培元振玄を行うことを特徴としている(2025、李喜媛)。
線維筋痛症(FMS)を中医の**「筋痹」として捉え、その核心病機を陽気不足から説明している。陽気には「柔筋養神」の作用があり、陽気不足によって①衛陽不固となり風・寒・湿邪が侵入して筋脈を痹阻する、②血を推動・化生できず筋脈が失養して「不栄則痛」を生じる、③五臓の陽気が虚して神明が失養し、慢性疲労・睡眠障害・抑鬱などを生じる、としている。 さらに陽虚による気化失調から痰湿が生じ、寒凝による血瘀と結びついて「陽虚―痰瘀―陽虚」**の悪循環を形成し、疼痛が反復・遷延すると論じている。 したがってFMSでは、単に肝鬱気滞・通絡止痛のみを重視するのではなく、**温陽・扶陽によって筋を養い神を安定させる「調筋養神」**を治療の基本とし、必要に応じて針薬を併用すべきとしている(2025、陳梓瑜)。
、線維筋痛症(FMS)を「痹証」、とくに肌痹・周痹などの範疇とし、張福利はその基本病機を**「枢機不利・湿熱阻絡」**と捉え、湿熱が三焦に滞留して気機・経絡を阻滞することで「不通則痛」「不栄則痛」が生じ、全身疼痛だけでなく、乏力・焦慮・睡眠障害などを来すとしている。 治療は温胆湯(半夏、陳皮、茯苓、炙甘草、竹茹、枳実、生姜)を基本として、調和枢機・清熱利湿・理気化痰・清胆和胃を図り、湿重熱軽には蒼朮・厚朴・檳榔・砂仁、熱重湿軽には滑石・梔子・芦根・通草、痰濁には石菖蒲・遠志・胆南星、血瘀には茜草・桃仁・当帰・鬱金を加える。 症例では湿熱互結・気陰両傷型FMSに温胆湯加減(姜半夏、茯神、生甘草、生白朮、山薬、砂仁、竹茹、鬱金、豨薟草、当帰、生牡蛎、夜交藤、生姜)を投与し、疼痛・睡眠・乏力・口乾・胃脘脹満が改善し、3か月の追跡で再発を認めなかった。FMSの一部を「湿熱互結」と捉え、湿熱を三焦から分消走泄して枢機を回復させることが本論文の特徴である(2025、劉淼)
肝気鬱結証の原発性線維筋痛症(FMS)41例を無作為に疏肝定痛方群21例とデュロキセチン群20例に分け、12週間治療した。FMSの核心病機を肝血虧虚・肝鬱気滞による筋脈失養・痹阻不通とし、さらに肝鬱化火・脾虚湿蘊を主要な病理機序として、疏肝定痛方(柴胡12g、当帰12g、白芍12g、酸棗仁粉18g、香附12g、紅花12g、延胡索10g、酒黄芩12g、黄耆15g、山茱萸20g)を用いた。 12週後、疏肝定痛方群では疼痛、睡眠、倦怠・乏力、焦慮・抑鬱などが改善し、疼痛VAS、FIQR、BAIはデュロキセチン群より有意に良好で、総有効率は85.71%(18/21)でデュロキセチン群25.00%(5/20)を有意に上回り(P<0.001)、明らかな安全性上の問題も認めなかった。ただし症例数が少なく、評価項目が主観的指標中心であることが限界とされている(2025、郭子嘉)。
線維筋痛症(FMS)を中医の**「周痹」に属するとし、温偉強は核心病機を「肝鬱脾虚を本とし、痰湿瘀の伏邪を標とする」と捉えている。肝鬱脾虚から気滞・血瘀・痰湿が生じて脈絡を阻滞し、さらに外邪が内伏する痰湿瘀を動かすことで疼痛が反復すると考え、治療は疏肝健脾・除湿豁痰・活血透邪を全経過の基本とする。 湿熱痰瘀型には疏肝健脾凉血透邪方(柴胡、鬱金、枳殻、香附、党参、茯苓、白朮、寛筋藤、忍冬藤、寒水石、胆南星、牡丹皮、赤芍、地竜、土鼈虫、生地黄、升麻、青蒿、甘草)を用いて清熱・凉血・化瘀・透邪を図り、寒湿痰瘀型には疏肝健脾温経透邪方(柴胡、鬱金、枳殻、香附、党参、茯苓、白朮、桂枝、川烏、紅花、桃仁、姜半夏、薏苡仁、鶏血藤、烏梢蛇、升麻、青蒿、甘草)を用いて温経散寒・除湿豁痰・活血透邪を図る。 特に「伏邪致痹」**をFMSが難治・反復する重要な機序とし、升麻・青蒿や虫類薬などで深伏する邪を外達させる「透邪」を重視し、寒湿痰瘀型では火針・蜂針などの外治法も併用することが特徴である(2025、劉玉玲)。
張福利は線維筋痛症(FMS)を中医の「痹証」と捉え、その核心病機を外邪阻絡・不通則痛、とくに湿熱が三焦に滞留して経絡を痹阻することに求め、温病学の**「分消走泄」法をFMS治療に応用している。湿熱の部位・深さ・病勢に応じ、上焦・表では「宣泄」、中焦・半表半裏では「走泄」、下焦・裏では「苦泄」と三層に分け、湿熱を三焦から排出して通絡止痛を図る。 とくに中焦の湿熱には温胆湯を代表方とし、半夏・陳皮で燥湿化痰・理気、枳実で破気消積、茯苓で健脾利湿、竹茹で清熱化痰し、通草・竹葉などを加えて湿熱を走泄させる。 症例では湿熱阻絡型FMSに温胆湯加減(法半夏、茯神、炙甘草、生白朮、竹茹、川牛膝、鬱金、黄芩、生地黄、白芍、菊花、竹葉、桑寄生、砂仁、生竜骨、生姜)を投与し、疼痛・睡眠・乏力・心煩胸悶が改善し、3か月の追跡で再発を認めなかった。「宣上・暢中・泄下」により三焦の湿熱を分消走泄することが本論文の特徴**である(2026、劉淼)。
