ホットフラッシュの中医論文
まとめ:ホットフラッシュは、中医学では古典的な一定時刻に発熱する「潮熱」より、突然上半身から顔面に熱感・紅潮が生じ発汗を伴う**「烘熱」として捉えるのが適切で、基本病機は腎虚、とくに腎陰虚を本とする陰陽失調**である。治療は滋陰補腎・清虚熱・潜陽・斂汗を基本とし、心腎不交、肝鬱・肝火、腎陰陽両虚、営衛不和などを辨証して治療する。代表的には、潜陽封髄丹(炮附子、醋亀甲、黄柏、知母、枸杞子、酒萸肉、遠志、鬱金、浮小麦、生牡蛎、五味子、桂枝)、桂仙合剤(仙茅、仙霊脾、巴戟天、当帰、知母、黄柏、生牡蛎、亀板、桂枝、白芍、炙甘草、大棗、生姜)、帰芍地黄湯加減(当帰、白芍、生地黄、牡丹皮、茯苓、山薬、山茱萸、沢瀉、菟絲子、続断)、加味滋水清肝飲(白芍、熟地黄、山梔子、山薬、山茱萸、当帰、牡丹皮、茯苓、沢瀉、黄柏、知母、柴胡)、**清心滋腎湯(鈎藤、蓮子心、黄連、炒酸棗仁、浮小麦、乾地黄、丹参、山茱萸)**などで潮熱・発汗の改善が報告されている。総じて、腎陰を補う熟地黄・生地黄・山茱萸・知母・黄柏などを中心に、牡蛎・浮小麦・五味子などによる斂汗・潜陽、柴胡・白芍などによる疏肝、桂枝などによる調和営衛を組み合わせることが、ホットフラッシュに対する中医治療の特徴である。
更年期の汗証は主に自汗・盗汗として現れ、その基本病機は腎気・腎精の衰退による腎陰陽失調にあり、さらに心・肝・脾へ波及し、心腎不交、肝鬱、脾胃虚弱による衛外不固、情志不暢・五志過極などが加わって発症すると考えられる。治療は辨証に応じて当帰六黄湯合丹梔逍遥散、柴胡桂枝竜骨牡蛎湯、甘麦大棗湯加味、桂枝甘草竜骨牡蛎湯、二至丸・増液湯合丹梔逍遥散、更年止汗湯、益坤飲などが用いられ、当帰六黄湯合丹梔逍遥散では陰虚火旺型66例に総有効率95.45%、甘麦大棗湯加味では心腎不交型53例に92.45%と報告されている。また坤宝丸合知柏地黄丸、生脈注射液のほか、足浴・五倍子臍部貼敷、鍼灸、推拿、穴位埋線、情志療法、運動・食事療法などを組み合わせる総合治療が行われる。なお、本総説には各方剤の構成生薬は記載されていないため補っていない。(2021、沈壹)
囲絶経期の潮熱は中医古典の規則的に発熱する「潮熱」とは異なり、無規則・局所性・発作性の発熱である「烘熱」に相当し、基本病機は腎虚、とくに腎陰虚による陰陽失調とされるが、肝気鬱結、心気虚、腎陽損傷による虚火上炎、瘀血、陽明胃熱なども関与する。治療では滋陰養血・清心瀉火として当帰六黄湯加減が30例で総有効率96.67%、平衡陰陽・調気活血として黄耆赤風湯加減が40例の比較試験で有効率90%、清利肝胆・順気化痰として蒿芩清胆湯加減が30例で総有効率86.67%を示し、このほか滋腎疏肝の更健湯、新癀片、滋補肝腎・平衡陰陽・補益気血・生津潤燥を目的とする膏方などが用いられている。また電鍼、穴位埋線、耳穴貼圧、補腎活血推拿、刮痧、五味子・五倍子・何首烏・酸棗仁各等分の臍部貼敷などの非薬物療法も有効性が報告されているが、研究の多くは小規模な臨床観察であり、大規模前向き研究が不足している。なお、当帰六黄湯・黄耆赤風湯・蒿芩清胆湯などの構成生薬は本論文中に記載されていないため補っていない。 (2018、張鳳茹)
囲絶経期の潮熱は、突然上半身から頸部・顔面に及ぶ烘熱感と発赤を呈し、発汗やその後の畏寒を伴うことが多く、中医では「絶経前後諸症」「百合病」「臓躁」などに属し、基本病機を腎虚による陰陽失調と捉える。とくに腎陰虚・肝腎精血不足による相火妄動を重視する一方、腎陽虚による衛気不固・虚火上炎、血瘀、肝失疏泄、心腎失調なども関与するため、調理衝任・平衡陰陽を基本として滋陰補腎、疏肝泄熱、活血化瘀などを組み合わせる。治療では地黄飲子(熟地黄、麦冬、石菖蒲、山茱萸、茯苓、肉蓯蓉など)、二至丸合二仙湯加減(仙茅、墨旱蓮、女貞子、当帰、黄柏、知母など)、滋水清肝飲、知柏地黄湯などが用いられ、知柏地黄湯加減は熟地20g、黄柏20g、知母20g、山薬15g、女貞子15g、柴胡12g、当帰12g、梔子12g、山茱萸12g、生地12g、牡丹皮12g、白朮12g、沢瀉10g、茯苓10g、甘草10gで構成される。自験方では**益腎解鬱寧神方(牡蛎20g、干地黄15g、竜骨15g、黄柏12g、知母12g、女貞子12g、白芍12g、当帰12g、白薇10g、柴胡9g、肉桂5g、大棗4枚、生姜6g、炙甘草6g)**が総有効率93.33%、安度更年方(覆盆子30g、制何首烏30g、菟絲子30g、当帰15g、葛根15g、牛膝15g、山茱萸15g、茯苓15g、補骨脂9g、甘草3g)、**調肝益腎湯(熟地30g、山薬15g、山茱萸15g、枸杞子15g、川牛膝10g、菟絲子10g、杭菊花10g)**なども潮熱・発汗を改善している。さらに体鍼、低頻度電鍼、鍼灸と中薬の併用、耳穴貼圧、穴位埋線なども用いられるが、既存研究は小規模臨床研究が多く、評価基準や作用機序などには今後の検討が必要である。 (2018、陳欣舒)
