新型コロナ感染症を漢方で改善|最新論文

まとめ:COVID-19に対する中医薬治療は、宣肺・祛湿・化痰・清熱解毒・活血・和解少陽・補虚を組み合わせることが特徴である。急性期は清肺排毒湯、宣肺敗毒方、化湿敗毒方などが研究され、回復期には肺脾気虚・気陰両虚への対応が重視される。

COVID-19流行期における中医薬の有効性と安全性を、システム科学および根拠に基づく医療(EBM)の観点から検討した総説である。COVID-19治療では清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)、連花清瘟(連翹、金銀花、炙麻黄、炒苦杏仁、石膏、板藍根、綿馬貫衆、魚腥草、広藿香、大黄、紅景天、薄荷脳、甘草)、双黄連口服液(金銀花、黄芩、連翹)などが使用された。連花清瘟は体外実験で抗ウイルス作用と抗炎症作用が報告され、多施設ランダム化比較試験では発熱、倦怠感、咳嗽の改善と症状持続期間の短縮が認められたが、ウイルス核酸陰性化率、陰性化までの期間、重症化率には統計学的に有意な改善が認められなかった。双黄連口服液についても、体外実験でのウイルス抑制作用は臨床的有効性を直接証明するものではない。著者らは、中医薬の伝統的経験や辨証論治の価値を認めつつ、治療効果と安全性を厳密な臨床試験によって検証し、エビデンスの質に応じた推奨を行う必要があると結論している。なお、各方剤の構成生薬は原文に記載されていないため、標準的な処方構成を補記したものである。(2024, Ding et al)

本論文は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する中医薬治療の臨床研究132件を対象としたスコーピングレビューであり、ランダム化比較試験53件、非ランダム化比較試験17件、後ろ向きコホート研究62件を解析した。研究で取り上げられた主な方剤には、清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)、宣肺敗毒方(麻黄、苦杏仁、生石膏、薏苡仁、蒼朮、広藿香、青蒿、虎杖、馬鞭草、葦茎、葶藶子、化橘紅、甘草)、化湿敗毒方(麻黄、杏仁、石膏、甘草、藿香、厚朴、蒼朮、草果、法半夏、茯苓、生黄耆、赤芍、葶藶子、大黄)、金花清感顆粒(金銀花、石膏、麻黄、炒苦杏仁、黄芩、連翹、浙貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草)、連花清瘟(連翹、金銀花、炙麻黄、炒苦杏仁、石膏、板藍根、綿馬貫衆、魚腥草、広藿香、大黄、紅景天、薄荷脳、甘草)、疏風解毒膠囊(虎杖、連翹、板藍根、柴胡、敗醤草、馬鞭草、芦根、甘草)、双黄連口服液(金銀花、黄芩、連翹)、藿香正気製剤(広藿香、紫蘇葉、白芷、大腹皮、茯苓、白朮、陳皮、半夏曲、厚朴、桔梗、甘草、生姜、大棗)などがある。研究の75.0%は中薬と通常治療の併用を通常治療単独と比較したもので、主な評価項目は発熱、咳嗽、倦怠感などの症状改善、炎症反応、肺CT所見、重症化率、死亡率であった。有害事象として胃腸症状、肝腎機能異常、皮疹などが報告されたが、51.5%の研究では安全性評価が記載されていなかった。著者らは、中医薬治療に関する臨床研究は蓄積されているものの、小規模研究が多く、大規模多施設試験による有効性と安全性の検証が必要と結論している。なお、構成生薬は原文に記載されていないため、一般的な標準処方を参考に補記したものであり、各研究で実際に使用された処方構成とは必ずしも一致しない。(2023, Sun et al)