線維筋痛症(FMS)を主に中医の**「筋痹」として捉え、根本病機を七情過激による肝鬱気滞を基礎に、外邪が加わって気血が阻滞し、経絡不通となることと考えている。特に「肝気鬱結」を発病の基礎、「気血阻滞」を病変の鍵とし、治療では疏肝理気・解鬱通絡・化瘀止痛**を第一とする。 基本方として解鬱疏絡湯(柴胡10g、炒白芍20g、鬱金15g、橘絡10g、川楝子10g、延胡索20g、路路通15g、絲瓜絡20g、青皮15g、川芎20g、当帰15g、香附15g、紅花10g、甘草6g)を用い、柴胡・鬱金・川楝子・延胡索などで疏肝行気、川芎・紅花などで活血通絡、白芍で柔肝、当帰で補血する。 症例では肝気瘀滞証FMSに解鬱疏絡湯加減(柴胡、炒白芍、鬱金、橘絡、川楝子、延胡索、路路通、青皮、川芎、当帰、香附、紅花、黄耆、川牛膝、独一味、甘草)を投与し、腰背部を中心とする筋痛、疲労、睡眠などが改善し、最終的に筋肉痛はほぼ消失した。FMSの疼痛だけでなく、不眠・抑鬱・焦慮などの情志症状を肝鬱と一体として治療する点が特徴である(2024、李紀高)。
線維筋痛症(FMS)を主に中医の**「筋痹」と捉え、その核心病機を「少陽枢機不利」とし、少陽の枢機が閉塞することで気血の升降出入が乱れ、相火の輸布異常、臓腑機能失調、筋脈痹阻・失養を生じ、疼痛・疲労・睡眠障害・情志異常を来すとしている。 治療は和解少陽・調達枢機を基本とし、病態に応じて小柴胡湯で調暢気機、柴胡桂枝湯で調和気血・営衛、柴胡桂枝乾姜湯で温陽助運、柴胡加竜骨牡蛎湯で清熱瀉胆・安神を図る。 症例では少陽枢機不利・気血失調証FMSに柴胡桂枝湯加減(柴胡15g、黄芩12g、桂枝10g、炒白芍10g、法半夏10g、党参15g、陳皮8g、炒白朮15g、香附10g、鬱金10g、川芎10g、鶏血藤15g、合歓皮15g、百合10g、茯神10g、炙甘草6g)を投与し、全身疼痛・情緒・倦怠・睡眠などが改善し、停薬3か月後も症状は安定していた。「少陽を気機・臓腑・情志の枢」と位置づけ、疼痛と精神症状を形神同調によって一体的に治療する点が特徴**である(2024、黄筱涵)。
線維筋痛症(FMS)を「筋痹」などの範疇とし、その病機を**「脾・肝・痰」から捉え、脾失調を痰生成の先決因子、肝失調を痰邪を病所へ導く因子、痰を核心的病理因子としている。脾虚により気血生化不足と痰湿内生が起こり、肝失疏泄による気滞・血瘀・津液停滞がこれを助長し、痰邪が筋絡を阻滞すれば広範な疼痛、心脳を蒙蔽すれば不眠・焦慮・抑鬱などを生じるとする。 治療は調肝・理脾・化痰を基本とし、脾には党参・白朮を中心に益気健脾し、陳皮・藿香・佩蘭・蘇梗・枳殻などで醒脾理気、肝には白芍などで養血柔肝し、柴胡・鬱金・佛手・香櫞・合歓花などで疏肝理気する。 さらに「化痰をFMS治療の全経過に貫く」**ことを重視し、寒痰には二陳湯(半夏、陳皮、茯苓など)、熱痰には浙貝母・竹茹・栝楼を用い、必要に応じて乾姜・細辛・桂枝や仙茅・淫羊藿・菟絲子・続断・益智仁・補骨脂などで温陽補腎して痰を化す。疼痛・疲労・睡眠障害・精神症状を「痰」という共通病機から一体的に説明し、化痰を治療の始終に置く点が特徴である(2024、葉婉婷)。
疏肝中薬による線維筋痛症(FMS)治療の有効性・安全性を検討したシステマティックレビュー/メタ解析で、11件のRCT、計751例を対象としている。中医学ではFMSを「痹証」「鬱痹」「筋痹」などに属し、肝鬱気滞を核心病機として、肝鬱による気機鬱滞・経脈閉阻に加え、肝鬱犯脾による痰湿、血行阻滞による血瘀が「不通則痛」「不栄則痛」を生じ、疼痛・疲労・焦慮・抑鬱・不眠などを来すと考え、疏肝解鬱を基本に活血化瘀・益気健脾・養心安神を併用する。 納入研究では柴胡疏肝合身痛逐瘀湯、柴胡加竜骨牡蛎湯加減、疏肝解鬱活血通絡方、柴胡桂枝湯、柴胡疏肝散加減、加味逍遥散、小柴胡湯加減、解鬱止痛方、柴胡桂枝竜骨牡蛎湯、芍薬甘草湯加味、疏肝活血透邪方などが用いられたが、各方剤の構成生薬は本論文には記載されていないため推測で補わない。 メタ解析では西薬単独に比べ、疏肝中薬単独または西薬との併用で総有効率(RR 1.33)、疼痛VAS(SMD −1.67)、HAMD(SMD −0.78)、中医証候積分(SMD −0.74)が有意に改善し、不良反応も少なかった(RR 0.44)が、研究数・症例数が少なく、盲検化や割付 concealment が不十分で、出版バイアスの可能性もあり、エビデンスの質には限界がある(2024、陳峰)。