囲絶経期の潮熱汗出は、腎精虧虚を基本病機とし、腎陰虚による虚熱内生・虚陽上越、腎陽虚による衛気不固・虚陽外浮を中心に、肝血不足・肝陽上亢、心腎不交、脾胃虚弱による陰火上衝、肺の粛降失調、さらに痰湿・瘀血・気鬱などが複雑に関与すると考えられ、肝・心・脾・肺を含めた辨証が必要とされる。 治療では補腎滋陰・固摂斂汗・潜陽を目的とする六味地黄湯合五子衍宗丸(枸杞子、菟絲子、覆盆子、五味子、車前子)が68例で総有効率89.7%、陰陽両虚には地黄飲子、腎虚兼肝鬱・心神不寧には益腎解鬱寧神方が総有効率93.33%を示し、このほか二仙湯、逍遥散、柴胡疏肝散、知柏地黄丸、左帰丸、帰脾湯、天王補心丹、温胆湯、当帰六黄湯などが辨証に応じて用いられ、当帰六黄湯は総有効率94.7%、甘麦大棗湯加味は92.45%と報告されている。 また坤宝丸合知柏地黄丸は総有効率97.5%で、電鍼、推拿、捏脊、穴位埋線、耳穴貼圧、中薬敷臍(五倍子、五味子、何首烏、酸棗仁各等分)などの外治法も用いられる。総じて「腎虚を本」としながら、陰陽・肝心脾肺・気鬱・痰瘀を辨別して個別に治療することが重要であるが、既存研究は小規模なものが多く、質の高い臨床試験が必要とされる。なお、本文では上記内服方剤の構成生薬は記載されていないため補っていない。 (2016、吴永灿)
本論文は、囲絶経期に一般に「潮熱」と呼ばれている症状の多くは、中医本来の定義では**「潮熱」ではなく「烘熱」であると指摘している。潮熱は潮の満ち引きのように一定時刻に発熱または熱勢が増強するもので、日晡潮熱・午後潮熱・夜間潮熱などに分類され、陽明腑実、湿熱、陰虚火旺、温病後期の陰液損傷など病機が多様であるのに対し、烘熱は時間的規則性のない発作性の熱感で、1日数回から1時間に数回起こり、通常は体温上昇を伴わず、胸部より上の熱感・顔面紅潮・発汗を中心に、煩躁易怒、眩暈、耳鳴、心悸、不眠、腰背酸痛、手足心熱などを伴うもので、囲絶経期のいわゆるホットフラッシュはこちらに相当するとする。 烘熱の基本病機は腎虚、とくに腎陰虧虚で、天癸の衰退により陰陽が失調し、陰不潜陽・虚陽外泄・迫津外泄となって烘熱汗出を生じ、肝腎陰虚、心腎不交、気血虧虚なども関与するほか、脾胃気虚・清陽不升による「陰火」も病機となり得る。 治療は証に応じて滋腎養陰を基本とし、肾陰虚には熙坤湯**、腎陰陽両虚には地黄飲子や二至丸合二仙湯加減などを用い、鍼灸では復溜・三陰交・陰郄への埋線、肝俞・腎俞・脾俞への鍼刺なども行われる。一方、本来の潮熱では陽明腑実に大承気湯・小承気湯・調胃承気湯、湿熱性の午後潮熱に大柴胡湯、夜熱早涼には青蒿鳖甲湯など、烘熱とは異なる治療が必要であり、両者を混同せず病証を合わせて辨証論治することが重要である。なお、これら方剤の構成生薬は本論文中に記載されていないため補っていない。(2015、曹蝶)
陰虚火旺型の囲絶経期症候群93例を対象に、清心滋腎湯加味単独46例と、清心滋腎湯加味+隔物灸47例を8週間治療して比較した研究である。清心滋腎湯加味は鈎藤15g(後下)、合歓皮10g、浮小麦30g、蓮子心5g、山薬10g、煅竜歯20g(先煎)、黄連5g、山茱萸10g、太子参15g、炒酸棗仁10g、茯神10g、茯苓10gで構成し、肝鬱には鬱金9g・緑梅花3g、脾虚には砂仁5g・白朮10g、陰陽両虚には菟絲子10g・枸杞子10gを加えた。隔物灸は太渓・湧泉・三陰交・腎兪を主穴として生姜片を介して各15分、週3回施行した。 中医病機は腎陰不足・心肝火旺を核心とする心腎不交と捉え、清心瀉火・滋腎益陰・交通心腎を治法とし、鈎藤・黄連・蓮子心で平肝清心、茯神・炒酸棗仁・合歓皮・浮小麦・煅竜歯で安神斂汗、山茱萸・山薬・茯苓で固本、太子参で養心益気する。 8週後の総有効率は清心滋腎湯単独の**82.61%に対し、隔物灸併用で95.74%(P=0.041)**と有意に高く、併用群では潮熱汗出・心悸・筋肉関節痛および血管舒縮症状、身体・心理面のQOLがより改善した。LHは8週後に有意に低下した一方、FSH低下・E2上昇は傾向にとどまり、両群の有害事象発生率には有意差を認めなかったことから、陰虚火旺型の潮熱汗出に清心滋腎湯加味と隔物灸の併用が有用である可能性が示された。 ただし、少数例・8週間の短期追跡・プラセボ対照なしという限界がある。(2026、汪晓娜)
