咳を漢方で改善|最新論文
まとめ:風邪伏肺・肺失宣降・肺気上逆である。外邪が肺に侵入して肺絡に潜伏し、気道攣急や咳嗽過敏を引き起こす。長期化すると脾虚による痰湿内生、肺絡の瘀血、肺腎虚損などが加わり、本虚標実の病態へ移行する。また、肝鬱化火による木火刑金、少陽枢機不利、肺胃気逆なども慢性化の重要な要因とされる。
治療は祛風宣肺・降気止咳を基本とし、風寒犯肺には止嗽散(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、寒飲伏肺には小青竜湯(麻黄、桂枝、白芍、細辛、乾姜、半夏、五味子、甘草)や射干麻黄湯(射干、麻黄、細辛、半夏、生姜、五味子、紫菀、款冬花、大棗)、痰湿蘊肺には二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)合三子養親湯(蘇子、白芥子、萊菔子)、痰熱鬱肺には定喘湯(麻黄、白果、蘇子、杏仁、桑白皮、黄芩、半夏、款冬花、甘草)などを用いる。肺脾気虚には六君子湯(人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、甘草)や参苓白朮散、肺陰虚には麦門冬湯や沙参麦冬湯を用い、肝肺不和には小柴胡湯、柴朴湯などによって気機の升降を調整する。これらの古典方剤の構成生薬には、記事中で標準処方から補記されたものが含まれる。
**小児の慢性咳嗽では「培土生金」、高齢者では「扶正祛邪」、難治性咳嗽では「祛風解痙・活血通絡」**が特に重視される。小児では肺脾不足を基盤に痰湿や食積が関与するため、健脾化痰と補肺固表を組み合わせる。感染後咳嗽では残存する風邪の除去と肺陰・肺気の回復、UACSでは鼻・咽喉・肺を同時に治療する肺鼻咽同治が中心となる。

咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「咳嗽」に属し、伏風が肺絡に潜伏し、外邪によって誘発され、肺気上逆を生じる病態と考える。病機は風邪、痰湿飲、瘀血を中心とし、長期化すると肺脾腎虚を伴う本虚標実となる。風邪犯肺には蘇黄止咳方、桑菊飲、止嗽散、痰熱鬱肺には定喘湯、湿熱鬱肺には宣肺化湿止咳湯、痰湿蘊肺には三子養親湯、外寒内飲には小青竜湯、瘀阻肺絡には搜風消暗瘀方、桃仁陳皮飲を用いる。肝肺不和には肝昇肺降湯、柴胡疏肝方、肺脾両虚には参苓白朮散、肺腎陰虚には四陰煎、肺腎陽虚には麻黄附子細辛湯を用いる。病期別には発作期に瀉白散合定喘湯、持続期に沙参麦冬湯、寛解期に生脈飲合枳朮丸を用い、祛邪と扶正を組み合わせて再発予防を図る。構成生薬を補記すると、桑菊飲(桑葉、菊花、杏仁、連翹、薄荷、桔梗、芦根、甘草)、止嗽散(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、定喘湯(麻黄、杏仁、白果、黄芩、桑白皮、半夏、蘇子、款冬花、甘草)、三子養親湯(蘇子、白芥子、萊菔子)、小青竜湯(麻黄、桂枝、乾姜、細辛、半夏、五味子、白芍、甘草)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、縮砂、桔梗、甘草)、麻黄附子細辛湯(麻黄、附子、細辛)、瀉白散(桑白皮、地骨皮、粳米、甘草)、沙参麦冬湯(沙参、麦門冬、玉竹、天花粉、桑葉、白扁豆、甘草)、生脈飲(人参、麦門冬、五味子)、枳朮丸(枳実、白朮)が代表的な基本構成である。小青竜湯の構成は公的な承認基準とも一致する。これらは原論文に記載された配合ではなく、古典的な基本処方からの補記である。 加減方や独自処方である蘇黄止咳方、宣肺化湿止咳湯、搜風消暗瘀方、桃仁陳皮飲、肝昇肺降湯などは、実際の配合を確認できないため推測で生薬を割り当てていない。原論文に用量の記載もない。(羅景舒ら、2025年)
小児咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「風咳」「哮咳」に属し、肺脾不足を本、風邪・痰湿・食積を標とする本虚標実の病態と考える。小児は脾常不足であり、脾失健運によって痰湿が内生し、土不生金により肺気が虚弱となり、外邪の侵襲を受けやすくなる。治療は「培土生金」を基本とし、発作期には健脾化痰・宣肺止咳、寛解期には益気健脾・補肺固表を重視する。脾虚夾積証には白朮、党参、茯苓、麦芽、山楂、神曲、鶏内金、麻黄、杏仁、萊菔子、枳殻、桔梗などを用いる。脾虚湿盛証には二陳湯合三子養親湯を基本とし、半夏、陳皮、茯苓、甘草、白芥子、蘇子、萊菔子などで健脾燥湿・降気化痰を図る。肺脾気虚証には六君子湯、異功散、玉屏風散を用い、肺腎陰虚証には太子参、麦門冬、五味子、玉竹、百合、熟地黄、山茱萸、山薬、菟絲子などで滋陰潤肺・補腎を図る。久咳による瘀血には当帰、丹参、桃仁、頻回の痙攣性咳嗽には蝉退、僵蚕、全蝎、蜈蚣などを加える。
臨床研究では、解痙方(射干9g、黄芩9g、川芎6g、桃仁6g、杏仁6g、蘇子12g、萊菔子12g、地竜12g、冬瓜仁12g、芦根12g、前胡12g、毛冬青12g、白屈菜8g、全蝎3g)と四縫穴刺絡の併用、二陳湯合三子養親湯加減(半夏10g、化橘紅10g、茯苓10g、地竜10g、白芥子10g、僵蚕10g、白朮10g、蘇子10g、萊菔子10g、薏苡仁15g、竜骨15g、牡蛎15g、太子参15g、甘草5g)とモンテルカストの併用で、咳嗽症状や再発率の改善が報告されている。これらは併用療法の結果であり、中薬単独の効果を示すものではない。培土生金による肺脾同治は、小児CVAの再発予防に有望とされるが、長期的有効性の検証は十分ではない。(孫嘉莉ら、2025年)