線維筋痛症(FMS)を「周痹」「気痹」などの範疇とし、「肝と大腸は相通ず」という理論から病機と治療を論じている。肝の疏泄失調、特に少陽枢機不利により気血が鬱滞し、筋脈・肌肉が「不通・不栄」となって広範な疼痛や情緒・認知異常を生じる一方、大腸の伝導・降濁が障害されても全身の気機が不暢となり、肝の疏泄に影響すると考える。 治療は疏肝理気・行気活血・養血柔筋を基本とし、「養肝血而潤腸、通大腸而疏肝」により気血を通暢させて疼痛を改善することを重視し、柴胡剤などを弁証加減して全身疼痛・不眠・抑鬱などを治療する。 また現代医学の腸―肝軸・腸内細菌叢との関連も指摘し、腸内環境の調節をFMS治療へ応用する可能性を提示している。ただし著者自身、「肝と大腸は相通ず」という理論には現時点で十分なエビデンスがないとしている。具体的な固定方剤の構成生薬は本文に記載されていないため推測で補わない(2024、崔家康)。
線維筋痛症(FMS)を「痹証」「鬱証」、両者を合わせた「鬱痹」の範疇とし、その病機を肝脾不調を中心に捉えている。脾虚により運化が失調すると水湿・痰が生じて経絡を阻滞し「不通則痛」となり、さらに水穀精微を四肢・肌肉へ輸送できず「不栄則痛」、倦怠・乏力を生じる。一方、肝気鬱結による疏泄失調は気滞・血瘀を生じて筋脈を阻滞し、肝血不足では筋脈が失養して疼痛・しびれ・関節拘縮などを来すとする。また七情・精神的ストレスによる肝鬱もFMS発症の重要な要因としている。 治療は**疏肝解鬱・養血柔肝・健脾益気を組み合わせた「肝脾同調」を基本とし、代表方として逍遥散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、炙甘草、生姜、薄荷)加減を用いる。柴胡で疏肝解鬱、当帰・白芍で養血柔肝、白朮・茯苓・甘草で健脾益気し、「土得木而達、木頼土以培之」**の関係から肝と脾を同時に調えることを重視する。FMSでは単一証候より複数証候の併存が多く、とくに肝鬱脾虚が最も多いことが、この治法の根拠とされている(2024、張暁芹)。
肝鬱気滞証の線維筋痛症(FMS)に対する解鬱止痛方の有効性と作用機序を検討した博士論文である。FMSは全身性疼痛に加えて不眠・疲労・焦慮・抑鬱などを伴い、中医では「周痹」「筋痹」「鬱痹」などに位置づけ、特に情志不暢と肝鬱気滞を重視している。 肝鬱気滞証72例を解鬱止痛方群とプレガバリン群に無作為に分け8週間治療し、解鬱止痛方(醋柴胡15g、川芎9g、鬱金9g、酸棗仁15g、茯神15g、炙百合9g、首烏藤15g、刺五加12g、白芍9g)を使用した。 最終66例で、解鬱止痛方群の総有効率は88.2%、プレガバリン群は**62.5%**で、疼痛のみならず疲労・焦慮・抑鬱・睡眠などの各評価指標も解鬱止痛方群で良好に改善し、副作用は下痢1例のみであった。 作用機序として、アミノ酸代謝・グリセロリン脂質代謝の調節、グルタミン酸など神経伝達物質の低下、cGMP-PKG系やVDAC1・VDAC2・PGK1・TKTL2などの蛋白調節、さらに脳白質線維束・機能的結合の変化が示唆され、解鬱止痛方が疼痛と情緒症状の双方に作用する可能性が示された(2024、席雅婧)。
肝気鬱結型の原発性線維筋痛症では、肝血虧虚・肝鬱気滞を核心病機とし、気機鬱滞による血行不暢・筋脈痹阻と、肝血不足による筋脈失養が全身疼痛を生じると考え、養血柔肝・疏肝止痛を治法として疏肝定痛方(柴胡12g、当帰12g、白芍12g、酸棗仁粉18g、香附12g、紅花12g、延胡索10g、酒黄芩12g、黄耆15g、山茱萸20g)を12週間投与した。方中では柴胡を君薬として疏肝解鬱・理気止痛、白芍・香附・山茱萸・黄耆を臣薬として養血柔肝・理気解鬱・補肝腎・健脾益気、酸棗仁・当帰・紅花・延胡索を佐薬として養血安神・行気活血・通絡止痛、黄芩を使薬として清瀉肝胆之火とし、全体として養血柔肝・疏肝定痛を図っている。 41例を疏肝定痛方21例とデュロキセチン20例に無作為化した結果、12週後のVAS改善量は2.57±1.60対1.00±1.81(P=0.006)で疏肝定痛方が優れ、FIQR、疲労、睡眠、焦慮、抑鬱も治療前より改善し、総有効率は**85.71%対25.00%**であった。 特に疼痛および生活の質は12週間の継続投与でデュロキセチンより良好な改善を示し、疏肝定痛方は肝気鬱結型FMSに対する安全で有効な治療法である可能性が示された(2024、郭子嘉)。