本論文は、囲絶経期の潮熱を中医古典の**「奔豚病」との類似性から考察し、両者に共通する病機として肝腎陰虚、衝任失調、衝気上逆、気機逆乱、陰陽失衡を挙げ、特に「腎精虧虚を本、衝気上逆を標、肝鬱気滞を誘因」と捉えている。 囲絶経期には腎精・腎陰が衰え、肝木を涵養できず肝陽が亢進し、さらに衝任の衰退によって衝気が上逆することで、胸部から頸部・顔面へ熱気が突き上げる発作性の潮熱が生じ、情志刺激による肝鬱・気鬱化火がこれを増悪すると考える。この「熱気が上衝し、発作性に出現してまた収まる」という特徴が奔豚病の気上衝と類似しており、治療には滋陰補腎だけでなく、調理衝任・疏肝理気・平衝降逆を組み合わせることが重要とされる。 症例では50歳女性の潮熱盗汗、手足心熱、少腹から頭面へ突き上げる熱感、急躁易怒、睡眠障害、口乾口苦、脘痞・呃逆を血虚肝旺・肝胃不和と辨証し、疏肝養血・清熱降逆を目的に奔豚湯加減(当帰6g、川芎9g、白芍12g、酒黄芩9g、炒川楝子3g、葛根12g、法半夏10g、茯苓12g、赤小豆12g、鬱金9g、青皮3g、炙甘草6g)を投与し、6剤で潮熱や睡眠、脘痞・呃逆が明らかに改善した。二診では半夏・青皮を去り、枳殻3g、桂枝6g、牡蛎6gを加えて理気寛胸・平衝降逆・斂神を強め、さらに6剤投与後には潮熱盗汗がほぼ消失し睡眠も改善したことから、囲絶経期潮熱、とくに下腹部から胸・頭面へ熱気が上衝し、情緒変動で増悪するタイプでは「奔豚」の病機を応用した疏肝養血・清熱降逆・平衝降逆が有用**と考察している。(2026、劉宇薇)
**陰虚火旺型の絶経症候群(MPS)70例を対象に、清心滋腎湯単独群35例と清心滋腎湯+耳穴圧豆群35例に無作為化し、最終的に69例(併用群35例、単独群34例)を3クール(1クール28日)治療して比較した。病機を「腎陰虧虚を本、心火亢盛を標、心腎不交を核心」**と捉え、滋陰降火・清心滋腎・交通心腎を治法としている。 **清心滋腎湯(蓮子心、黄連、熟地黄、山茱萸、鈎藤、炒酸棗仁、丹参、浮小麦)**は、蓮子心・黄連で清心瀉火、熟地黄・山茱萸で滋補腎陰、鈎藤で清肝熱、炒酸棗仁で養心安神し、丹参・浮小麦を組み合わせて「滋腎固本・清心治標・心腎同治」を図る方剤である。 治療後は両群ともKupperman指数、中医証候、潮熱汗出、HAMA、PSQIが有意に改善したが、**耳穴圧豆併用群の改善が単独群より有意に優れ(P<0.001)、併用群の総有効率はKupperman 97.80%、中医証候91.43%、潮熱汗出97.14%、不安91.43%、睡眠91.43%**であった。またE2上昇、FSH・LH低下を認め、併用群でより改善し、両群とも治療に関連する有害事象は認めなかったことから、清心滋腎湯に耳穴圧豆を加える「内外合治・心腎同調」は、陰虚火旺型の潮熱汗出、不眠・不安などに清心滋腎湯単独より有効と結論している。 (2026、伊麗米拉・賽依布拉)
肝腎陰虚型の絶経前後諸証(更年期症候群)60例を無作為に30例ずつに分け、自擬七七方と坤泰膠囊を12週間投与して比較した研究で、病機を「七七」の時期に腎気・天癸が衰え、肝腎陰虚、水不涵木、虚陽上擾を生じるものと捉え、滋腎養肝・育陰潜陽を治法としている。 治療群には自擬七七方(知母10g、黄柏10g、熟地黄10g、山薬20g、山茱萸10g、亀甲10g〔先煎〕、酸棗仁15g、五味子10g、浮小麦30g、煅牡蛎30g〔先煎〕)を1日1剤、200mLとして朝夕2回に分服し、対照群には坤泰膠囊を投与した。 12週後、自擬七七方群ではKupperman指数、HAMA、中医証候総得点がいずれも有意に改善し、特に潮熱盗汗、月経紊乱、腰膝酸軟、失眠多夢、頭暈耳鳴などの改善が坤泰膠囊群より優れており、中医証候の総有効率は90.0%対76.67%、Kuppermanによる臨床総有効率は**86.67%対73.33%**であった。 また両群ともFSH・LHが低下しE2が上昇したが、このホルモン改善効果には群間有意差を認めず、安全性にも大きな問題はなかったことから、肝腎陰虚型、とくに潮熱盗汗を伴う更年期症候群に対して滋腎養肝・育陰潜陽法が有用と結論している。(2026、陳佳麗)
坤泰膠囊による囲絶経期症候群(PMS)の治療について臨床応用と作用機序を整理した総説で、坤泰膠囊は『傷寒雑病論』の黄連阿膠湯を基礎に化裁された中成薬であり、坤泰膠囊(熟地黄、黄連、白芍、黄芩、阿膠、茯苓)から構成され、滋陰降火・交通心腎を治法として、主に心腎不交・腎陰虚型の囲絶経期症候群に用いられる。 現代医学的には、下垂体―卵巣軸を調節してFSH・LHを低下、E2を上昇させる作用、卵胞閉鎖抑制・卵巣血流改善などの卵巣機能保護作用に加え、血管収縮因子を抑制してNO利用能を高めることによる潮熱・発汗など血管運動神経症状の改善、脂質代謝調節、抗炎症・免疫調節など多面的作用が報告されている。臨床では潮熱汗出、睡眠障害、骨粗鬆症、異常子宮出血、不安・抑うつ、心血管疾患などへの応用が報告され、特に潮熱128例の研究では坤泰膠囊+谷維素により性ホルモン値と潮熱汗出が改善し、有害反応率も谷維素単独より低く、別のRCTでも卵巣機能と潮熱の改善が示された。 一方、既存研究は小規模・単施設研究が多く、長期的有効性・安全性を確認する大規模多施設二重盲検RCTが必要とされている。(2025、王紫媚)