小児咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「風咳」「痙咳」に属し、風邪による肺失宣降を主病機とし、痰湿・瘀血・正気不足が関与する本虚標実の病態と考える。小児は肺脾腎が不足し、肝陽が偏亢しやすく、脾虚による痰湿内生、伏風による気道攣急、久咳による肺絡瘀阻が病態を複雑にする。発作期には疏風宣肺を基本とし、防風、荊芥を用い、風熱には金銀花、連翹、風寒には羌活、湿邪には厚朴、木香を加える。緩解期には余風・痰瘀互結に対して四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)、二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)、三子養親湯(蘇子、白芥子、萊菔子)に丹参、赤芍を加え、安定期には玉屏風散(黄耆、白朮、防風)に仙茅、淫羊藿を加えて温補肺腎を図る。肺陰不足には白芍、甘草、五味子、烏梅を用いて酸甘化陰・緩急止咳を図る。
三焦弁証では、上焦の風寒に射干麻黄湯合温胆湯、風熱に瀉白散合温胆湯、風燥に桑杏湯合温胆湯、中焦の脾虚には資生健脾湯合温胆湯、下焦の肝鬱には柴胡加竜骨牡蛎湯合温胆湯、腎虚には白果温胆湯を用いる。また、少陽夾微飲の病機には小柴胡湯に五味子、乾姜を加えて和解少陽・温肺化飲を図る。臨床研究では射干麻黄湯、小青竜湯合二陳湯、桂枝加厚朴杏子湯、麻黄附子細辛湯などの有効性が報告され、動物実験では麻杏石甘湯、加味六安煎などによる気道炎症や免疫応答への作用が示されている。ただし、臨床研究の多くは小規模で、十分な検証が必要である。なお、各研究の具体的な生薬用量は原論文に記載されておらず、括弧内の構成生薬は基本方剤から補記したものである。(丁敏ら、2025年)
喉源性咳嗽は、咽喉の掻痒感、異物感、頻回の咳払い、発作性乾咳を特徴とし、中医学では「咳嗽」「慢喉痹」に属する。主な病機は風邪犯肺・肺失宣降、脾虚痰濁・凝結咽喉、陰虚火旺・上灼咽喉、肺気虚弱・衛表不固であり、風邪犯肺証が最も多い。治療は疏風宣肺・利咽止咳を基本とし、風邪犯肺には止嗽散(紫菀、百部、桔梗、白前、荊芥、陳皮、甘草)、脾虚痰濁には六君子湯加減(党参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、炙甘草)、風熱犯肺には銀翹馬勃散加減(金銀花、連翹、馬勃、射干、桔梗、魚腥草、牛蒡子、薄荷、大青葉、黄芩)、アレルギー素因には過敏煎加減(銀柴胡、防風、甘草、烏梅、五味子、麦門冬、北沙参、前胡、白前、桔梗、蝉退、芦根)を用いる。陽虚痰飲には苓甘五味姜辛湯加減(茯苓、甘草、乾姜、細辛、五味子、陳皮、半夏)を用い、温化痰飲・降逆止咳を図る。
経験方として祛風止咳方(蜜炙麻黄、荊芥、蝉退、桔梗、杏仁、炒蘇子、法半夏、枇杷葉、款冬花、旋覆花、蜜炙百部、烏梅、蛇退、甘草)が報告され、咳嗽過敏性に関与するTRPV1経路の抑制が動物実験で示唆されている。陰虚肺燥には利咽潤肺飲(僵蚕、射干、杏仁、枇杷葉、蘇子、沙参、麦門冬、玉竹、款冬花、紫菀、百部、炙甘草、防風、蝉退、天花粉、地膚子、細辛)、燥熱傷肺には桑葉、杏仁、桔梗、紫菀、款冬花、栝楼皮、炙甘草、芦根、知母、牛蒡子、薄荷を用いる。臨床報告では咳嗽・咽痒の改善が認められるが、小規模研究が中心で長期的有効性の検証は不十分である。なお、構成生薬は原論文記載のもので、用量は記載されていない。(廖寧寧、2025年)
慢性咳嗽は中医学では「久咳」「風咳」「臓腑咳」に属し、風邪伏肺、肺失宣降、痰飲・瘀血内阻、臓腑気機失調を主な病機とする。外感邪気が肺絡に潜伏し、久咳によって肺脾腎が虚損する本虚標実の病態であり、治療は祛風、化痰、調理臓腑、和解少陽を基本とする。外風には麻黄、紫蘇葉、荊芥、防風、射干、木蝴蝶、内風には全蝎、僵蚕、蝉退、地竜を用い、伏風には防風・羌活を配伍する。風邪犯肺には三拗湯(麻黄、杏仁、甘草)に僵蚕、蝉退を加え、風寒には桂枝、風燥には麦門冬、玉竹、風熱には黄芩、桑白皮を加える。痰熱鬱肺には黄芩、浙貝母、甘草を用い、寒飲伏肺には温肺化痰、脾虚痰湿には健脾祛湿・培土生金、肺腎気虚には益気補腎を図る。
肝脾不和による気機升降失調には半夏瀉心湯(半夏、黄芩、黄連、乾姜、人参、大棗、炙甘草)を加減し、少陽枢機不利には小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)を用いて和解少陽・調暢気機を図る。久咳に伴う気虚血瘀・水気上逆には活血化瘀・化痰利水を重視し、湿邪が三焦に停滞する場合には宣暢三焦・利湿化濁を行う。慢性咳嗽は肺のみならず肝・脾・腎・心の機能失調と関連し、祛邪と扶正を組み合わせることが重要とされる。ただし、臨床研究は経験報告が中心で、有効性の確証は十分ではない。原論文に生薬用量の記載はなく、三拗湯・半夏瀉心湯・小柴胡湯の構成生薬は基本方剤から補記した。(劉梓華ら、2025年)
上気道咳嗽症候群(UACS)は、鼻・副鼻腔などの上気道疾患に伴う分泌物の後鼻漏や咽喉刺激によって生じる慢性咳嗽であり、中医学では「久咳」「風咳」「喉咳」「鼻淵」に属する。主な病機は風邪犯肺、風痰上逆、肺失宣降であり、風・痰を中心に瘀血、燥邪、寒熱錯雑が関与する。長期化すると肺脾腎虚を伴う本虚標実となり、脾虚による痰湿内生、肺陰虚による燥咳、腎陽虚による水液代謝失調などが加わる。治療は疏風宣肺・化痰止咳・宣通鼻竅を基本とし、風痰恋肺には小青竜湯加味(麻黄、桂枝、乾姜、細辛、半夏、五味子、白芍、甘草)、風邪犯肺には止嗽散(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、痰熱鬱肺には清金化痰湯(黄芩、山梔子、知母、桑白皮、栝楼仁、貝母、麦門冬、桔梗、橘紅、茯苓、甘草)、脾虚痰湿には二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)を用いる。
風熱夾湿には蒼桑宣肺通竅湯(桑葉、蒼耳子、菊花、辛夷、薄荷、薏苡仁、石菖蒲、桔梗、杏仁、連翹、芦根、葶藶子、甘草)、風邪犯肺には疏風止咳協定方(桔梗、百部、玄参、蝉退、射干、僵蚕、杏仁、前胡、紫菀、厚朴、荊芥、甘草)、風寒恋肺には寒咳寧方加味(麻黄、半夏、細辛、款冬花、紫菀、辛夷、蒼耳子、生姜など)を用い、肺鼻同治を図る。臨床研究では、小青竜湯加味と抗アレルギー薬の併用、止嗽散と西洋薬の併用、通竅止咳湯などによる咳嗽・鼻症状の改善が報告されている。ただし、研究規模は小さく、証型の統一や長期的有効性の検証は不十分である。なお、蒼桑宣肺通竅湯、疏風止咳協定方、寒咳寧方の構成生薬は原論文記載に基づき、古典方剤の構成生薬は基本処方から補記した。生薬用量は原論文に記載されていない。(蔡宇洲ら、2025年)