線維筋痛症(FMS)を中医学の「痹証・筋痹・周痹・肌痹」に属するとし、疼痛だけでなく不眠・虚労・鬱証の側面も含めて捉えている。病機としては、先天的な気血不足や情志・飲食失調による肝気鬱結、脾虚による気血化生不足、営衛失調、気血瘀滞、風寒湿邪による経絡痹阻などを重視し、特に疏肝解鬱を治療の中心に据える考えが示されている。姜泉は逍遥散・柴胡疏肝散などを用い、杜芸らは柴胡疏肝散を基本として生地黄・白芍・首烏藤を加え養血柔肝・寧心安神を図るとしている。気血両虚型では黄耆桂枝五物湯がデュロキセチンよりFIQ、VAS、疲労などを改善し、小柴胡湯加減でも総有効率93.3%と報告されている。 肝からの治療では、少陽枢機不利・肝鬱気滞から気滞血瘀、筋脈失養へ至る病機を重視し、小柴胡湯、大柴胡湯、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、逍遥散などを用いる。柴胡加竜骨牡蛎湯+デュロキセチンではデュロキセチン単独より疼痛、焦慮、抑鬱、睡眠、疲労の改善が良好であった。 脾からは肝鬱克脾・脾虚肝鬱を重視し、逍遥散加減では総有効率95%、芍薬甘草湯加味+プレガバリンでは96.88%で、プレガバリン単独75.00%より良好であった。 腎からは腎陽虚による寒凝・血瘀に当帰四逆湯合桂枝茯苓丸、腎精不足には骨砕補・続断・牛膝・金毛狗脊・桑寄生・熟地黄などを用いるとしており、FMSは単純な「肝鬱」ではなく、肝鬱を軸に脾虚・気血不足・血瘀・痰湿・陽虚などが複合する病態として標本同治することが重要と総括されている(2024、彭昭蓉)。
線維筋痛症(FMS)に対する中医薬研究232報をCiteSpaceで解析し、研究動向・病機・治療法を整理した文献計量学的研究である。研究ではFMSを「痹証・周痹・筋痹・鬱証」などに位置づけ、病位は主に筋・肌肉および肝・脾・腎にあり、禀賦不足、気滞血瘀、病後体虚を本として、情志失調・外邪・飲食不節・過労などにより気血失調を来して発症すると整理している。特に調査研究では肝腎虧虚・肝気不舒証が多く、多くの研究者が「肝鬱」を主要病機と捉えており、治療は疏肝養肝を中心に、養血安神・行気活血・健脾化湿・益気升陽などを組み合わせる。 方剤では逍遥散、柴胡疏肝散、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、四逆散、温陽定痛蠲痹方などが主要な研究対象であり、とくに柴胡類方が多用される。一方、陽虚を本、風寒湿邪による痹阻を標として温陽止痛・祛風散寒除湿を行う考えもある。 研究動向としては、従来の鍼灸・推拿・中薬内服などの臨床観察から、近年は肝気鬱結などの証候研究、高水準の臨床エビデンス、腸内細菌叢・微生物―腸―脳軸・プロテオミクスを用いた作用機序研究へ移行しているが、病理機序研究はまだ初期段階である(2024、羅瑞莉)。
線維筋痛症(FMS)102例の四診情報を証素辨証と因子分析によって解析し、中医証候の分布を検討した研究である。病位証素は**肝100%、心(神)94.11%、筋骨90.20%が多く、病性証素は気滞100%、陰虚98.04%、血瘀94.11%、気虚92.16%が上位を占め、FMSが単一病機ではなく虚実夾雑の病態であることが示された。 因子分析では、肝鬱気滞証102例、陰(血)虚陽亢(擾神)証72例、寒湿痹阻証63例、脾腎陽(気)虚証22例、痰瘀阻絡(心)証13例の5証候が抽出され、肝鬱気滞証がFMSの核心証候とされた。 病機は「因鬱致痹」**を基本とし、肝気鬱結が長期化すると陰血を耗傷して陰虚陽亢を生じる一方、陽気の升発を阻害すれば脾腎陽(気)虚となり、さらに陰陽虚損が進むと気血運行不暢から痰瘀阻絡へ進展すると考察している。また寒湿痹阻も外感の風寒湿より、陽気損傷によって内生した寒湿が筋骨を阻滞する病態を重視し、疏肝理気を基本に肉桂・乾姜・巴戟天などの温陽薬を加える治療を提唱している。 したがってFMSは、肝鬱気滞を本流として陰血虚・陽気虚・寒湿・痰瘀へ展開する、虚実夾雑・陰陽両傷の病態と総括されている(2023、張雨樵)。
線維筋痛症(FMS)を全身性疼痛に疲労、睡眠障害、認知・情緒症状などを伴う難治性疾患と位置づけ、中西医の専門家約20名による検討から診療上の課題と中医治療の優位性をまとめた専門家提言である。FMSでは早期診断率の低さ、患者の治療参加不足、西洋医学単独治療の効果の限界が課題であり、患者教育と共同意思決定、運動療法を治療の基本とし、中医薬・鍼灸などを組み合わせることを推奨している。 運動療法は国内外のガイドラインで第一選択とされ、太極拳・八段錦などの伝統功法も疼痛、睡眠、疲労、抑鬱、QOLを改善し、一部の効果は治療終了後24~52週まで持続したと報告されている。 中医学ではFMSを**「筋痹」**とし、「肝主筋」の理論から肝の機能失調を重視し、FMS患者の85%で肝関連証候、75%で肝気鬱結証が認められたとして、肝鬱気滞・痹阻筋脈を核心病機、疏肝解鬱・通絡止痛を基本治法とする。代表的治療として柴胡類方および鍼灸を挙げ、疼痛だけでなく焦慮・抑鬱や消化器症状などへの多面的効果、すなわち「身心同調」を中医治療の特徴としている。 一方、中薬内服と非薬物療法、あるいは中西医併用の最適な組み合わせについては十分なエビデンスがなく、今後の高品質な臨床研究が必要とされている(2024、焦娟)。