腎陰陽両虚証の絶経症候群潮熱72例を対象とした前向き無作為化対照試験で、潜陽封髄丹と佳蓉片を3か月間投与して比較し、さらに去卵巣ラットを用いて作用機序を検討した研究である。 潜陽封髄丹は潜陽丹と封髄丹を基礎に加減した方剤で、潜陽封髄丹(炮附子5g〔先煎〕、醋亀甲10g〔先煎〕、黄柏15g、知母15g、枸杞子15g、酒萸肉20g、遠志10g、鬱金15g、浮小麦30g、生牡蛎30g〔先煎〕、五味子10g、桂枝15g)を1日1剤、300mLに煎じ朝夕分服し、温腎扶陽・滋陰潜陽・固精封髄・斂汗を図った。 方中、炮附子・醋亀甲・黄柏・知母を君薬として温腎助陽・滋陰潜陽、枸杞子・酒萸肉・遠志・鬱金で交通心腎、浮小麦・五味子・生牡蛎で固摂潜陽・斂汗、桂枝で温陽化気する構成である。 臨床では潮熱の回数・程度・持続時間を有意に改善し、烘熱汗出、乍寒乍熱、腰膝酸軟、失眠、易激動なども改善、LH・FSHを低下させ、**臨床有効率87.88%**であった。 動物実験ではKiss1・NKBを低下、Dynを上昇させてKNDyニューロンを調節し、さらにNK3R・TRPV1を抑制したことから、NK3Rを標的としてNKB/TRPV1経路を介したKNDy-MnPOニューロン間情報伝達を抑制することが潮熱改善機序と考えられ、緑原酸、Apigetrin、Phellamurin、Sibiricose A3が有効成分候補として示された。(2025、孫雪梅)
絶経症候群の潮熱(MPS-HFs)を「腎虚・営衛失調」と捉え、補腎+調和営衛を目的とした桂仙合剤(GED)の作用機序を検討した2025年・広州中医薬大学の修士論文である。 桂仙合剤は二仙湯+桂枝湯を基本に亀板・牡蛎を加えた処方で、**桂仙合剤(仙茅5g、仙霊脾5g、巴戟天15g、当帰10g、知母5g、黄柏5g、生牡蛎60g、亀板30g、桂枝10g、白芍10g、炙甘草10g、大棗10g、生姜10g)**からなる。 二仙湯部分で腎陰陽両虚を補い、桂枝湯部分で桂枝通陽調衛・白芍斂陰和営として営衛を調和し、亀板で滋陰潜陽、生牡蛎で鎮摂固渋・安神を図る構成である。
先行臨床研究ではMPS-HFs患者88例を桂仙合剤群とMHT(克齢蒙)群に無作為化し3クール治療したところ、桂仙合剤はKupperman Indexおよび潮熱スコアを有意に低下させ、MHTに対して非劣性で、副作用発生率は有意に低かった。 本論文の臨床横断研究では、潮熱患者は非潮熱女性より身体的・心理的・総合的老化スコアが高く、血清SIRT1が低値、NF-κB・NLRP3が高値であり、潮熱と老化・慢性炎症との関連が示された。動物実験では特に高用量GEDが尾温を正常化し、FSHを低下させ、血清・視索前野(POAH)のSIRT1を上昇、NF-κB・NLRP3を抑制したことから、桂仙合剤はSIRT1活性化→NF-κB/NLRP3炎症系抑制という「抗老化・抗炎症」作用を介して潮熱を改善する可能性が示された。(2025、毛婷)
囲絶経期の潮熱・発汗を「腎虚」を本とし、肝鬱・営衛不和を伴う病態と捉え、仝小林の「態靶辨証」に基づいて柴胡桂枝乾姜湯加減を応用した報告である。「態」は主に虚態・鬱態、「症靶」は潮熱・発汗、「標靶」は性ホルモン値とし、補虚疏肝・調和陰陽を治療原則としている。基本的な薬物構成は、柴胡・黄芩・鬱金で疏肝解鬱・清熱、山茱萸・鼈甲・黄耆・桂枝・白芍・乾姜で補肝腎・益気・調和営衛を図り、さらに青蒿・知母・生地黄・牡丹皮で滋陰清虚熱、牡蛎・竜骨・黄耆・浮小麦などで斂汗・潜陽・固表するという組み立てである。
提示症例は57歳女性、潮熱・発汗、易怒、五心煩熱、腰膝酸軟、耳鳴、口渇、便秘、舌紅・薄白苔、弦細脈を呈する腎虚肝鬱証。初診処方は、柴胡20g、黄芩10g、乾姜20g、桂枝20g、鬱金20g、白芍20g、地骨皮20g、青蒿15g、鼈甲15g、知母20g、五味子30g、煅竜骨30g、煅牡蛎30g、山茱萸30g、仙鶴草20g、野菊花20g、黄耆30g、浮小麦30g、麻黄根20g。6剤で手足心熱・発汗が明らかに改善し、残存する潮熱に女貞子20g・旱蓮草20gを追加、その後の不眠に首烏藤30g・合歓皮30gを追加し、3か月後には諸症状が改善した。つまり本方の特徴は、単純な「腎陰虚→滋陰」ではなく、柴胡桂枝乾姜湯による疏肝・調和陰陽を軸に、青蒿・鼈甲・知母で虚熱を清し、黄耆・浮小麦・麻黄根・牡蛎・五味子などで発汗を直接抑える「態+靶」の多層的治療にある。著者らは、囲絶経期潮熱・発汗では特に腎虚肝鬱型が多く、本方は「補而不滞、滋而不膩」と総括している。(2025、楊君)
囲絶経期汗証に対する中医薬の用薬規律を明らかにするため、CNKI・万方・維普に収載された建庫時から2023年12月までの有効医案275例を収集し、頻度分析・関連規則分析・クラスター分析を行ったデータマイニング研究である。症状では汗多、失眠、心煩、乏力、口乾、盗汗、心悸、自汗、潮熱などが多く、病機は虚・熱を中心とした虚実夾雑、陰陽失調と考察された。
275処方には231種類、延べ3614回の生薬が使用され、頻度上位10薬は炙甘草、牡蛎、白芍、黄耆、当帰、浮小麦、生地黄、竜骨、柴胡、黄芩であった。薬効別では補虚薬が最多で、清熱薬、解表薬、収渋薬、平肝熄風薬、活血化瘀薬などが続き、補虚薬では補気薬が最も多かった。薬対では牡蛎―竜骨の関連が最も強く、三薬では白芍―桂枝―炙甘草、牡蛎―竜骨―炙甘草が上位となった。