本論文「中薬製剤によるCOVID-19治療の作用機序」は、中国で使用された「三方三薬」を中心に、構成生薬、有効成分および薬理作用を検討した総説である。金花清感顆粒(金銀花、石膏、牛蒡子、青蒿、連翹、苦杏仁、甘草、麻黄、知母、薄荷、黄芩、浙貝母)、連花清瘟顆粒(連翹、金銀花、炙麻黄、炒苦杏仁、石膏、板藍根、綿馬貫衆、魚腥草、紅景天、大黄、広藿香、薄荷脳、甘草)、血必浄注射液(紅花、赤芍、川芎、丹参、当帰)、清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、藿香、生姜、姜半夏、款冬花、枳実、細辛、射干、山薬、紫菀、陳皮、柴胡、黄芩)、化湿敗毒方(生麻黄、生大黄、藿香、葶藶子、生石膏、赤芍、杏仁、生黄耆、茯苓、法半夏、草果、厚朴、蒼朮、甘草)、宣肺敗毒方(化橘紅、生石膏、馬鞭草、生麻黄、広藿香、虎杖、葶藶子、生薏苡仁、茅蒼朮、乾茅根、青蒿、生甘草、苦杏仁)が紹介されている。さらに、疏風解毒膠囊(虎杖、連翹、板藍根、柴胡、敗醤草、馬鞭草、芦根、甘草)、双黄連口服液(金銀花、黄芩、連翹)、寒湿疫方も取り上げられている。これらの中薬に含まれる黄芩素、槲皮素、木犀草素、山奈酚、甘草素、連翹苷、麻黄碱などは、ウイルスの3CLproやACE2、TMPRSS2などを標的とする抗ウイルス作用が推定され、さらにNF-κB、MAPK、IL-6、TNF-αなどの炎症関連経路を調節する可能性が示された。特に甘草の18β-グリチルレチン酸によるTMPRSS2発現抑制、黄芩素による3CLpro阻害、柴胡サポニンによる抗炎症作用、虎杖由来成分によるIL-6・TGF-β関連経路の抑制が注目されている。著者らは、中薬複方が抗ウイルス、抗炎症、免疫調節、肺障害軽減などの多標的作用を持つ可能性を論じているが、作用機序の根拠にはネットワーク薬理学や分子ドッキングによる予測も多く含まれる。なお、上記の三方三薬の構成生薬は原文の表1に記載されたものである。(2022, Liu et al)

本論文は、中国におけるCOVID-19の中医薬による予防・治療・回復期の対策を、三因制宜(因時・因地・因人)の観点から検討した総説である。病機は湿瘟から寒疫、伏燥へと変化すると捉え、急性期には寒湿疫毒、回復期には肺脾気虚や痰湿の残存を重視する。予防には芳香化湿・避穢を目的として藿香、蒼朮、白芷、草果、菖蒲、艾葉、佩蘭などを用い、扶正祛邪には太子参、南沙参、黄耆、防風、紫蘇葉、荊芥、陳皮などを使用する。地域差として北方では麦門冬、玄参などの滋陰潤燥薬、南方では蒼朮、藿香などの芳香化湿薬が多く選択された。治療では清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、藿香、生姜、姜半夏、款冬花、枳実、細辛、射干、山薬、紫菀、陳皮、柴胡、黄芩)を基本方とし、麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)による宣肺清熱、射干麻黄湯(射干、麻黄、生姜、細辛、紫菀、款冬花、大棗、半夏、五味子)による宣肺化飲、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、甘草、生姜、大棗)による和解少陽、五苓散(沢瀉、猪苓、茯苓、白朮、桂枝)による利水滲湿を組み合わせる。回復期には肺脾気虚に対する補気健脾を基本とし、肺虚邪恋には黄耆橘蜜飲(黄耆、橘皮、蜂蜜)、五味姜糖飲(五味子、生姜、黒糖)、脾虚痰滞には蘇子粥(紫蘇子、粳米)、腎気虧虚には人参胡桃粥(人参、胡桃仁、粳米)などの薬膳が紹介される。また、玉屏風散(黄耆、白朮、防風)も予防処方として使用される。一方、回復期に痰湿が残存する場合には、補気・補血を急がず、先に祛湿化痰を行うことが重要とされる。著者らは、気候、地域、年齢、病期および個々の証に応じた処方選択が重要と結論している。なお、各方剤および薬膳の構成生薬は、原文に記載のないものについて一般的な処方構成を参考に補記したものであり、実際に使用された処方の配合量や構成を示すものではない。(2022, Pan et al)