小児慢性咳嗽は中医学では「久咳」「頑咳」「風咳」に属し、小児特有の肺常不足・脾常不足・腎常不足を基盤として、風邪犯肺、肺失宣降、脾虚生痰、肺腎両虚、痰瘀互結を主な病機とする。外感風邪が肺気の宣降を障害し、久咳によって肺気が損傷すると脾虚による痰湿内生、腎虚による納気失司が加わり、本虚標実となる。治療は培土生金、肺腎同調、脾腎共治、調理気機を基本とする。肺脾気虚・痰湿蘊肺には益肺化痰湯(萊菔子、蘇子、白朮、陳皮、姜半夏など)や六君子湯(人参、白朮、茯苓、半夏、陳皮、甘草)を用い、気虚が強ければ黄耆、久咳による血瘀には当帰を加える。肺腎陽虚には補骨脂、淫羊藿、巴戟天、菟絲子を用い、多汗には煅牡蛎、煅竜骨を加える。肺腎陰虚には熟地黄、墨旱蓮、補骨脂、黄精、女貞子、八仙長寿丸を用いて滋養肺腎を図る。
脾腎両虚には五味子、煅竜骨、黄精、人参、肉桂、鶏内金などを用い、二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)に補腎薬を加える。肝鬱化火・木火刑金には化肝煎(青皮、陳皮、白芍、牡丹皮、山梔子、沢瀉、土貝母)を用いて疏肝解鬱・清熱止咳を図る。肺気の宣降失調には桔梗、蜜炙麻黄、金銀花、連翹、杏仁、蘇子を用い、肝鬱化火には黄芩を配伍し、中焦の升降機能を整える。臨床研究では益気養陰祛風湯と推拿、柴朴湯と鍼治療、蘇黄止咳膠嚢と推拿などの併用効果が報告されているが、研究の多くは小規模で長期的有効性の検証は不十分である。なお、益肺化痰湯などの生薬は原論文記載に基づき、六君子湯、二陳湯、化肝煎の構成は基本方剤から補記した。生薬用量は原論文に記載されていない。(黄伝鎮ら、2024年)
咳嗽変異性喘息(CVA)は、慢性の刺激性乾咳を主症状とする特殊型喘息であり、中医学では「咳嗽」に属する。主な病機は風邪犯肺・肺失宣降であり、とくに風邪と寒邪を重要な発病因子とする。風邪が肺に侵入すると肺気が鬱閉し、風盛による気道攣急、風痰内結による肺気上逆が生じる。久咳では肺脾気虚、肺腎両虚へ移行し、痰湿・痰熱・肝火・寒飲などが病態に関与する。弁証では風邪犯肺証が最も多く、風寒襲肺、風熱襲肺、風燥犯肺、痰湿蘊肺、痰熱鬱肺、肝火犯肺、肺気虚、肺陰虚、肺脾気虚などに分類される。治療は疏風散邪・行気宣肺を基本とし、風寒襲肺には三拗湯合止嗽散、痰湿阻絡には三子養親湯、肺脾気虚には玉屏風散合人参五味子湯を用い、久病では健脾化痰・補肺益腎を重視する。
臨床研究では、風寒襲肺証60例に対する三拗湯合止嗽散、痰湿阻絡証60例に対する三子養親湯(蘇子、白芥子、萊菔子)、風邪犯肺証63例に対する麻杏止嗽散とモンテルカストの併用、肺脾気虚証70例に対する玉屏風散合人参五味子湯と吸入フルチカゾンの併用などで、咳嗽症状や炎症指標の改善が報告されている。また、著者らは止嗽散を基礎に蜜炙麻黄9g、苦杏仁9g、桑白皮15gなどを加えた麻杏桑止嗽散を使用し、90%以上の有効率を報告している。ただし、その他の構成生薬と用量は記載されていない。基礎研究では柴蜕顆粒によるMAPK/Akt/NF-κB経路の抑制、麻杏石甘湯による気道炎症の軽減が示唆されている。鍼灸、推拿、穴位貼敷の併用効果も報告されるが、研究規模や試験デザインに限界があり、有効性の確証にはさらなる検証が必要である。なお、三子養親湯の構成生薬は基本方剤から補記したものであり、各方剤の詳細な生薬用量は麻杏桑止嗽散の一部を除き原論文に記載されていない。(王越ら、2024年)
小児咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「久咳」「風咳」「哮病」に属し、表邪侵襲、痰飲内阻、正気不足を主要病機とする。小児は肺脾が未成熟で、風寒邪が肺を侵襲すると肺失宣降を生じ、脾胃の運化失調によって痰飲が内生し、肺気上逆による反復性咳嗽を引き起こす。久咳では三焦の気化機能が障害され、さらに腎気を損傷して腎不納気に至る。治療は張仲景の経方を基本とし、外寒内飲には小青竜湯(麻黄、桂枝、白芍、細辛、乾姜、半夏、五味子、甘草)を用いて解表散寒・温肺化飲を図る。痰飲阻肺・咽喉不利には射干麻黄湯(射干、麻黄、半夏、生姜、細辛、紫菀、款冬花、五味子、大棗)を用いて温肺化飲・降気祛痰を行い、風熱侵襲・痰熱蘊肺には麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)で辛涼宣肺・清熱平喘を図る。営衛不和・肺気不利には桂枝加厚朴杏子湯(桂枝、白芍、生姜、大棗、甘草、厚朴、杏仁)を用いて調和営衛・降気止咳を行い、少陽不和・三焦不利には小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)で和解少陽・疏利三焦を図る。久病による腎気虚・腎不納気には金匱腎気丸(地黄、山薬、山茱萸、桂枝、附子、沢瀉、茯苓、牡丹皮)を用いて温補腎気・固本培元を行う。
臨床研究では、小青竜湯と吸入フルチカゾンの併用122例で咳嗽症状および炎症指標の改善が報告され、射干麻黄湯の17試験・計1,661例を対象としたメタ解析でも有効性が示唆されている。麻杏石甘湯と過敏煎の併用では気道炎症の軽減、桂枝加厚朴杏子湯とモンテルカストの併用では咳嗽・免疫指標の改善、小柴胡湯加味では咳嗽VAS・FeNO・好酸球数の低下、金匱腎気丸と玉屏風散の併用では肺機能改善が報告されている。動物実験では小青竜湯によるIL-6/STAT3経路の抑制、射干麻黄湯によるTRPV1関連経路の調節、麻杏石甘湯による気道リモデリング抑制、桂枝加厚朴杏子湯によるTLR経路の調節、小柴胡湯によるTGF-β1/Smad3経路の抑制などが示唆されている。ただし、臨床研究には症例数不足、選択バイアス、観察期間の短さなどの限界がある。なお、各方剤の構成生薬は原論文の記述を基本に標準処方から不足部分を補記したものであり、個々の生薬用量は原論文に記載されていない。(王楊ら、2024年)