クラスター分析から、①牡蛎、竜骨、黄耆、浮小麦、大棗、生姜、炙甘草、白芍、桂枝、白朮、防風、党参、②当帰、生地黄、黄柏、熟地黄、黄連、黄芩、酸棗仁、③五味子、麦門冬、太子参、④山茱萸、山薬、梔子、牡丹皮、知母、地骨皮、⑤百合、女貞子、⑥川芎、牛膝の6群が抽出された。総じて囲絶経期汗証では、単純な腎陰虚への滋陰だけではなく、補虚・清熱を基本に、益気固表・斂汗、滋陰清熱、調和営衛を組み合わせ、寒温を併用して陰陽を平調することが中心的な治療構造と結論している。(2024、黄洋玲)
肝腎陰虚型の囲絶経期潮熱に対する帰芍地黄湯加減の臨床効果を検討した2024年の湖北中医薬大学修士論文である。 60例を無作為に治療群・対照群各30例に分け、両群に心理指導・食事療法・谷維素(オリザノール)を行い、治療群にはさらに帰芍地黄湯加減を6週間投与した。
帰芍地黄湯加減:当帰12g、白芍12g、生地黄24g、牡丹皮9g、茯苓9g、山薬12g、山茱萸12g、沢瀉9g、菟絲子9g、続断9g。 原方は六味地黄湯の熟地黄を生地黄に変更し、当帰・白芍を加えたもので、本研究ではさらに菟絲子・続断を加え「陽中求陰」としている。治法は滋陰養血・涼血清熱を基本に、肝腎を補益し虚熱を清するものと説明されている。
治療完遂56例では、総有効率は治療群89.3%、対照群57.1%(P<0.001)で、帰芍地黄湯群が有意に優れていた。潮熱スコアも2.18→0.96と改善し、対照群の2.43→1.53より有意に良好だった。さらにE2は13.74→23.78 pg/mLへ上昇、FSHは49.34→40.09 mIU/mLへ低下し、いずれも対照群より改善が大きかった。中医証候スコアも7.86→4.86へ有意に低下し、治療期間中に明らかな有害事象は認めなかった。
したがって、肝腎陰虚による潮熱・盗汗・五心煩熱・口乾・腰膝酸軟・頭暈耳鳴などに対し、生地黄を中心とする滋陰清熱に当帰・白芍の養血斂陰、菟絲子・続断の補腎を組み合わせた帰芍地黄湯加減が有効であったとする研究である。(2024、張迪)
「データマイニングに基づく囲絶経期潮熱の中医証候特徴と処方・用薬規律」**を検討した、康夢嬌による2023年の修士論文です。
356文献・361処方を解析し、187種類の生薬、延べ4,293回の使用を抽出しています。証型は肝腎陰虚証45.31%が圧倒的に多く、肝火熾盛証12.45%、肝鬱気滞証11.02%、腎陰陽両虚証10.00%の順でした。典型的な舌脈は舌紅・少苔・細数脈で、病機の本質を「腎陰虧虚」としています。
高頻度生薬上位は、熟地黄181回、当帰168回、山茱萸168回、白芍164回、茯苓147回、甘草142回、山薬134回、牡丹皮133回、生地黄127回、知母124回。関連ルールから抽出された核心9薬は、熟地黄、牡丹皮、茯苓、山薬、山茱萸、知母、黄柏、白芍、当帰で、実質的には知柏地黄湯を基礎に当帰・白芍を組み合わせる構造です。
用量にも一定の傾向があり、熟地黄・山薬・山茱萸・白芍は15g、当帰・茯苓・牡丹皮・知母・黄柏は10gが最頻用量でした。熟地黄の平均用量は16.43±5.70gで、核心薬中最大でした。
証型別には、肝腎陰虚証:熟地黄、山薬、山茱萸、牡丹皮、茯苓、沢瀉、知母、黄柏、墨旱蓮、女貞子が核心10薬。さらに聚類では、①知母・黄柏・淫羊藿・枸杞子・菟絲子、②白芍・柴胡・甘草・当帰、③女貞子・墨旱蓮・生地黄・地骨皮、④牡蛎・竜骨・酸棗仁・五味子・麦冬、⑤牡丹皮・沢瀉・山薬・茯苓・山茱萸・熟地黄・浮小麦、という5群が抽出されています。一方、肝火熾盛証では生地黄との関連が強く、清熱降火薬を追加し、肝鬱気滞証では柴胡・白芍との関連が強く、疏肝解鬱を加えるという構造です。つまり、共通する腎陰虚を治療しながら、肝火には清熱、肝鬱には疏肝を加えるという考え方です。著者は最終的に、囲絶経期潮熱の治療原則を**「清熱疏肝・益腎滋陰・収斂止汗」とまとめ、参考方剤として知柏地黄湯、二至丸、二仙湯、当帰六黄湯、逍遥散、甘麦大棗湯**を挙げています。
数行でまとめるなら:囲絶経期潮熱361処方をデータマイニングしたところ、最多証型は肝腎陰虚証(45.31%)で、病機の本質は腎陰虧虚とされた。核心薬は熟地黄、牡丹皮、茯苓、山薬、山茱萸、知母、黄柏、白芍、当帰で、知柏地黄湯を基本とする構成が中心であった。治法は益腎滋陰・清熱疏肝・収斂止汗を基本とし、肝火熾盛には清熱降火、肝鬱気滞には疏肝解鬱を加える。(2023、康夢嬌)
北京中医薬大学・王希元の2022年修士論文**「柴胡加龍骨牡蛎湯合甘麦大棗湯加減による囲絶経期症候群の臨床研究」**です。
対象は肝鬱化熱型の囲絶経期症候群33例で、前向き自己対照試験として8週間投与しています。