本論文は、COVID-19に対する中医薬治療の臨床診療ガイドラインおよび専門家コンセンサス61件を対象に、推奨処方とエビデンスの質を評価した系統的レビューである。61件のうち高品質と判定されたガイドラインは5件のみで、これらには56種類の中薬処方が記載されていた。主な推奨処方は、連花清瘟(連翹、金銀花、炙麻黄、炒苦杏仁、石膏、板藍根、綿馬貫衆、魚腥草、広藿香、大黄、紅景天、薄荷脳、甘草)、金花清感顆粒(金銀花、石膏、麻黄、炒苦杏仁、黄芩、連翹、浙貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草)、清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)、宣肺敗毒方(麻黄、苦杏仁、生石膏、薏苡仁、蒼朮、広藿香、青蒿、虎杖、馬鞭草、葦茎、葶藶子、化橘紅、甘草)、化湿敗毒方(麻黄、杏仁、石膏、甘草、藿香、厚朴、蒼朮、草果、法半夏、茯苓、黄耆、赤芍、葶藶子、大黄)、血必浄注射液(紅花、赤芍、川芎、丹参、当帰)であった。連花清瘟は8件、金花清感顆粒は7件、清肺排毒湯は6件のガイドラインで推奨され、主に発熱、悪寒、筋肉痛、咳嗽、咽頭痛、倦怠感などの症状に対して使用されていた。これらの処方は宣肺清熱、清熱解毒、化湿祛邪、活血化瘀などを目的としていたが、同一処方でもガイドラインや対象患者によって推奨強度が異なっていた。著者らは、ガイドラインの多くで作成方法、臨床的適用性、安全性評価、利益相反の記載が不十分であり、エビデンスに基づく標準化が必要と結論している。なお、構成生薬は本論文の本文に列挙されていないため、一般的な製剤・処方構成を参考に補記したものである。(2022, Zheng et al)

本論文は、COVID-19における腸内細菌叢の異常と肺炎症の関係、および中医薬による腸肺軸の調節作用を検討した総説である。COVID-19患者では乳酸菌、ビフィズス菌、酪酸産生菌などが減少し、腸内細菌叢の乱れが重症度と関連する。腸肺軸は、腸内細菌叢、短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)、粘膜免疫を介して肺と腸が相互に影響する機構であり、腸管バリア障害による全身性炎症が肺病変を悪化させる可能性がある。中医薬では、宣肺敗毒方(麻黄、苦杏仁、生石膏、薏苡仁、蒼朮、広藿香、虎杖、馬鞭草、甘蘆根、葶藶子、化橘紅、青蒿、甘草)が、動物実験で腸内細菌叢と代謝物を調節し、血中IgA、IgG、IgMを増加させた。また、清肺排毒湯(麻黄、甘草、苦杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、広藿香)にも腸内細菌叢の調節作用が報告されている。著者らは、中医薬が腸内細菌叢、腸管ACE2、炎症性サイトカイン、腸管バリア機能を調節することで肺炎症を軽減する可能性を示した。ただし、腸内環境の改善がCOVID-19に対する臨床効果を直接媒介するかどうかは、今後の臨床研究による検証が必要である。(2022, He et al)