中日友好医院を受診した線維筋痛症(FMS)148例を対象とした前向き横断研究で、臨床症状と中医証候の分布を検討した。疼痛は労累、情緒刺激、気候変化によって誘発・増悪しやすく、中~重度疼痛が88.5%を占め、疼痛の性質は重痛69.6%、酸痛63.5%、脹痛52.7%が多かった。疲労95.9%、情緒障害93.2%、睡醒後疲労91.2%、睡眠障害88.5%と疼痛以外の症状も高頻度であった。 中医症状では乏力95.3%、情志抑鬱93.2%、不寐88.5%、太息81.1%が多く、証候は肝鬱化火証98.6%、脾虚湿蘊証95.3%、肝腎不足証16.9%に分類され、特に肝鬱化火+脾虚湿蘊証が77.7%と最多であった。 病機については、肝気鬱滞から鬱久化火・気滞血瘀を生じて疼痛や情緒異常を来し、さらに肝鬱乗脾→脾失健運→水湿内生へ進み、内湿を背景として労累・情緒刺激・外感寒湿などにより疼痛が増悪し、長期化すると肝腎不足に至ると考察している。したがってFMSでは肝鬱化火と脾虚湿蘊が中心的病機であり、湿邪は外湿より内生湿邪を本とすることが示唆された(2023、郭子嘉)。
線維筋痛症(FMS)165例を対象に中医証候の分布と病態との関連を検討した横断研究である。単一証候では肝腎不足証16.4%、肝鬱気滞証15.2%、気滞血瘀証10.3%、肝胆湿熱証8.5%、寒湿痹阻証4.2%、肝血虧虚証4.2%であり、複合証候では肝鬱気滞+肝血虧虚証20.6%が最多であった。 全体として実証および虚実夾雑証が主体で、実邪は気滞・血瘀・寒湿、正虚は血虚・陰虚を中心とし、病変臓腑は特に肝との関連が強かった。病機として、肝鬱気滞が長期化すると化火傷陰して肝血虧虚・肝腎陰虚へ進み、逆に肝血・肝腎陰の不足も肝の疏泄を障害して肝鬱を生じるという相互関係が示され、さらに肝木克脾による肝鬱脾虚、脾虚生湿による湿熱、気滞から血瘀へ発展する経路も論じられている。 肝血虧虚証では病程が長く、肝鬱気滞証では抑鬱が強く、寒湿痹阻証では比較的症状が軽いことから、FMSは初期には実証が多く、長期化に伴い虚証・虚実夾雑へ移行する可能性が示唆された(2022、李陽)。
線維筋痛症(FM)の西洋医学的治療の現状を整理したうえで、中医弁証論治の意義を文献および著者の自験例9例などから検討したものである。FMは中医学では主として『内経』の**「周痺」に類似すると捉え、病因を内因である正気・気血の不足と、外因である風寒湿などの邪気から考え、疼痛の病機を「不通則痛」と「不栄則痛」、すなわち実証と虚証の両面から分析している。 証候は風淫行痺、寒淫痛痺、湿淫着痺、火淫熱痺、気滞血瘀痺痛、気虚痺痛、陽虚痺痛、血虚痺痛、気血両虚痺痛、陰虚精虧痺痛**などに分類し、病証結合によって個々の疼痛だけでなく倦怠感、不眠、不安、抑うつなどの随伴症状も含めて治療することを重視している。 著者は、西洋医学的な病名・治療と中医学的な「証」を組み合わせ、正邪・虚実および心身を総合的に評価して弁証論治することが、FMの多彩な症状への個別対応に有用であると結論している(2021、松村浩道)。
姜泉は線維筋痛症(FMS)を中医の**「筋痹」と捉え、病機を先天禀賦不足・気血不足を基礎に、情志失調や飲食不節から肝鬱脾虚を生じ、肝失疏泄による気血運行不暢と脾失健運による気血化生不足が筋脈の痹阻・失養を来すものとしている。さらに正気不足から風・寒・湿・熱などの外邪が侵入して経絡を痹阻し、「不通則痛」と「不栄則痛」が重なって全身疼痛を生じると考える。 治療では特に「肝主筋」「肝主疏泄」から肝を重視し、疏肝解鬱・調暢肝気・養陰柔肝を治療全経過に貫くことを特徴とし、逍遥散、柴胡疏肝散、痛瀉要方などを用い、柴胡・香附・青皮・橘皮で疏肝理気、白芍・当帰・合歓・地黄・枸杞子・女貞子・旱蓮草などで柔肝養陰する。 また脾胃を後天の本・気血生化の源として重視し、香砂六君子湯、補中益気湯、二陳湯などを用いて健脾益気・理気和胃を図り、さらに安神薬、八段錦・太極拳などを組み合わせて疼痛・疲労・消化器症状・情緒障害を含めた身心同治**を行うことを提唱している(2019、張柔曼)。
郭会卿は線維筋痛症(FMS)を中医の「周痹」「気痹」「肌痹」に属するとし、病因は情志失調・気滞・血瘀を中心に風寒湿邪が関与する本虚標実・虚実夾雑の病態と捉えている。核心病機は肝鬱脾虚で、肝鬱気滞により気血運行が阻害され「不通則痛」となる一方、肝鬱乗脾から脾失健運・痰湿内生・経絡阻滞を生じ、さらに脾虚による気血生化不足から筋骨・肌肉が失養して「不栄則痛」となると考える。 治療は疏肝健脾・通絡止痛を基本とし、自製の疏肝益脾合剤(茯苓15g、白朮15g、延胡索30g、鬱金10g、香附10g、木香10g、徐長卿15g、首烏藤30g、姜半夏9g、橘紅10g、甘草6g、大棗5枚)を用いる。茯苓・白朮・甘草・大棗で健脾益気、香附・木香・鬱金で疏肝理気、延胡索で行気活血止痛、姜半夏・橘紅で燥湿化痰、徐長卿・首烏藤で通絡止痛を図り、「通」と「栄」を両立させる処方構成としている。 症例では肝鬱脾虚証の57歳女性に同方を中心として随証加減し、鍼灸・推拿なども併用して全身疼痛が著明に改善しており、FMSでは肝脾同治に加えて情志の調整と総合治療を重視している(2019、胡盼盼)。