処方は、柴胡、党参、竜骨、牡蛎、黄芩、半夏、桂枝、茯苓、大黄、巴戟天、甘草、浮小麦、大棗、珍珠母。柴胡加龍骨牡蛎湯+甘麦大棗湯を基本としており、治法は和解少陽・通陽泄熱・養心安神です。著者らは「初期は肝鬱を中心とする実証、長期化すると実から虚へ転じ心神失養を来す」と考えています。
8週間後、Kupperman総点は平均7.49点低下し、特に潮熱・発汗、不眠、易怒、異常感覚、疲労が有意に改善しました。Greeneは6.88点、MRSは5.06点、MENQOLは15.28点、中医証候スコアは5.69点低下し、さらに目乾、耳鳴、五心煩熱、腹脹、口苦も有意に改善しています。重大な有害事象は認められませんでした。
代謝組学では21例を解析し、37種類の有意な差異代謝物と18の関連経路を抽出。エストロゲンシグナル、卵巣ステロイド生成、GnRH分泌、プロラクチンシグナルなどが関与し、著者は本方の作用機序としてエストロゲン調節などを推定しています。
数行でまとめるなら:
肝鬱化熱型の囲絶経期症候群33例に、柴胡加龍骨牡蛎湯合甘麦大棗湯加減(柴胡、党参、竜骨、牡蛎、黄芩、半夏、桂枝、茯苓、大黄、巴戟天、甘草、浮小麦、大棗、珍珠母)を8週間投与した。潮熱・発汗、不眠、易怒、疲労などが有意に改善し、Kupperman、Greene、MRS、MENQOL、中医証候スコアも有意に低下した。治法は疏肝解鬱・清熱、養心安神を中心とし、代謝組学からエストロゲン関連経路などへの作用が示唆された。(2022、王希元)
鄭樹霞・李燕「加味滋水清肝飲治療絶経総合征潮熱汗出療效観察」『山西中医』2019年です。
数行でまとめると:
陰虚肝旺型の絶経症候群60例を無作為に2群に分け、30例に加味滋水清肝飲(白芍12g、熟地黄10g、山梔子10g、山薬10g、山茱萸10g、当帰10g、牡丹皮10g、茯苓10g、沢瀉10g、黄柏10g、知母10g、柴胡6g)、30例に莉芙敏を4週間投与した。
加味滋水清肝飲群の総有効率93.3%に対し対照群80.0%で、有意に良好であり、特に潮熱・発汗の改善が優れていた。
病機を**腎陰虚→水不制火→肝火旺盛(陰虚肝旺)**と捉え、滋陰降火・疏肝補腎・寧心安神を治法としている。(2019、鄭樹霞)
なお、本文の実際の投与処方には酸棗仁・合歓皮は記載されていません(白芍、熟地黄、山梔子、山薬、山茱萸、当帰、牡丹皮、茯苓、沢瀉、黄柏、知母、柴胡の12味)。一方、考察では酸棗仁・合歓皮の薬効にも言及されており、ここは本文中に若干の不整合があります。
陰虚火旺証の囲絶経期症候群157例を無作為に坤泰膠囊群79例と吉草酸エストラジオール群78例に分け、3か月間治療して比較した。坤泰膠囊は坤泰膠囊(熟地黄、黄連、白芍、阿膠、黄芩、茯苓)で構成され、1回4粒・1日3回投与した。 3か月後のKuppermanスコアによる総有効率は87.3%対89.7%でエストラジオール群と有意差がなく、特に潮熱の有効率は93.67%対97.44%で、坤泰膠囊はエストロゲン療法とほぼ同等の潮熱改善効果を示した。 血清E2は坤泰膠囊でも8.31→23.15 pg/mLと有意に上昇したが、エストラジオール群より上昇幅は小さく、一方で子宮内膜厚は有意に増加せず、乳房脹痛や性器出血も対照群より少なかった。 以上より、坤泰膠囊は陰虚火旺型の潮熱・発汗を含む囲絶経期症状に有効で、エストロゲン療法に近い症状改善効果を示しながら、子宮内膜刺激や乳房脹痛・性器出血が少ないことが示された。(2019、黄暁梅)
肝鬱脾虚型の絶経症候群48例を無作為に2群に分け、治療群24例に疏肝健脾方、対照群24例にチボロンを6週間投与して比較した。疏肝健脾方は柴胡加龍骨牡蛎湯と大補脾湯の加減方で、治法は疏肝健脾・益気養陰を中心としている。
疏肝健脾方(柴胡15g、党参30g、麦門冬30g、五味子15g、竜骨30g、牡蛎30g、黄芩15g、桂枝15g、茯苓30g、姜半夏10g、乾姜15g、生白朮30g、生姜12g、大棗15g、甘草10g)を1日1剤、6週間投与した。 治療後、Kupperman総スコアは22.76→9.08へ低下し、潮熱・発汗も9.33→3.61と有意に改善したほか、不眠、多夢、易怒、疲労、頭痛などにも改善を認めた。 中医証候の総有効率は**87.4%でチボロン群54.2%より有意に高く、特に潮熱・発汗の有効率は91.7%**であった。 以上より、絶経後の潮熱・発汗を単純な腎陰虚だけでなく、肝鬱脾虚を本として疏肝健脾し、益気養陰を併用する治療が有効であることを示した。(2019、安熠)