本論文は、COVID-19の中医病機と治療方剤を検討した総説である。COVID-19は中医学の「疫病」に属し、寒湿疫、湿毒疫、湿熱疫などに分類されるが、共通する病機は湿・毒・瘀・閉・虚であり、主な病位は肺と脾である。初期には寒湿・湿毒による肺気の鬱閉と脾胃の運化障害を認め、進行すると湿邪が化熱し、熱毒・瘀血を形成する。治療には宣肺化湿、清熱解毒、化瘀通絡を基本とし、清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、苦杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)、宣肺敗毒方(麻黄、苦杏仁、生石膏、薏苡仁、蒼朮、広藿香、青蒿、虎杖、馬鞭草、蘆根、葶藶子、化橘紅、甘草)が紹介されている。また、初期の湿毒鬱肺には達原飲、神術散、升陽益胃湯、進行期の湿毒化熱には宣白承気湯、解毒活血湯、升降散を用いる。回復期には気陰両虚や肺脾気虚が中心となり、黄耆、白朮、太子参、茯苓、陳皮、炒谷芽、玉竹などによる健脾益気・養陰が推奨されている。著者は、地域、気候、体質による病機の違いを重視し、三因制宜と辨証論治によって病勢の進行を防ぐことが重要と結論している。なお、本論文は2020年時点の治療経験と学説を整理した総説であり、各方剤の有効性を直接検証した臨床試験ではない。(2020, 張夢凡)

本論文は、COVID-19に対する中医薬の作用機序を、抗ウイルス作用、免疫調節、肺損傷の軽減、痰栓の除去という観点から検討した総説である。清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、苦杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)は、麻杏石甘湯、五苓散、小柴胡湯、射干麻黄湯などを基礎とし、宣肺平喘、利水化湿、清熱解毒、免疫調節を目的とする。特に黄芩、柴胡に含まれる黄芩素、ケンフェロール、ケルセチンなどは、分子ドッキング研究でSARS-CoV-2の3CLプロテアーゼやACE2への作用が示唆され、人参は抗ウイルス免疫の調節に関与すると考えられる。麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)、射干麻黄湯(射干、麻黄、生姜、細辛、紫菀、款冬花、五味子、半夏、大棗)は、自然免疫の過剰活性化を抑え、IL-1β、IL-6、IL-17、TNF-αなどの炎症性サイトカインを調節する可能性がある。また、葛根湯(葛根、麻黄、桂枝、芍薬、生姜、大棗、甘草)はTh1型免疫応答、加味麻杏石甘湯はTh1/Th2バランスの調節に関連するとされる。肺損傷については、杯細胞や細気管支分泌細胞による粘液過剰産生、肺胞上皮・血管内皮障害、肺水腫が痰栓形成に関与すると考えられ、百里香によるMUC5AC産生抑制、苦参による杯細胞増生抑制が紹介されている。著者らは、中医薬の化湿・化痰作用が粘液分泌抑制、肺水腫軽減、炎症制御、肺組織修復に関与する可能性を指摘している。ただし、これらは主に基礎研究や他のウイルス感染モデルに基づく作用機序の仮説であり、COVID-19患者での臨床的有効性を直接証明したものではない。なお、小柴胡湯などの構成生薬は本文に列挙されていないため、標準的な処方構成を補記した。(2020, 陶嘉磊 et al)