周彩雲は線維筋痛症(FMS)を中医の「周痹」「肌痹」などに属するとし、肝陰・肝血不足を主要病機、脾胃虧虚を発症の重要因子と捉えている。肝陰・肝血が不足すると筋脈・肌肉が濡養されず「不栄則痛」となり、さらに肝陽が亢進して情緒異常・不眠を生じる一方、脾胃虚弱では気血生化が不足して肝血を補えず、四肢の倦怠・疼痛を助長すると考える。 治療は五行理論に基づき、滋水涵木・調補中土を主とし、佐金平木・潜陽帰元を補助することを特徴とし、自製の水木帰元湯(熟地黄15g、生地黄15g、白芍15g、当帰12g、百合15g、陳皮10g、青皮10g、醋香附8g、生白朮12g、党参15g、砂仁8g、清半夏8g、生竜骨30g、炙甘草8g)を用いる。生地黄・熟地黄・白芍・当帰で滋陰養血、白朮・党参・砂仁・炙甘草で健脾益気、陳皮・青皮で理気降気、香附で解鬱止痛、竜骨で潜陽帰元を図り、**肝血を直接補うと同時に脾胃を健やかにして気血生化の源を確保する「肝脾同補」**が重要な特徴である。 症例では肝腎陰虚・脾虚を呈するFMS患者に水木帰元湯加減を投与し、全身筋痛・朝のこわばり・倦怠・不眠・情緒症状が改善し、3か月後にも明らかな症状を認めなかった(2018、李詩雨)。
線維筋痛症(FMS)の中医治療に関する文献を整理した総説で、病機として情志失調による肝気鬱結・肝失疏泄、肝鬱脾虚・気血失和、気滞血瘀を重視する一方、風寒湿邪の侵襲、肝脾腎虚、正気不足、陰陽失調なども関与する虚実夾雑の病態としている。 中薬治療では疏肝解鬱・調和気血を中心とする加味逍遥散、柴胡加竜骨牡蛎湯、柴胡桂枝湯、柴胡疏肝散加味などの柴胡剤が多く用いられ、ほかに酸棗仁湯、身痛逐瘀湯、薏苡仁湯、桂枝芍薬知母湯、甘麦大棗湯なども報告されている。 弁証論治では、気鬱化火・痰湿致鬱・痰熱致鬱、気血虧虚・気滞血瘀・心腎不足・寒湿浸脾・風寒阻絡、肝腎不足・湿痰痹阻・肝脾失和など多様な証型が提示され、肝の失調と筋脈痹阻を軸に、疏肝・養血・活血・健脾・化痰・通絡などを随証併用することが特徴である。 また鍼灸、推拿、中薬外治、心理療法などを組み合わせた総合治療にも一定の効果が報告されているが、研究ごとに対照群や評価基準が統一されておらず、エビデンスの質には限界があると総括している(2014、孫静)。
線維筋痛症(FMS)を、情志失調によって発症する身体の「痹病」と捉え、その核心病機を「七情致痹・少陽為枢・其痛在筋」に集約している。七情の過度な変動は五臓を傷り、とくに情志不暢による肝失疏泄・肝気鬱結が気滞血瘀を生じ、筋脈・肌肉を阻滞・失養して全身疼痛を来すとする。 さらに少陽を全身の気機・陰陽・気血の「枢」と位置づけ、情志内傷が少陽肝胆に及ぶと少陽枢機不利となり、三焦の気機、脾胃升降、気血津液の運行が障害され、疼痛・疲労・晨僵・不眠・多夢・焦燥に加え、腹痛・下痢・腹脹・便秘なども生じると説明している。 治療は暢情志・調五臓・和少陽を大法とし、柴胡剤、とくに小柴胡湯類方を中心に少陽枢機を調節して、陰陽・気血の升降出入を正常化することを重視する。すなわちFMSを単なる「肝鬱気滞」ではなく、情志失調→少陽肝胆失調→枢機不利→三焦不利→気血陰陽の升降出入失調→筋痛という一連の病機として捉える点が特徴である(2014、劉穎)。
線維筋痛症(FMS)を中医の**「痹証」に属するとし、基本病機を気虚肝鬱・外邪侵襲・脈絡瘀阻と捉え、臨床では寒湿凝滞、肝鬱脾虚、瘀血阻絡、気血虧虚、心腎不交、陽虚寒凝の6型に弁証して治療する。 肝鬱脾虚型では養血柔肝・健脾利湿を治法として当帰芍薬散加味(当帰芍薬散+柴胡、香附、牡丹皮、虎杖、石菖蒲)、瘀血阻絡型では身痛逐瘀湯加減、気血虧虚型では八珍湯加鶏血藤・香附・鬱金・竜歯・牡蛎、心腎不交型では交泰丸加味、陽虚寒凝型では麻黄附子細辛湯加黄耆・鶏血藤・当帰・合歓皮を用いる。 また鍼灸を証型別に併用し、肝鬱脾虚型では疏肝理脾・利湿通絡**を目的に陰陵泉、三陰交、脾兪、足三里、太衝などを選穴するほか、中薬燻蒸療法も用いる。 したがって本論文は、FMSを単一の肝鬱病態とはせず、肝鬱脾虚を含む正虚・外邪・瘀血などが複合した虚実夾雑の痹証として、疏肝健脾・益気養血・活血通絡・温陽散寒などを弁証して使い分け、中薬・鍼灸・外治法を組み合わせることを特徴としている(2013、徐暁南)。