囲絶経期潮熱の中医病機と臨床治療を整理した総説で、現代医学でいうhot flushesは、中医本来の一定時刻に発熱する「潮熱」とは異なり、むしろ不規則かつ局所的・発作性に熱感や顔面紅潮が生じる「烘熱」に相当すると指摘している。 病機は腎虚を根本とし、とくに腎陰虚との関連が強いが、肝気鬱結、心気虚、腎陽損傷による虚火上炎、瘀血、さらに「衝脈隷於陽明」の立場から陽明胃熱上擾など、多様な病機が関与するとしている。 治療では、当帰六黄湯加減による滋陰養血・清心瀉火が30例で総有効率96.67%、黄耆赤風湯加減による平衡陰陽・調気活血が40例の比較試験で有効率90%(対照70%)、蒿芩清胆湯加減による清利肝胆・順気化痰が30例で総有効率86.67%、さらに滋腎疏肝を目的とした自擬更健湯などの有効性が報告されている。なお、本総説にはこれら内服方剤の構成生薬は記載されていないため、推測して補っていない。 非薬物療法では電鍼、穴位埋線、耳穴貼圧、推拿、刮痧などに加え、中薬敷臍(五味子、五倍子、何首烏、酸棗仁を各等分)が60例で総有効率91.67%と報告されている。 総じて、囲絶経期潮熱は腎虚を本としながら、陰虚・陽虚、肝鬱、心気虚、瘀血、陽明胃熱などを辨証して治療する必要があるが、既存研究は臨床観察が中心で、大規模前向き研究が不足している。(2018、張鳳茹)
陰虚火旺型の絶経症候群潮熱患者65例を無作為に、益坤飲群33例と坤泰膠囊群32例に分け、最終的に31例・29例を解析した。益坤飲(鈎藤10g、枸杞子10g、仙霊脾〔淫羊藿〕10g、白芍10g、合歓皮10g、煅牡蛎15g、熟地黄10g、茯苓10g、黄耆10g)を12週間投与した。 治療後の総有効率は93.5%で坤泰膠囊群72.4%より有意に高く、潮熱スコア、中医証候スコア、Kuppermanスコアも有意に改善し、特に潮熱改善は対照群より優れていた。 また、血清E2上昇、FSH低下に加えて、血管内皮機能を示すFMDも有意に改善したことから、著者は益坤飲が性ホルモンを調節するとともに血管内皮機能を改善することで潮熱を軽減する可能性を示している。(2018、曹聖君)
囲絶経期潮熱に対する中医薬治療の臨床研究を整理した総説で、病機は腎虚を本とし、腎陰虚・腎陽虚・陰陽両虚を基本に、肝腎精血不足、相火偏旺、血瘀、肝失疏泄などが関与するとしている。 治療では、地黄飲子(熟地黄、麦門冬、石菖蒲、山茱萸、茯苓、肉蓯蓉など)、二至丸合二仙湯加減(仙茅、墨旱蓮、女貞子、当帰、黄柏、知母など)、滋水清肝飲加減、知柏地黄湯加減などが用いられ、滋水清肝飲加減は108例で総有効率96.29%、知柏地黄湯加減では12週間後に症状および性ホルモンの改善が報告された。 自擬方では、**益腎解鬱寧神方(牡蛎20g、乾地黄15g、竜骨15g、黄柏12g、知母12g、女貞子12g、白芍12g、当帰12g、白薇10g、柴胡9g、肉桂5g、大棗4枚、生姜6g、炙甘草6g)**が総有効率93.33%、安度更年方(覆盆子30g、制何首烏30g、菟絲子30g、当帰15g、葛根15g、牛膝15g、山茱萸15g、茯苓15g、補骨脂9g、甘草3g)、調肝益腎湯(熟地黄30g、山薬15g、山茱萸15g、枸杞子15g、川牛膝10g、菟絲子10g、菊花10g)でも潮熱・発汗の改善が報告されている。 総じて、囲絶経期潮熱には補腎滋陰を中心に、清虚熱・疏肝・活血・寧心・調和陰陽を証に応じて組み合わせる治療が多く、鍼灸・電鍼・耳穴貼圧・穴位埋線などにも有効性が報告されているが、既存研究は小規模研究が多く、評価基準や作用機序の確立が今後の課題とされている。(2018、陳欣舒)
囲絶経期の潮熱多汗症40例を無作為に20例ずつに分け、治療群に黄耆赤風湯加減、対照群に克齢蒙(エストラジオール+酢酸シプロテロン)を2クール・計8週間投与して比較した。黄耆赤風湯は王清任『医林改錯』を出典とする黄耆、赤芍、防風の3味を基本とし、益気固表・調気活血・平衡陰陽を目的とする。 随証加減として、腎陽虚には仙茅10g、仙霊脾15g、菟絲子15g、腎陰虚には女貞子15g、墨旱蓮15g、生地黄15g、不眠には酸棗仁30g、柏子仁15g、夜交藤15g、心煩易怒には醋柴胡12g、鬱金12g、香附6g、五心煩熱には黄柏10g、知母15g、醋亀板30gなどを加えた。 治療後の総有効率は90%(治癒60%)で、対照群70%(治癒45%)より有意に高く、明らかな有害反応を認めなかった。またKuppermanスコアは45.2→14.3、SF-36は43.1→65.8へ有意に改善し、特に生活の質・心理状態の改善が西薬群より優れていた。 著者らは囲絶経期潮熱多汗を腎気漸衰・衝任失調・天癸漸竭を背景とした陰陽・気血の「失和」と捉え、単純な滋陰清熱ではなく、黄耆・赤芍・防風による益気固表・調気活血・通暢経絡・平衡陰陽を基本として、陰虚・陽虚などに応じて補腎滋陰・温陽・清虚熱・安神を加える治療が有効としている。(2017、郭育蘭)
『中華医典』から「潮熱」に関する古代文献4,292条を抽出し、疾患・証候・証素・随伴症状を統計的に解析した。潮熱関連の疾患は63種・1,170条、証候は79種・2,187条に及び、最多証候は陽明腑実証763回(34.89%)、次いで陰虚証209回(9.56%)で、胆胃不和証、陰虚血虧証、痰熱結胸証、肺陰虚証などが続いた。 病位証素は大腸787回(44.54%)、肺224回、胆170回、胃162回、脾158回の順で、病性証素は熱(火)1163回(32.77%)、閉763回(21.50%)、陰虚668回(18.82%)が突出しており、特に「火熱+閉」と陰虚が潮熱に密接に関連した。 したがって潮熱を単純に陰虚・腎陰虚だけで捉えるのは不十分で、陽明腑実、痰熱、湿熱、血瘀、気虚など多様な病機を辨証する必要があると結論している。 なお、本研究の「潮熱」は主として古典的な定時に発熱する潮熱を対象としており、発作が不規則な現代医学の更年期hot flushesとは概念が完全には一致しない点には注意が必要である。(2017、時翠翠)