本論文は、COVID-19の中医病機を湿毒を中心とする寒湿、湿熱、燥邪の3類型から検討し、病期に応じた弁証論治を整理した総説である。初期は寒湿閉肺・肺脾同病を基本とし、解表化湿・宣肺祛邪を目的に藿朴夏苓湯(藿香、厚朴、半夏、茯苓、杏仁、薏苡仁、猪苓、沢瀉、白豆蔲)、藿香正気散(藿香、紫蘇葉、白芷、大腹皮、茯苓、白朮、半夏、陳皮、厚朴、桔梗、甘草、生姜、大棗)、達原飲(檳榔、厚朴、草果、知母、黄芩、芍薬、甘草)などを用いる。発熱・悪寒が強い場合は荊芥、防風、川芎、黄芩、連翹、金銀花などを加減する。中期の熱毒閉肺証には麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、宣白承気湯(生石膏、杏仁、瓜蔞皮、大黄)、白虎加蒼朮湯(石膏、知母、甘草、粳米、蒼朮)を用い、痰熱壅肺には小陥胸湯(黄連、半夏、瓜蔞実)、肺燥傷陰には知母、沙参、石斛などを加える。湿毒蘊肺証には達原飲を中心に、千金葦茎湯(葦茎、薏苡仁、冬瓜仁、桃仁)、升降散(白僵蚕、蝉退、姜黄、大黄)などを併用して宣肺化湿・清熱化痰を図る。重症期は熱入営血・内閉外脱を重視し、生脈散(人参、麦門冬、五味子)、三石湯(飛滑石、生石膏、寒水石、杏仁、竹茹、金銀花、通草)、四逆湯(附子、乾姜、炙甘草)、参附龍骨牡蛎湯などが挙げられる。回復期には肺脾気虚・気陰両虚が中心となり、六君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、半夏、陳皮、生姜、大棗)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、甘草、山薬、蓮子、白扁豆、薏苡仁、縮砂、桔梗)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、竹葉石膏湯(竹葉、石膏、半夏、麦門冬、人参、甘草、粳米)による益気養陰・健脾化痰を推奨する。作用機序として、清肺排毒湯は免疫・炎症関連経路への多標的作用、麻杏石甘湯は炎症性サイトカイン抑制と肺微小血管透過性改善、達原飲はケンフェロールや黄芩素による3CLプロテアーゼへの結合可能性が紹介されている。ただし、分子ドッキングや動物実験の結果は臨床効果の証明ではない。なお、方剤の構成生薬は原文にほとんど列挙されていないため、一般的な古典処方の構成を補記したものであり、論文中の実際の加減処方とは異なる可能性がある。(2020, Hu et al)

本論文は、COVID-19に対する中医薬の予防・治療作用を、抗ウイルス作用、抗炎症作用、免疫調節作用の3側面から検討した総説である。COVID-19の基本病機を「湿・熱・毒・瘀」とし、軽症から重症までの治療に清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)を紹介している。抗ウイルス生薬として、金銀花(緑原酸、カフェ酸、miR2911)、麻黄(エフェドリン類)、黄芩(黄芩苷、黄芩素)、柴胡(サイコサポニン類)、連翹(連翹苷)、甘草(グリチルリチン)、広藿香(パチョリアルコール)、梔子、穿心蓮を挙げ、主としてインフルエンザウイルスに対する増殖抑制、ノイラミニダーゼ阻害、ウイルスタンパク質合成抑制などの基礎研究を紹介している。免疫増強作用を有する生薬として人参、党参、明党参、黄耆、丹参、西洋参、白朮、麦門冬、地黄、北沙参、楮実子、免疫抑制作用として白芍、昆明山海棠、青蒿、雷公藤を挙げ、特に免疫の双方向調節作用を持つ金銀花、地黄、白芍、忍冬藤、蘆薈、大黄、三七、西洋参を重視している。金銀花多糖は免疫抑制モデルでT細胞機能やIL-2産生を増強する一方、金銀花抽出物は過剰なリンパ球活性化を抑制し、三七総サポニンも細胞性免疫の増強と炎症性サイトカイン抑制の両作用を示す。抗炎症作用では、金銀花のポリフェノールがNF-κB、MAPK経路を介してTNF-α、IL-1β、IL-6、COX-2を抑制し、芍薬苷はTGF-β/Smad経路を抑制してブレオマイシン誘発肺線維化を軽減する。また、麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)は免疫調節を介して実験的ウイルス性肺炎の炎症を軽減するとされる。著者らは、中医薬による免疫増強と過剰炎症の抑制を組み合わせた治療の可能性を指摘している。ただし、紹介された薬理作用の多くはインフルエンザなどの実験モデルに基づくものであり、SARS-CoV-2感染患者における有効性が直接確認されたものではない。(2020, Yu et al)