線維筋痛症(FMS)の中医臨床研究を整理した総説で、FMSを主として**「周痹」に属するとし、一部では「鬱証」「気痹」と捉えている。病機は単一ではなく、陰陽失調・肝脾腎虧虚を内因、風寒湿熱などの外邪を外因、七情内傷・飲食不節を誘因とし、とくに病根は肝脾、病位は皮膚・腠理・筋膜にあり、経絡の気血運行不暢と筋脈失養から「不通則痛・不栄則痛・不松則痛」を生じると総括している。 とくに情志不遂による肝気鬱結→気鬱血瘀→経絡痹阻を重視し、肝では気・血・火鬱、脾では痰・湿・食鬱が形成されるとして、疏肝解鬱・行気活血・通絡止痛を主要治法の一つとしている。 中薬では桂枝芍薬知母湯、疏肝解鬱活血通絡方、柴胡桂枝湯加減、柴胡加竜骨牡蛎湯加減、越鞠湯合身痛逐瘀湯などが報告され、疏肝解鬱活血通絡方はアミトリプチリンとの比較で総有効率80.95%対38.10%であった。各方剤の構成生薬は本論文には記載されていないため推測で補わない。 また鍼灸・推拿・抜罐・中薬燻蒸および中西医結合療法も報告されており、FMSでは肝鬱を重視しながら、脾虚・正虚・血瘀・痰湿・外邪などを弁証し、中薬・鍼灸・推拿等を組み合わせる総合的・個別化治療**が重要と結論している(2013、宋敏)。
線維筋痛症(FMS)に対する中医治療を整理した総説で、中薬内服、外治、鍼灸、推拿など多様な治療法を紹介している。中薬では特に肝鬱・気滞・血瘀を重視した治療が多く、柴胡加竜骨牡蛎湯加減(柴胡24g、黄芩9g、法半夏12g、党参9g、桂枝15g、茯苓15g、竜骨30g、牡蛎30g、制大黄6g、大棗9g、生姜9g、甘草9g)は42例で総有効率95.24%、丹梔逍遥散加減(牡丹皮10g、梔子10g、柴胡10g、当帰10g、白芍15g、白朮15g、茯苓15g、薄荷6g、生甘草6g、醋香附10g、合歓皮10g、酸棗仁20g、延胡索15g、大棗5枚)では疏肝・解鬱・養血・柔筋・行気・止痛を図っている。 弁証では、気滞血瘀、湿痰痹阻、肝脾失和、気血虧虚、肝腎不足に分類し、肝脾失和には逍遥散加減(柴胡、茯苓、白朮、当帰、白芍、川芎、鬱金、薄荷、酸棗仁、木瓜、羌活、秦艽、葛根、伸筋草)、気滞血瘀には柴胡・枳殻・白芍・赤芍・当帰・川芎・丹参・制乳香・制没薬・鶏血藤・夜交藤・木瓜・制香附・酸棗仁・全蠍などを用いる。 また疏肝解鬱活血通絡方はアミトリプチリンより総有効率が高く(80.95%対38.10%)、加減薏苡仁湯+抜罐、中薬気霧透皮療法、鍼灸、隔薬灸、推拿などにも良好な成績が報告されている。 一方、研究の多くは小規模で、無作為化・盲検化・割付 concealment や評価基準に問題があり、中医治療の有効性を示唆する報告は多いものの、確実なエビデンスには至っていないと総括している(2012、李紅専)。
線維筋痛症(FMS)の病因病機と中医薬治療を整理した総説で、FMSを主に**「周痹」「肌痹」に属するとし、一部では「鬱証」「気病」と捉えている。 病機は陰陽失調・肝脾腎虧虚を内因、風寒湿熱などの外邪を外因、七情内傷・飲食不節を誘因とし、特に肝失疏泄・肝血不足から気血運行不暢・筋脈失養を生じ、さらに肝病伝脾による脾失健運・気血生化不足が加わって、「不通則痛・不栄則痛・不松則痛」を来すと考えている。 中薬治療では疏肝解鬱・行気活血・通絡定痛を主要治法とし、血府逐瘀湯類、柴胡桂枝湯類、疏肝散類などを用い、肝鬱・気滞・血瘀を重視する一方、風寒湿邪には桂枝芍薬知母湯などを用いる。 また少陽枢機不利・正虚邪侵の観点から柴胡桂枝湯加減、柴胡加竜骨牡蛎湯加減**を用いる報告や、鍼灸・推拿・抜罐・中薬外治、中西医結合療法も紹介されている。 総じてFMSでは、肝鬱を軸に脾虚・気血不足・血瘀・外邪などを弁証し、個別化した中薬治療と鍼灸・推拿などを組み合わせる総合治療が重要とされるが、既存研究には症例数や対照設定などの限界もあり、今後はより質の高い臨床研究が必要とされている(2012、劉宗権)
線維筋痛症(FMS)の発症機序、診断および中医・西医・中西医結合治療を整理した総説で、中医学ではFMSを主に**「痹証」「周痹」「肌痹」に属するとし、肝脾腎虧虚・陰陽失調を内因、風寒湿邪を外因とする一方、情志不舒による肝気鬱滞も重要な病機としている。 中薬治療では、肝脾腎虚、肝鬱気滞、筋脈痹阻・失養、気血運行不暢に対して理気活血・散寒通絡・止痛を基本とし、血府逐瘀湯、身痛逐瘀湯、柴胡桂枝湯、柴胡疏肝散などを用いる。特に情志内傷による肝気鬱結→気血受阻→脈絡瘀滞→全身疼痛に対して疏肝理気・活血通絡を重視し、血府逐瘀湯加減、疏肝解鬱活血通絡方、少陽枢機不利には柴胡桂枝湯加減・柴胡加竜骨牡蛎湯加減が報告されている。各方剤の構成生薬は本論文には記載されていないため推測で補わない。 また鍼灸、電針、推拿、中薬燻蒸、抜罐などの治療も報告され、複数の治療を組み合わせる総合療法が重視されている。 総じてFMSでは祛風散寒除湿・舒筋活絡・活血行気・疏肝理気**を中心に弁証し、中医薬・鍼灸と西洋医学的治療を組み合わせた個別化・総合治療が有望とされる一方、当時の中医臨床研究は実験デザインやデータ処理、長期成績に課題があると指摘している(2012、劉宗権)。