陽明腑実(ようめいふじつ)とは、邪熱が陽明の腑、主として大腸に入り、腸内の燥屎と結びついて裏実熱を形成した状態です。この論文でも、陽明腑実証を「大腸+火熱+閉」という証素に分解しています。典型症状は、日晡潮熱(午後、とくに夕方に強くなる潮熱)、大便秘結、腹満・腹部硬満・拒按、譫語、手足然汗出、脈沈実または沈数です。
つまり、陽明腑実=大腸に熱がこもる → 津液を消耗して便が燥結する → 熱と燥屎が結びついて腑気が通じない → 日晡潮熱という病態です。
この論文で陽明腑実証が763回(34.89%)と最多なのは重要ですが、これは「更年期のhot flushの34.89%が陽明腑実」という意味ではありません。古典医籍全体で「潮熱」を検索したため、『傷寒論』系の陽明病・日晡潮熱が大量に含まれた結果と読むべきです。したがって、更年期の潮熱を論じる目的なら、この論文の「陽明腑実最多」をそのまま臨床頻度として引用するのは適切ではないです。
囲絶経期の「潮熱」と「烘熱(こうねつ)」は中医学上、本来区別すべき症候であることを論じた総説である。古典的な潮熱は「潮のように一定の時間に発熱または熱勢が増強する」症状で、日晡潮熱(陽明潮熱)、午後潮熱、夜間潮熱・骨蒸潮熱などがあり、陽明腑実、湿熱、陰虚火旺など病機は多様である。一方、囲絶経期に一般にhot flashと呼ばれる症状は、発作時刻が不規則で、胸部から上半身・顔面を中心に突然熱くなり、体温上昇を伴わず、顔面紅潮・発汗を伴う「烘熱」とする方が中医学的には適切である。 囲絶経期の烘熱は腎虚、とくに腎陰虧虚を基本病機とし、七七の年に任脈虚・太衝脈衰少・天癸竭となり、陰陽失調から陰不潜陽・虚陽外泄・迫津外泄を生じると考えられ、肝腎陰虚、心腎不交、腎陰陽両虚などでも烘熱汗出がみられる。一方、脾胃気虚による「陰火」や気血両虚など別の病機も存在するため、単純にすべてを腎陰虚として扱うべきではない。 治療も、古典的潮熱では陽明腑実なら承気湯類、陰虚潮熱なら滋陰、夜熱早涼なら青蒿鼈甲湯など病機に応じて選択するのに対し、囲絶経期の烘熱では補腎滋陰を中心に、肝腎陰虚・心腎不交・陰陽両虚などを辨証して治療することが重要であり、著者は「潮熱」と「烘熱」を混同せず病証結合で治療すべきと結論している。 (2015、曹蝶)
腎陰虚型の絶経前後潮熱60例を無作為に2群に分け、治療群30例に熙坤湯、対照群30例にホルモン補充療法(HRT)を12週間投与して比較した。 熙坤湯(生地黄・熟地黄12g、女貞子12g、当帰12g、白芍12g、茯苓12g、白朮12g、合歓皮12g、塩知母30g、塩黄柏30g、菟絲子12g、枸杞子12g、煅竜骨・煅牡蛎30g、巴戟天12g、制何首烏12g、山茱萸15g、五味子12g、玫瑰花9g、甘草6g、浮小麦30g、麻黄根15g、牡丹皮10g)を1日1剤、朝夕2回に分服した。 治療後、熙坤湯群の総有効率は82.7%、HRT群は89.3%で有意差はなく、潮熱スコアも2.28→1.28と有意に低下し、HRTと同等の改善を示した。 本方は八珍湯・二仙湯・牡蛎散を加減した処方で、病機を腎陰虚を本とした陰陽失調・精血津液不足と捉え、滋補腎陰・補益精髄・斂汗固津を中心に、益気養血、陰陽並補、清虚熱、安神解鬱を組み合わせている。 FSHは低下、E2は上昇傾向を示したものの有意差はなく、12週間では明らかな有害反応も認めなかった。(2013、李淑娟)
陰虚火旺証の絶経総合征(更年期障害)30例を対象とした単群・治療前後比較研究で、清心滋腎湯加減を8週間投与した。 清心滋腎湯(鈎藤〔後下〕15g、蓮子心5g、黄連3g、炒酸棗仁15g、浮小麦30g、乾地黄10g、丹参10g、山茱萸9g)を1日1剤、水煎して2回に分服し、4週間を1クールとして2クール治療した。 治療後の総有効率は86.67%で、潮熱・発汗回数は9.2±1.769→2.3±1.466、Kupperman症状スコアは22.367±4.429→11.400±3.927、PSQIは15.467±2.515→7.333±2.155と、いずれも有意に改善した(P<0.05)。 E2は26.9→34.03と上昇、FSHは78.51→69.65と低下傾向を示したが有意差はなく、明らかな有害反応も認めなかった。 病機を腎陰虚を本、心火亢盛を標とする心腎不交・水火不済と捉え、清心火・滋腎陰・安神・斂汗を組み合わせ、滋陰降火・清心安神・交通心腎を図る処方である。 (2012、徐梅)