本論文は、COVID-19に対する中医薬の予防・治療作用を、抗ウイルス作用、抗炎症作用、免疫調節作用の3側面から検討した総説である。COVID-19の基本病機を「湿・熱・毒・瘀」とし、軽症から重症までの治療に清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)を紹介している。抗ウイルス生薬として、金銀花(緑原酸、カフェ酸、miR2911)、麻黄(エフェドリン類)、黄芩(黄芩苷、黄芩素)、柴胡(サイコサポニン類)、連翹(連翹苷)、甘草(グリチルリチン)、広藿香(パチョリアルコール)、梔子、穿心蓮を挙げ、主としてインフルエンザウイルスに対する増殖抑制、ノイラミニダーゼ阻害、ウイルスタンパク質合成抑制などの基礎研究を紹介している。免疫増強作用を有する生薬として人参、党参、明党参、黄耆、丹参、西洋参、白朮、麦門冬、地黄、北沙参、楮実子、免疫抑制作用として白芍、昆明山海棠、青蒿、雷公藤を挙げ、特に免疫の双方向調節作用を持つ金銀花、地黄、白芍、忍冬藤、蘆薈、大黄、三七、西洋参を重視している。金銀花多糖は免疫抑制モデルでT細胞機能やIL-2産生を増強する一方、金銀花抽出物は過剰なリンパ球活性化を抑制し、三七総サポニンも細胞性免疫の増強と炎症性サイトカイン抑制の両作用を示す。抗炎症作用では、金銀花のポリフェノールがNF-κB、MAPK経路を介してTNF-α、IL-1β、IL-6、COX-2を抑制し、芍薬苷はTGF-β/Smad経路を抑制してブレオマイシン誘発肺線維化を軽減する。また、麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)は免疫調節を介して実験的ウイルス性肺炎の炎症を軽減するとされる。著者らは、中医薬による免疫増強と過剰炎症の抑制を組み合わせた治療の可能性を指摘している。ただし、紹介された薬理作用の多くはインフルエンザなどの実験モデルに基づくものであり、SARS-CoV-2感染患者における有効性が直接確認されたものではない。(2020, Yu et al)

本論文「中草薬在防治新型冠状病毒肺炎中的応用」は、COVID-19の予防・治療に用いられる中薬、方剤およびその活性成分と作用機序を整理した総説である。COVID-19の中医病機を湿・熱・毒・瘀・虚と捉え、地域の気候、患者の体質、病期に応じて清熱解毒、解表祛邪、健脾除湿、清肺化痰、補気活血を使い分ける。予防には玉屏風散(黄耆、防風、白朮)を中心とした益気固表・健脾化湿を重視し、治療には清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)、藿朴夏苓湯(藿香、白豆蔲、半夏、厚朴、杏仁、茯苓、薏苡仁、猪苓、沢瀉、通草)、小柴胡湯(柴胡、黄芩、人参、法半夏、炙甘草、生姜、大棗)、達原飲(檳榔、厚朴、草果、知母、白芍、黄芩、甘草)などを挙げる。また、中成薬として連花清瘟膠囊(連翹、金銀花、炙麻黄、炒苦杏仁、石膏、板藍根、綿馬貫衆、魚腥草、広藿香、大黄、紅景天、薄荷脳、甘草)、金花清感顆粒(金銀花、麻黄、杏仁、黄芩、連翹、浙貝母、知母、牛蒡子、青蒿、薄荷、甘草)、疏風解毒膠囊(板藍根、虎杖、連翹、芦根、敗醤草、馬鞭草、柴胡、甘草)、藿香正気口服液(蒼朮、陳皮、厚朴、白芷、茯苓、大腹皮、半夏、甘草、広藿香、紫蘇)を紹介している。主要な生薬として、黄芩・金銀花・連翹の清熱解毒作用、麻黄・柴胡の解表祛邪作用、蒼朮・藿香の健脾除湿作用、甘草の補気・抗炎作用を検討している。**活性成分では槲皮素、ケンフェロール(山奈酚)、黄芩素、ルテオリン(木犀草素)、ナリンゲニン(柚皮素)、グリチルリチン(甘草甜素)**などを重視し、SARS-CoV-2のACE2結合や3CLプロテアーゼ、IL-6、TNF-α、NF-κB、MAPKなどを介した抗ウイルス・抗炎症・免疫調節作用の可能性を論じている。著者らは、複数の生薬成分が多標的・多経路で作用する可能性を指摘する一方、これらの作用機序の多くはネットワーク薬理学や分子ドッキングによる予測であり、臨床的有効性の検証が必要としている。なお、論文中の表1には主要10方剤・中成薬の構成生薬が記載されている。(2020, Li et al)