難治性慢性咳嗽は、8週間以上持続し、標準的な検査・治療を行っても原因が不明、あるいは原因に対する治療を行っても改善しない咳嗽を指す。中医学では「頑咳」「久咳」に属し、主要病機は風邪伏肺・肺失宣降を中心に、寒飲内伏、湿熱鬱肺、痰濁阻肺、久咳入絡による瘀血、および肺脾気虚、肺気陰虚、腎陽虚、肝火犯肺などが複雑に関与する本虚標実の病態と考える。特に風邪伏肺を病機の中心とする見解が重視され、祛風宣肺を基本に、寒飲には温肺化飲、湿熱には清熱利湿、肺脾虚には益気健脾、肺腎虚には温補肺腎、肝火犯肺には疏肝清熱を組み合わせる。
治療には、風邪伏肺・咳嗽過敏に対して鉤藤、僵蚕、蝉退を用い、寒飲内伏には乾姜、細辛、五味子を配伍する。少陽不和・胆経鬱熱には小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、甘草、生姜、大棗)、陽虚外感には麻黄附子細辛湯(麻黄、附子、細辛)、外感後の遷延性咳嗽には止嗽散(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、脾肺陽虚には附子理中丸(附子、人参、白朮、乾姜、甘草)、肝脾失調には甘麦大棗湯(甘草、小麦、大棗)を用いる。経験方として、陰虚肺燥には仙百止咳湯(仙鶴草、百部、麦門冬、沙参、白前、川貝母、桑白皮など)、外感後の難治性咳嗽には千桔金射湯(金銀花、連翹、橘紅、桔梗、木蝴蝶、射干、沙参、麦門冬)、難治性乾咳には乾咳飲(北沙参、板藍根、蝉退、桔梗、玄参、射干、山豆根など)が報告されている。さらに温腎止咳湯、沙参芩梔湯、彭氏四味方、傷寒温病合方なども紹介され、督脈への薬物貼付、皮内鍼、鍼灸、推拿などの外治法も併用されている。
臨床報告では、止嗽散加減128例、仙百止咳湯46例で有効率87.8%、千桔金射湯95例で有効率100%、粛宣解毒湯180例で有効率100%などの成績が示されている。ただし、これらは主に個別の臨床報告であり、対照群の設定や評価方法が十分に明らかでないため、有効性が確立したとはいえない。著者らは、難治性慢性咳嗽における中医証候分類の不統一、小規模・単施設研究の多さ、作用機序研究の不足を指摘し、多施設共同研究と病証結合モデルによる検証の必要性を強調している。なお、原論文には各方剤の生薬用量の記載がなく、古方の構成生薬は標準処方から補記した。経験方の「など」は原論文でも全構成生薬が示されていないことを意味する。(寧崇暁・馮貞貞、2024年)
咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「咳嗽」「哮病」に属し、風邪伏肺・肺失宣降を基本病機とし、痰飲・湿熱・瘀血が肺絡に停滞する本虚標実の病態と考える。風邪が寒・熱・燥を伴って肺に侵入し、伏風として潜伏すると、外邪によって反復発作を生じる。久病では肺脾腎が虚損し、三焦の気機失調、痰瘀互結、肺絡攣急を形成する。治療は祛風宣肺を基本とし、風邪恋肺、寒飲伏肺、痰熱鬱肺、肝火犯肺、肺陰虚、肺気虚の6証型に分ける。風邪犯肺には杏蘇散合三拗湯、肝火犯肺には瀉白散に蝉退、地竜、鉤藤、桑白皮、枳殻を加え、肺陰虚には千金麦門冬湯を用いる。脾虚痰湿には二陳湯合苓桂朮甘湯、肺腎陰虚には都気丸を用い、肺胃気逆には陳皮、前胡、半夏、厚朴、枳殻によって降肺和胃・寛腸を図る。
病期別には、急性発作期に麻黄、杏仁、荊芥、蝉退を用いて疏風宣肺し、慢性緩解期には蘇子、白芥子、半夏、茯苓によって降気化痰し、安定期には玉屏風散(黄耆、白朮、防風)に茯苓、麦門冬を加えて益気固表・健脾養陰を図る。六経弁証では、少陽枢機不利と三焦気機失調を重視し、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)に防風、薄荷、木蝴蝶、桔梗、款冬花、紫菀を加え、和解少陽・疏風利咽・降気止咳を行う。風燥陰傷には桑梅止咳湯、湿熱阻滞には三仁止咳湯を用いる。絡病理論では、風痰瘀阻による肺絡攣急を重視し、急性期には小陥胸湯、宣白承気湯に地竜、僵蚕、絲瓜絡、海風藤を加えて解痙通絡し、痰瘀互結期には二陳湯に桃仁、丹参、川芎を加え、安定期には玉屏風散合腎気丸によって扶正通絡を図る。
実験研究では、甘草次酸によるTh1/Th2バランスの調節、桔梗多糖・五味子によるNF-κB経路の抑制、扶正固本湯によるFoxp3発現促進とTh2/Tregバランスの改善が報告されている。紫訶朴喘顆粒(生黄耆、桂枝、紫菀、厚朴、訶子、生甘草)では気道好酸球浸潤や炎症反応の抑制、桑梅止咳顆粒ではNF-κB p65発現低下が動物実験で示されている。臨床研究では、疏金利肺湯、黄耆細辛湯、玉屏風散合人参五味子湯による炎症指標、気道過敏性、肺機能の改善が報告されるが、長期予後や大規模臨床試験による検証は不十分である。なお、原論文には各方剤の生薬用量の記載がなく、小柴胡湯・玉屏風散の構成生薬は標準処方から補記した。その他の方剤も、原論文に全構成生薬が示されていないものについては補完していない。(王仁臻ら、2024年)
感染後咳嗽(PIC)は、呼吸器感染症後に遷延する咳嗽であり、中医学では「咳嗽」「風咳」「頑咳」に属する。主要病機は風邪犯肺・肺失宣降・肺気上逆であり、風邪が肺に潜伏して気道攣急を生じ、寒邪、瘀血、正気不足、肝鬱などが加わることで難治化する。治療は祛風宣肺・化痰止咳を基本とし、風邪伏肺には三拗湯合止嗽散(麻黄、杏仁、甘草、紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮)に紫蘇葉、地竜、蝉退を加え、疏風降気止咳湯や祛風宣肺方も用いる。風寒閉肺には麻黄、附子、細辛による温肺散寒・温陽化飲を重視し、温陽抗寒湯や肉桂温肺化痰湯を使用する。久咳による気滞血瘀・痰瘀互結には桃仁、紅花、赤芍、川芎、丹参に枳殻、鶏血藤を配伍し、少陽枢機不利を伴う痰飲瘀血には柴朴活血止咳湯を用いて活血化瘀・化痰通絡を図る。