高明利教授は、線維筋痛症(FMS)を本虚標実・虚実夾雑と捉え、素体の正気不足、特に脾気不足・元気虚弱を「本」とし、情志不暢による肝気鬱結→脾虚→痰湿内生・気滞血瘀→痰瘀阻絡を主要な病理機序、風寒湿邪の侵襲を誘因としている。したがって治療は培本固源・健脾益気を基礎に、疏肝解鬱を全経過に貫き、活血化瘀・化痰通絡・祛邪止痛を随証併用することを重視する。 弁証では、気血虧虚型に八珍湯加味(黄耆、党参、白朮、茯苓、甘草、熟地黄、当帰、白芍、川芎、酸棗仁、紅花、威霊仙)、腎陽虚型に金匱腎気丸、腎陰虚型に六味地黄丸、肝鬱脾虚型に疏肝健脾方(柴胡、陳皮、川芎、香附、枳殻、芍薬、人参、白朮、茯苓、炙甘草)を用い、特に疏肝解鬱と益気健脾を併用して病理産物である痰瘀の形成を抑えることを重視している。また心脾両虚型には帰脾湯加減(白朮、茯神、当帰、黄耆、炒酸棗仁、党参、丹参、木香、竜眼肉、夜交藤、遠志、大棗、炙甘草)、寒湿阻絡型には尪痹湯化裁(補骨脂、続断、淫羊藿、威霊仙、独活、羌活、牛膝、桂枝、知母、熟地黄、蒼朮、制附子、赤芍、白芍、防風、炙麻黄、伸筋草、細辛)を用い、さらに鍼灸・薬罐・推拿などの外治法と心理疏導を組み合わせる総合治療を推奨している(2011、于悦)。
線維筋痛症(FMS)を中医の**「周痹」「肝痹」「筋痹」などに属するとし、基本病機を肝失調和・筋脈痹阻と捉えている。中青年女性では経・孕・産・乳などによる肝血不足から筋脈が失養し、さらに情志内傷による肝鬱気滞・気滞血瘀**、風寒湿邪の侵襲が加わって筋脈痹阻を生じ、長期化すると気血虧虚・肝腎不足へ進展するとしている。 弁証は、気滞血瘀型、湿痰痹阻型、肝脾失和型、気血虧虚型、肝腎不足型に分類する。気滞血瘀型には柴胡疏肝散合活絡効霊丹加減(柴胡、枳殻、白芍、赤芍、当帰、川芎、丹参、制乳香、制没薬、鶏血藤、夜交藤、木瓜、制香附、酸棗仁、全蠍)、肝脾失和型には逍遥散加減(柴胡、茯苓、白朮、当帰、白芍、川芎、鬱金、薄荷、酸棗仁、木瓜、羌活、秦艽、葛根、伸筋草)、気血虧虚型には三痹湯加減(黄耆、党参、茯苓、熟地黄、当帰、川芎、続断、杜仲、秦艽、防風、独活、木瓜、伸筋草、鶏血藤、竜眼肉、酸棗仁)などを用いる。 肝腎不足では陰虚と陽虚を分け、前者には景岳大造丸加減、後者には補肝湯加減を用いる。治療全体では、実証には行気化瘀・祛湿化痰、虚証には益気養血・補益肝腎、虚実夾雑には臓腑調和を行いながら、舒筋活絡・調和気血をすべての証型に共通する基本治法としている(2010、高玉中)。
線維筋痛症(FMS)を中医の**「痹証」「周痹」「肌痹」に属するとし、疼痛の基本病機を経脈の気血運行障害による「不通則痛」と「不栄則痛」から捉えている。 疼痛を主体にみると、発症初期の風寒阻絡証と、寒邪が長期化して気滞血瘀を生じる寒凝血瘀証に分類し、随伴症状からは気血虧虚証、心腎不足証、肝鬱脾虚証に分類する。 特に肝鬱脾虚証を重視し、肝主筋脈・脾主肌肉四肢であることから、外邪侵襲が明らかでないFMSでは、肝鬱による疏泄失調と脾虚による運化・気血生化不足が筋脈・肌肉の疼痛につながり、肝鬱脾虚が重要な発症原因になるとしている。 また、脾は後天の本であり、肝鬱脾虚→生化之源不足→気血虧虚→心腎失養という病態進展を示し、FMSでは外邪による実証だけでなく、正気不足・情志抑鬱を背景とした虚証・虚実夾雑証を見極めて治療することが重要と結論している。なお、本論文には各証型に対する具体的方剤・構成生薬の記載はない**(2010、曲源)。
線維筋痛症(FMS)を症状上は中医の**「痹証・肌痹」に属するものの、風寒湿熱などの外邪から治療しても効果が乏しい症例が多く、むしろ長期の抑鬱・憂愁・悲憤などの情志不暢による「鬱証」として捉え、肝から治療することを重視している。情志不暢から肝失疏泄→肝気鬱結→気滞血瘀→経絡阻滞となり、「不通則痛」「不栄則痛」によって全身疼痛を生じ、さらに鬱久化火・肝陰肝血不足へ進むことで、不眠、煩躁、疲労、低熱、月経異常などを伴うと考える。 治療は「通」を基本として疏肝解鬱・行気活血・通絡定痛を行い、柴胡疏肝散合血府逐瘀湯加減(当帰、生地黄、桃仁、紅花、牡丹皮、川芎、柴胡、香附、白芍、枳殻、延胡索、丹参、葛根、甘草)を用いる。 疲労には黄耆、不眠・煩躁には酸棗仁・蓮子心・石菖蒲、食欲不振には焦白朮・茯苓・焦山楂、湿が強ければ薏苡仁・厚朴・白豆蔻・蚕砂などを随証加減する。症例では独活寄生湯などが無効であった患者を肝気鬱結**と再評価し、柴胡疏肝散合血府逐瘀湯加減へ変更すると疼痛および随伴症状が改善した。 したがってFMSでは、肝気鬱結・気鬱血滞を核心病機として疏肝解鬱・行気活血を行い、鬱久による肝陰・肝血不足にも配慮するとともに、心理疏導を併用することが重要としている(2008、周軼塵)。