本論文「新型冠状病毒肺炎(COVID-19)中医药治疗策略」は、COVID-19に対する中医薬の病期別治療、古典方剤の応用、臨床成績および薬理学的作用機序を検討した総説である。COVID-19を「瘟疫」に分類し、初期には営衛不和・肺気不利、中期には疫毒入裏・肺気鬱閉、重症期には真陰耗竭・内閉外脱、回復期には正気虧虚・余邪未尽を呈すると考える。初期には解表透邪・芳香化湿を基本として、藿朴夏苓湯(藿香、厚朴、半夏、茯苓、杏仁、薏苡仁、猪苓、沢瀉、白豆蔲)、藿香正気散(藿香、紫蘇葉、白芷、大腹皮、茯苓、白朮、半夏、陳皮、厚朴、桔梗、甘草、生姜、大棗)、達原飲(檳榔、厚朴、草果、知母、黄芩、芍薬、甘草)、神術散(蒼朮、藁本、白芷、細辛、羌活、川芎、甘草)、三仁湯(杏仁、白豆蔲、薏苡仁、厚朴、半夏、通草、滑石、竹葉)、銀翹散(金銀花、連翹、桔梗、薄荷、竹葉、荊芥、淡豆豉、牛蒡子、蘆根、甘草)などを用いる。中期には宣肺清熱・化痰平喘・通腑瀉熱を目的として、麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、宣白承気湯(生石膏、杏仁、瓜蔞皮、大黄)、升降散(白僵蚕、蝉退、姜黄、大黄)、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)、甘露消毒丹(滑石、茵陳蒿、黄芩、石菖蒲、川貝母、木通、藿香、射干、連翹、薄荷、白豆蔲)、葶藶大棗瀉肺湯(葶藶子、大棗)などを用いる。重症期には生脈散(人参、麦門冬、五味子)、参附湯(人参、附子)、四逆湯(附子、乾姜、炙甘草)、安宮牛黄丸(牛黄、鬱金、犀角、黄連、黄芩、梔子、朱砂、雄黄、氷片、麝香、珍珠)などによる開閉固脱・救逆を重視する。回復期には補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、六君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、半夏、陳皮、生姜、大棗)、香砂六君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、半夏、陳皮、木香、縮砂、生姜、大棗)、沙参麦冬湯(沙参、麦門冬、玉竹、天花粉、桑葉、白扁豆、甘草)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、甘草、山薬、蓮子、白扁豆、薏苡仁、縮砂、桔梗)などによる益気健脾・養陰を行う。主要方剤の清肺排毒湯(麻黄、炙甘草、杏仁、生石膏、桂枝、沢瀉、猪苓、白朮、茯苓、柴胡、黄芩、姜半夏、生姜、紫菀、款冬花、射干、細辛、山薬、枳実、陳皮、藿香)は、麻杏石甘湯・小柴胡湯・五苓散・射干麻黄湯を組み合わせた処方であり、祛寒利湿、通利三焦、調和脾胃を目的とする。初期の臨床観察では214例で有効率90%以上、98例で92.09%と報告され、ネットワーク薬理学ではAKT1、MAPK8、MAPK1、JUNなどの標的、Toll様受容体経路や低酸素誘導因子経路への作用が推定された。また、連花清瘟(連翹、金銀花、麻黄、杏仁、石膏、板藍根、綿馬貫衆、魚腥草、広藿香、大黄、紅景天、薄荷、甘草)についても、発熱・咳嗽・倦怠感の改善と抗炎症・免疫調節作用を紹介している。生薬では金銀花、板藍根、魚腥草、連翹、黄芩、桑葉、蒼朮、浙貝母、生姜、草果の抗炎症・抗ウイルス作用などを整理し、さらに肺腸軸の観点から承気湯類、涼膈散(大黄、芒硝、梔子、黄芩、連翹、薄荷、竹葉、甘草)、升降散による肺腸同治の可能性を論じている。著者らは早期介入と全病期にわたる弁証論治の重要性を強調する一方、当時の臨床研究は小規模で、薬理機序の多くが理論的予測にとどまるため、さらなる検証が必要と結論している。なお、方剤の構成生薬は原文の表1には記載されていないため、一般的な処方構成を補記した。古典方剤には異なる構成の版本が存在する。(2020, You et al)