正気不足による遷延性咳嗽では、肺脾気虚に参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、甘草、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、縮砂、桔梗)を加減し、培土生金によって健脾益肺を図る。肺陰虚・陰虚内熱には養陰止嗽方を用いて養陰潤肺し、咽乾、咽痒、手足心熱などの改善を図る。肝鬱気滞・肝火犯肺には瀉白散(桑白皮、地骨皮、甘草、粳米)、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)を加減し、旋覆花、蘇子、青皮などを配伍して疏肝解鬱・清肺降気を行う。肝肺失調には疏肝達肺湯、邪鬱少陽には小柴胡湯加味を用いる。これらの治療では、風邪を除去するだけでなく、肺脾の虚損、肺陰不足、肝肺の気機失調を同時に調整することが重要とされる。
臨床研究では、疏風降気止咳湯による咳嗽過敏性の軽減、肉桂温肺化痰湯によるIL-8・TNF-αなどの炎症指標の改善、柴朴活血止咳湯による肺機能・免疫指標の改善、小柴胡湯加味による咳嗽期間の短縮などが報告されている。外治法として鍼灸、推拿、刮痧、耳穴圧豆、抜罐、熱敏灸、穴位貼敷、漢方薬足浴などが紹介され、鍼治療では大椎、肺俞、天容、列欠、合谷、太淵などを用いる。ただし、研究ごとの対象や評価方法が異なり、標準化された弁証分類や質の高い臨床試験が不足している。なお、原論文には各方剤の具体的な生薬用量は記載されておらず、三拗湯、止嗽散、参苓白朮散、瀉白散、小柴胡湯の構成生薬は基本処方から補記した。その他の経験方についても全構成生薬は記載されていない。(張米蘭ら、2024年)
小児咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「咳嗽」「風咳」「哮咳」に属し、肺脾腎不足を本、風邪伏肺・痰瘀互結を標とする本虚標実の病態と考える。風邪が肺に潜伏し、外風によって伏痰が誘発されると肺失宣降・肺絡攣急を生じ、反復する咳嗽につながる。久病では痰湿、瘀血、燥熱傷陰、肝風内動が加わり、肝肺の升降失調や三焦気機の障害を形成する。治療は疏風宣肺・化痰活血を基本とし、急性期には麻黄、荊芥、紫蘇葉、金銀花、連翹を用い、風熱には黄芩、桑白皮、風寒には細辛、桂枝、咽痒・気道攣急には蝉退、僵蚕、地竜、全蝎を配伍する。経験方として祛風止咳方(炙麻黄、杏仁、桔梗、枳殻、蝉退、僵蚕、白芍、炙甘草、鉤藤、紫菀、款冬花、旋覆花)、痰瘀阻肺には桃仁陳皮飲(桃仁、茯苓、黄耆、紅花、当帰、陳皮、川芎、赤芍、法半夏、甘草)、湿熱蘊肺には宣肺化湿止咳湯(生麻黄、連翹、赤小豆、杏仁、桑白皮、白豆蔲、前胡、桔梗、枇杷葉、厚朴、甘草)を用いる。
緩解期には余風未尽・痰瘀互結を重視し、寒飲には苓甘五味姜辛湯(茯苓、甘草、五味子、乾姜、細辛)、痰熱には清金化痰湯加減、痰湿には二陳湯を基本として桃仁、丹参、川芎などを配伍する。桑貝止咳平喘方は二陳湯に蜜炙桑白皮、浙貝母、杏仁、醋青皮を加えた処方である。肺陰不足には清燥救肺湯、麦門冬湯を用い、陰傷による攣急には白芍、甘草、五味子、烏梅を加える。潤肺止咳湯(桔梗、炙款冬花、蜂蜜、炙甘草、炙遠志、陳皮、法半夏、炙紫菀、川貝母、杏仁、前胡)も紹介されている。安定期には養血化痰・平肝熄風・益気固表を重視し、四物湯、玉屏風散、四君子湯を用いる。肺脾両虚には茯苓、生白朮、陳皮、黄芩、炒杏仁、紫菀、百部、魚腥草、款冬花、白前、射干、桔梗、牛蒡子、五味子、姜半夏、炙甘草、炙麻黄、細辛からなる経験方が紹介され、肺脾腎虚には化痰方(橘紅、桔梗、栝楼、清半夏、川貝母、沙参、茯苓、芡実)と固防方(黄耆、山薬、白朮、霊芝、仏手、玉竹、百合、大棗)を病期に応じて使用する。
さらに、気機升降・三焦調暢・玄府絡脈理論による治療も重視される。肝肺升降失調には小柴胡湯合四逆散、脾虚痰瘀には六君子湯合血府逐瘀湯、腎気不足には金匱腎気丸を用いる。祛風寧肺散(防風、荊芥、五味子、烏梅、百部、紫菀、胡黄連、銀柴胡、鉤藤、炒白朮、蝉退、白芷)は升降を調整し、祛風解痙を図る。三焦弁証では上焦の風寒に射干麻黄湯合温胆湯、風熱に瀉白散合温胆湯、風燥に桑杏湯合温胆湯、中焦の脾虚に資生健脾湯合温胆湯、下焦の肝鬱に柴胡加竜骨牡蛎湯合温胆湯、腎虚に白果温胆湯を用いる。玄府絡脈理論では、発作期の玄府気鬱・肺絡攣急に疏風開玄、緩解期の痰瘀内結に二陳湯加活血薬、安定期の肺脾腎虚に玉屏風散合腎気丸を用いる。臨床研究では咳嗽症状、肺機能、炎症指標の改善が報告されているが、研究の多くは小規模で、弁証分類、処方の安全性、長期的有効性の検証は不十分である。なお、原論文に各方剤の生薬用量は記載されておらず、経験方の構成生薬は原文記載に基づき、苓甘五味姜辛湯などの古典方剤の構成は基本処方から補記した。(王心語・常克、2024年)
高齢者の感染後咳嗽(PIC)は、呼吸器感染症の急性症状が消失した後も刺激性乾咳、咽痒、少量の喀痰などが遷延する病態であり、中医学では「咳嗽」「風咳」「頑咳」に属する。高齢者では脾腎虧虚・気陰両虚を本とし、風邪伏肺・痰瘀互結を標とする本虚標実が主要病機となる。外風が肺に侵入して肺失宣降を生じ、正気不足によって邪気が排除されず、久病では燥熱傷陰、肺腎陰虚、脾虚生痰、痰瘀互結へ移行する。また、肝鬱化火による内風が肺を犯し、外風と相引して咳嗽を遷延させる場合もある。治療は疏風宣肺・化痰止咳を基本とし、肺気虚には玉屏風散、肺陰虚には養陰清肺湯・麦門冬湯、脾気虚には六君子湯、肺腎虚寒夾痰には金水六君煎合玉屏風散を用いる。肺脾気虚を伴う感染後咳嗽には疏風潤肺健脾湯(防風、茯苓、党参、白朮、桔梗、僵蚕、蘇子、百部)が使用され、疏風・健脾・潤肺を同時に図る。
風寒恋肺には止嗽散(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、寒飲伏肺には射干麻黄湯(射干、麻黄、生姜、細辛、紫菀、款冬花、五味子、半夏、大棗)を用い、少陽不和・寒熱錯雑には柴胡桂枝乾姜湯(柴胡、桂枝、乾姜、黄芩、栝楼根、牡蛎、炙甘草)によって和解少陽・温化寒飲を図る。臨床研究では、疏風潤肺健脾湯併用群の有効率88.4%に対し通常治療群69.8%、射干麻黄湯併用群95.6%に対し対照群80.0%と報告され、止嗽散併用による咳嗽症状の改善、柴胡桂枝乾姜湯によるサブスタンスP、ニューロキニンA・Bなどの神経原性炎症関連物質の低下も報告されている。中薬製剤では肺力咳合剤(百部、黄芩、前胡など)、咳嗽合剤(紫菀、百部、白蘇子、桔梗、杏仁、陳皮、法半夏など)、痰熱清吸入液が紹介されている。外治法として列欠・合谷への鍼治療、肺俞・足三里への温灸、三伏貼による培土生金・益気固表も用いられる。ただし、高齢者を対象とした研究は少なく、弁証分類や治療法の標準化、長期的有効性・安全性の検証は不十分である。なお、原論文に各方剤の生薬用量は記載されておらず、止嗽散、射干麻黄湯、柴胡桂枝乾姜湯の構成生薬は基本処方から補記した。その他の経験方・製剤については原論文に記載された生薬のみを示した。(鄭晨・駱天炯、2024年)
小児咳嗽変異性喘息(CVA)は、中医学では「咳嗽」「風咳」「哮症」に属し、肺脾腎不足を本、風・痰・瘀を標とする本虚標実の病態と考える。小児は肺脾の機能が未成熟で、脾虚による水液運化失調から痰湿が内生し、外感風邪が肺を侵襲すると肺失宣降・肺絡攣急を生じて反復性咳嗽を引き起こす。風邪の善行数変・風盛攣急という性質に加え、湿邪の粘滞性、痰瘀互結、陰津損傷が遷延化に関与する。治療は疏風宣肺・化痰止咳・健脾益肺を基本とし、陰虚邪恋には養陰祛風、気陰両虚・肝鬱痰阻には小柴胡湯、瀉白散、黛玉散を用いる。肝火犯肺、脾虚痰凝、痰食蘊熱には、それぞれ清降止咳方、補中益気湯・参苓白朮散、貝母栝楼散などを弁証に応じて使用する。
病期別治療では、発作期を「咳期」として清肺止咳・祛風解痙を行い平哮方、緩解期を「痰期」として粛肺健脾・化痰止咳を行い化痰方、安定期を「根期」として肺脾腎虚に対する益気固本を行い固防方を用いる。別の治療体系では、初期の風邪犯肺に祛風寧肺散、中期の脾虚痰伏に過敏煎合止嗽散または過敏煎合桑白皮湯、後期の肺脾腎虚に健児扶正膏を使用する。絡病理論では、初期の風邪襲絡に止嗽散、中期の肺絡攣急に射干麻黄湯・宣白承気湯・小陥胸湯、後期の余邪留絡に沙参麦門冬湯・竹葉石膏湯を用い、暢絡・通絡・和絡を図る。臓腑弁証では風寒犯肺に宣肺平喘止咳湯、小青竜湯合瀉白散、脾虚には健脾補肺膏(白扁豆、山薬、生甘草、僵蚕、地竜、党参、茯苓、防風、白朮、黄耆)を用い、肝気鬱結には柴胡疏肝方を配伍して肝肺の升降を調整する。
実験研究では、五虎湯とモンテルカストの併用によるIL-33・TSLP低下、加味六安煎によるTh1/Th2バランス調節、槐杞黄顆粒によるIFN-γ増加・IL-4低下、黄竜止咳口服液によるTLR4/MyD88/NF-κB経路の抑制などが報告されている。臨床研究では、柴胡疏肝方とモンテルカストの併用62例で有効率93.75%(対照群70.0%)、少陽推拿法併用で96.7%(対照群83.3%)と報告されている。外治法として太渓、足三里、大椎、肺俞、列欠への鍼灸、培土生金穴位貼敷、少陽推拿、健脾保肺滋腎推拿などが紹介され、咳嗽症状、肺機能、免疫指標の改善が示唆されている。ただし、研究の多くは小規模で、弁証分類や評価基準が統一されておらず、大規模な比較試験による有効性・安全性の検証は不十分である。原論文には各方剤の具体的な生薬用量は記載されておらず、健脾補肺膏以外の多くの経験方についても全構成生薬は示されていない。(朱春燕ら、2024年)
小児上気道咳嗽症候群(UACS)は、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎、アデノイド肥大などに伴う後鼻漏や咽頭刺激によって生じる慢性咳嗽であり、中医学では「久咳」「鼻淵」「頏顙」などに属する。主要病機は風邪犯肺・肺失宣降・痰濁内停であり、久病では痰瘀互結を生じ、鼻甲介やアデノイドの肥大、咽後壁リンパ濾胞増生などにつながると考える。肺脾気虚・営衛不和を本、風・湿・熱・痰・瘀を標とする本虚標実の病態であり、治療は疏風宣肺・化痰止咳・活血通絡を基本とする。特に肺鼻同治・肺脾同治・鼻咽分治が重視され、鼻源性咳嗽には蒼耳子散(蒼耳子、辛夷、白芷、薄荷)、咽源性咳嗽には六味湯(荊芥、薄荷、炒僵蚕、桔梗、甘草、防風)や養陰清肺湯を用いる。風痰恋肺には二陳湯合止嗽散、痰熱鬱肺には清金化痰湯、痰瘀互結には三拗湯加活血薬、外寒内飲には小青竜湯を用い、病期に応じて初期は宣肺祛邪、中期は肺脾同治・気陰兼顧、後期は肺腎を補益して扶正固本を図る。
具体的な処方として、風痰恋肺には華蓋散・桑杏湯を基礎とした経験方(荊芥10g、苦杏仁10g、僵蚕10g、白前10g、浙貝母10g、桑白皮10g、桔梗6g、麻黄6g、遠志6g、甘草3g、蛤殻15g)を用いる。アレルギー性鼻炎に伴うUACSには御風健鼻湯(蒼耳子6g、蝉退6g、防風10g、白蒺藜10g、玉竹10g、百合10g、薏苡仁12g、炙甘草5g)、鼻副鼻腔炎に伴う外寒内飲証には理肺止咳湯(蜜炙麻黄6~10g、僵蚕6~10g、地竜6~10g、苦杏仁6~10g、紫菀6~10g、前胡10~15g、蘇子10~15g、炙甘草6~8g)を使用する。痰熱内蘊・復感風邪には新製蒼耳子散(蒼耳子10g、辛夷10g、白芷10g、黄芩10g、苦杏仁10g、陳皮10g、茯苓10g、半夏10g、桔梗10g、紫菀10g、款冬花10g、炙甘草5g)、風痰鬱肺には祛風化痰通竅方(蜜炙麻黄3g、苦杏仁10g、蜜炙款冬花10g、蝉退10g、法半夏5g、桔梗5g、薄荷6g、炒蒼耳子6g、防風6g、甘草3g)を用いる。
風痰恋肺には加味小青竜湯(蜜炙麻黄10g、白芍9g、桂枝9g、半夏9g、細辛3g、甘草3g、乾姜6g、五味子6g、蒼耳子6g、辛夷6g)、鼻源性咳嗽には止嗽散合蒼耳子散加減(蒼耳子9g、辛夷12g、桔梗10g、百部10g、僵蚕10g、紫菀10g、荊芥10g、紫蘇梗15g、鉤藤15g、蝉退5g、白芷5g、甘草5g)を使用する。さらに止嗽散合麻杏石甘湯加減(蜜炙麻黄5g、苦杏仁10g、桃仁10g、石膏10g、桔梗10g、枳殻10g、萊菔子10g、前胡10g、蘇子10g、荊芥穂10g、黄芩10g、浙貝母10g、紫菀10g、百部10g、辛夷10g、蒼耳子10g、蝉退10g、射干10g、甘草6g)も報告されている。咽源性咳嗽には六味湯加減(防風、桔梗、蒼耳子、僵蚕、蝉退、丹参、陳皮、敗醤草、連翹、浙貝母、茯苓、薏苡仁、六神曲)を使用するが、この処方の生薬用量は原論文に記載されていない。
臨床研究では、御風健鼻湯の有効率93.3%(対照群80.0%)、祛風化痰通竅方96.67%(対照群76.67%)、加味小青竜湯97.5%(対照群80.0%)、止嗽散合蒼耳子散94.0%(対照群84.0%)、止嗽散合麻杏石甘湯95%などが報告されている。ただし、研究の多くは少数例で観察期間も1~4週間程度と短く、証型分類、咳嗽評価基準、長期再発率の検証が不十分である。なお、上記の用量は原論文に明記された各臨床報告の処方量であり、小児への一律の推奨用量ではない。特に麻黄、細辛、蒼耳子などを含むため、年齢・体重や安全性を考慮する必要がある。(曹冰雪・袁斌、2024年)
咳嗽変異性喘息(CVA)は、喘鳴や呼吸困難を伴わず、発作性の乾性咳嗽を主症状とする喘息の一型であり、中医学では「風咳」「哮咳」「久咳」「頑咳」などに属する。主要病機は風邪犯肺・肺失宣降・気道攣急であり、風邪が寒・熱・燥を伴って肺を侵襲するほか、体内に潜伏する伏風や宿痰が外邪によって誘発され、肺気上逆を生じると考える。慢性化すると肺脾腎虚損、痰瘀互結、肺絡瘀阻を伴う本虚標実の病態となる。肝火犯肺、肝鬱気逆、肺胃気逆、営衛不和、微飲内伏、寒留三焦なども病機として挙げられる。弁証では風邪犯肺、肝火犯肺、痰湿蘊肺、肺気虚弱が代表的であり、風寒・風熱・風燥、寒飲伏肺、痰熱鬱肺、肺陰虚などに分類する。治療は祛風宣肺・降気止咳を基本とし、痰湿には健脾化痰、寒飲には温肺化飲、肝鬱には疏肝理肺、瘀血には活血通絡、肺脾腎虚には益気補虚を組み合わせる。病期別には発作期に解痙降逆止咳、緩解期に健脾化痰、安定期に固本截痰を重視する。
風寒犯肺には止嗽散加減(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、風邪犯肺には蘇黄止咳湯、痰湿蘊肺には二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)合三子養親湯(蘇子、白芥子、萊菔子)、痰熱阻肺には定喘湯(麻黄、白果、蘇子、杏仁、桑白皮、黄芩、半夏、款冬花、甘草)を用いる。肝気犯肺には疏肝平喘方や柴朴湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草、厚朴、蘇葉、茯苓)、肺絡瘀阻には加味芎蝎散や搜風消暗瘀方、寒飲伏肺には射干麻黄湯(射干、麻黄、細辛、半夏、生姜、五味子、紫菀、款冬花、大棗)または小青竜湯(麻黄、桂枝、白芍、細辛、乾姜、半夏、五味子、甘草)を使用する。肺脾不調には粛肺調脾飲、肺陰虚には百杏潤肺止咳方を用い、中成薬として黄竜止咳顆粒、蘇黄止咳膠嚢、止得咳顆粒、寒喘祖帕顆粒なども紹介されている。原論文には各方剤の具体的な生薬用量が記載されておらず、括弧内の古典方剤の構成生薬は標準処方から補記したものである。 経験方についても詳細な構成生薬は記載されていない。
臨床研究では、止嗽散加減104例、蘇黄止咳湯279例、二陳湯合三子養親湯116例、疏肝平喘方88例、射干麻黄湯加減93例、小青竜湯加減90例などが報告されている。二陳湯合三子養親湯とモンテルカストの併用では有効率96.55%(対照群82.76%)、柴朴湯では95.56%、加味芎蝎散では93.33%(対照群86.66%)と報告され、咳嗽症状、肺機能、気道炎症指標の改善が示唆されている。また、黄竜止咳顆粒の多施設ランダム化二重盲検試験では、疾病制御率がモンテルカストと同程度であった。鍼灸、穴位貼敷、隔姜灸、推拿、耳穴貼圧、埋線療法などの補助療法も紹介されている。ただし、研究の多くは小規模で、証候分類や処方の標準化が不十分であり、長期的有効性と安全性を裏付ける質の高い臨床研究が必要である。(趙瓊ら、2024年)
感染後咳嗽(PIC)は、呼吸器感染症の急性症状が消失した後も3~8週間持続する咳嗽であり、刺激性乾咳、少量の白色粘稠痰、咽喉不快感を特徴とする。中医学では「咳嗽」「久咳」「頑咳」に属し、風邪恋肺・肺失宣降・肺気上逆を主要病機とする。風邪が肺に留まり、正気不足によって排除されず、陰虚肺燥、痰湿蘊肺、肺脾気虚などを伴う正虚邪恋の病態となる。241例の証候分析では、風邪伏肺、湿熱蘊肺、寒飲伏肺、痰湿蘊肺が主要証型であった。治療は疏風宣肺・解痙止咳を基本とし、風邪恋肺には祛風宣肺、陰虚肺燥には滋陰潤肺、痰湿蘊肺には健脾祛湿・化痰止咳、肺脾気虚には益気健脾を行う。病期別には初期に宣肺祛邪、中期に清解肺熱、後期に益気養陰・活血化瘀・顧護脾胃を重視する。
風邪恋肺には参葉止咳湯、蘇黄止咳膠嚢、肺気失宣に脾湿・肝熱を伴う場合には宣肺利咽抗敏方、小児感染後咳嗽には化積散加減を用いる。風寒束肺には桂枝麻黄各半湯(桂枝、麻黄、白芍、杏仁、生姜、大棗、甘草)、肺熱壅盛には麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、痰熱鬱肺には清金化痰湯(黄芩、山梔子、知母、桑白皮、栝楼仁、貝母、麦門冬、桔梗、橘紅、茯苓、甘草)を用いる。寒飲束肺には咳喘六味中薬方と艾灸を併用し、風寒束肺には麻桂三二湯と穴位貼敷を併用する。臨床研究では、参葉止咳湯80例で夜間咳嗽・咽痒の改善および止咳までの期間短縮が蘇黄止咳膠嚢より良好であり、宣肺利咽抗敏方では咳嗽・咽痒・咽乾の改善が複方甲氧那明より優れていたと報告されている。ただし、原論文には各方剤の具体的な生薬用量が記載されておらず、参葉止咳湯、宣肺利咽抗敏方、化積散、咳喘六味中薬方の全構成生薬も示されていない。 括弧内の古典方剤の構成生薬は基本処方から補記した。
外治法では、風盛攣急証に対する鍼治療、風戸・大椎・肺俞・脾俞を用いた通督宣肺法、風門・肺俞・腎俞・大椎への艾灸、肺俞・風門・大椎・脾俞への抜罐、耳穴圧豆、穴位貼敷、中薬足浴、熱敏灸などが紹介されている。臨床研究では、耳穴圧豆140例、穴位貼敷81例、赤外止咳貼120例、中薬足浴と耳穴圧豆の併用105例などで咳嗽症状や炎症指標の改善が報告されている。しかし、研究の多くは小規模・単施設で、主観的評価が中心であり、再発率や長期予後に関する検証も不足している。著者らは、標準化された証候分類と大規模多施設臨床試験、作用機序の研究が必要と指摘している。(曽江楠ら、2024年)
小児上気道咳嗽症候群(UACS)は、アレルギー性鼻炎、慢性鼻副鼻腔炎、咽喉炎、扁桃炎、アデノイド肥大などに伴う慢性咳嗽であり、中医学では「咳嗽」「久咳」「鼻淵」「喉痹」などに属する。病位は鼻咽を中心とするが、主要臓腑は肺であり、脾腎とも密接に関連する。基本病機は肺気失宣・肺気上逆であり、風・痰・瘀・虚を主要病理因子とする。 初期には風寒・風熱などの外邪が肺を侵襲し、痰湿・痰熱が内生して肺気の宣降を障害する。長期化すると痰瘀互結、肺脾気虚、肺腎気虚、肺腎陰虚などを伴う本虚標実となる。治療は疏風宣肺・化痰止咳を基本とし、鼻咽と肺を同時に治療する肺鼻咽同治、健脾化痰、滋陰潤燥、扶正固本を組み合わせる。特に脾虚による運化失調が痰湿を生じ、肺気の宣降を妨げるという病機が重視される。一方、肝鬱化火による木火刑金も病因の一つとされ、宣肺止咳に平肝運脾を併用する考え方も紹介されている。
弁証治療では、風寒傷肺には小青竜湯(麻黄、桂枝、白芍、細辛、乾姜、半夏、五味子、甘草)、痰熱蘊肺には麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、小陥胸湯(黄連、半夏、栝楼実)、葦茎湯(葦茎、薏苡仁、冬瓜仁、桃仁)を加減し、外寒内熱には小青竜加石膏湯を用いる。肺腎陽虚には麻黄附子細辛湯(麻黄、附子、細辛)、肺腎陰虚には養陰清肺湯(地黄、麦門冬、玄参、牡丹皮、白芍、貝母、薄荷、甘草)や八仙長寿丸を用いる。風痰蘊肺には二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)合止嗽散(紫菀、百部、白前、桔梗、荊芥、陳皮、甘草)、痰熱咳嗽には清金化痰湯、脾虚湿盛には二陳湯合三仁湯、痰瘀互阻には利咽解毒湯を使用する。アレルギー性鼻炎に伴うUACSには祛風抗敏・益気固表、慢性鼻副鼻腔炎には清胆瀉熱・通鼻竅・宣肺止咳を重視し、咽喉疾患には半夏厚朴湯(半夏、厚朴、茯苓、蘇葉、生姜)を用いる。また、咳嗽主体には三葉湯、鼻閉・鼻汁主体には鼻炎方、咽喉不快感主体には玄麦甘桔湯を使い分ける。病期別には初期に温肺化飲湯、中期に補肺運脾湯、後期に培元納気湯を使用し、宣肺祛邪から補肺健脾、さらに補肺益腎へと治療を移行する。原論文には各方剤の具体的な生薬用量が記載されておらず、括弧内の古典方剤の構成生薬は標準処方から補記した。経験方についても全構成生薬は示されていない。
臨床研究では、慢性鼻副鼻腔炎に伴うUACSに対する健脾化痰法で総有効率91.38%、再発率22.64%が報告されている。また、通竅止咳湯では総有効率94.3%、桑皮止咳方では94%と報告され、通竅止咳湯ではTh1・Th2関連サイトカインの改善も認められた。外治法として耳穴療法、穴位貼敷、推拿、鍼灸、中薬定向透薬、漢方薬液の霧化吸入などが紹介されている。さらに通竅鼻炎顆粒と西洋薬の併用では、咳嗽症状や免疫学的指標の改善が西洋薬単独より良好であったと報告されている。ただし、研究は経験的治療や小規模臨床研究が中心であり、証型分類や治療法の標準化が不十分で、長期的な有効性と安全性の検証が必要である。(馮意会ら、2023年)
小児咳嗽変異性喘息(CVA)は、喘鳴や呼吸困難を伴わず、慢性持続性乾咳や発作性咳嗽を主症状とする喘息の一型であり、中医学では「咳嗽」「哮証」「喘証」などに属する。主要病機は伏風内潜・肺失宣粛・肺気上逆であり、肺脾気虚を本、風邪・痰湿による肺絡阻滞を標とする本虚標実の病態と考える。風邪の侵襲によって咽痒、咳嗽、気道攣急が生じ、脾虚による水液運化失調から痰湿が内生して肺の宣降機能を障害する。弁証では気虚証、痰湿証、肺熱証などが多く、寒飲伏肺を重視する見解もある。治療は祛風宣肺・化痰止咳を基本とし、急性期には祛風解表・熄風止痙、遷延期には祛邪扶正・化痰止咳、緩解期には益気固表・健脾補肺を重視する。川貝母、百部、杏仁などを用いて清熱化痰・止咳を図り、病期や体質に応じて補気健脾、温肺化飲、清肺泄熱を組み合わせる。
寒飲伏肺には小青竜湯(麻黄、桂枝、白芍、細辛、乾姜、半夏、五味子、甘草)、射干麻黄湯(射干、麻黄、細辛、半夏、生姜、五味子、紫菀、款冬花、大棗)、営衛不和を伴う咳嗽には桂枝加厚朴杏子湯(桂枝、白芍、生姜、大棗、甘草、厚朴、杏仁)を用いる。肺熱壅盛には麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、少陽不和には小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)を使用し、必要に応じて宣肺化痰薬を配伍する。経験方として潤肺止咳湯、疏風止咳方が紹介されているが、原論文にはこれらの全構成生薬と具体的な用量は記載されていない。 また、古典方剤についても原論文に構成生薬・用量の記載はなく、括弧内の構成は基本処方から補記したものである。
外治法では、足三里・天突・肺俞への隔姜温和灸、足三里・肺俞・膻中・定喘への穴位貼敷、小児推拿などが紹介されている。隔姜温和灸は厚さ約4mmの生姜片を用い、1回10分、1日1回、5日を1療程として2療程実施する。穴位貼敷には甘遂、細辛、白芥子、延胡索を用い、甘油と生姜汁で調製するが、各生薬の配合量は記載されていない。臨床研究では、疏風止咳方とモンテルカストの併用で総有効率91.4%(対照群71.4%)、再発率18.8%(対照群31.2%)と報告されている。また、小児推拿とモンテルカストの併用ではIL-4、IL-13、IgEの低下、IFN-γの増加が単独治療より良好であり、潤肺止咳湯では咳嗽症状、肺機能、炎症指標の改善が報告されている。ただし、研究規模や試験の質に限界があり、長期的有効性と安全性の検証は不十分である。特に小児への甘遂・細辛を含む貼敷や温灸には皮膚障害などの安全性への配慮が必要である。(王善輝ら、2023年)