本論文「基于中医经典理论探讨新冠肺炎防治思路」は、COVID-19の病因病機と治療戦略を『黄帝内経』『傷寒論』『温疫論』などの古典理論から考察した論説である。COVID-19を「疫病」に分類し、直接の病因を疫癘之気、発病の内的要因を正気不足、特に脾土不足と捉え、2019年の五運六気における土運不及・非時之熱を背景として、**基本病機を「寒湿閉鬱脾肺、邪熱内鬱」**とする。初期には発熱、乾咳、倦怠感、食欲不振、悪心、便溏、口乾、口苦、厚膩苔などが出現し、温散寒湿を主体に透熱祛邪を併用する。著者は、寒湿を温散して鬱熱の出口を開くとともに、熱邪が陽明経・肺へ進展するのを防ぐ「一開一截」を重視している。初期から中期の基本処方として桂枝15g、蒼朮15g、藿香15g、白芷15g、石菖蒲20g、山楂20g、陳皮15g、法半夏20g、茯苓15g、木蝴蝶15g、炙甘草5g、生姜30gを提示し、咽痒・咳嗽・気促には藿香を除いて杏仁15g、紫菀15gを加え、陽明証候には葛根20g、黄芩15gを加える。咳嗽が強い場合は杏仁、蘇子、桔梗、紫菀、瓜蔞皮、百部、黄芩、黄痰が粘稠な場合は浙貝母、竹茹、蘆根、北沙参、肺滲出が著明な場合は金銀花、葶藶子、雷公藤を加える。壮熱を伴う熱毒壅盛には白虎湯(石膏、知母、甘草、粳米)に全瓜蔞、葶藶子、雷公藤を加え、清熱解毒・瀉肺通腑を図る。病勢が進行すると寒湿が化熱化燥して陽明に伝入し、津液損傷、腑実不通、肺気鬱閉、湿毒瘀熱を形成するため、温散寒湿から清熱解毒・通腑瀉熱へ治療の重点を移す。予防処方として、一般健康者には蒼朮10g、紫蘇葉10g、藿香10g、陳皮10g、葛根10g、金銀花10g、生姜15g、医学観察期の倦怠感・胃腸症状には桂枝12g、蒼朮12g、藿香12g、石菖蒲12g、山楂15g、陳皮9g、法半夏12g、茯苓12g、葛根12g、金銀花12g、炙甘草5g、生姜30g、小児には紫蘇葉6g、白朮6g、陳皮6g、葛根9g、炒麦芽9g、山楂9g、金銀花3g、生姜6gを提示している。著者は、祛湿透邪・健脾宣肺を全病期に貫く治療原則とし、単なる抗ウイルス作用ではなく、脾胃の運化機能と正気の状態を重視する弁証論治が必要と結論している。なお、本論文は古典理論と著者の臨床的見解に基づく論説であり、提示された処方の有効性を検証した臨床試験ではない。(2020, Tang)

本論文「中医药诊治新型冠状病毒肺炎研究进展」は、COVID-19に対する中医薬の病因病機、病期別治療、臨床成績を整理した総説である。COVID-19を「疫病」に分類し、病位は主に肺・脾、病機は寒・湿・熱・毒・瘀・閉・虚を中心とするが、医家によって寒湿疫、湿毒疫、湿毒夾燥、風熱による木疫などの異なる解釈がある。仝小林は寒湿傷陽、劉清泉らは湿毒閉肺困脾から湿毒化熱・瘀熱内閉への進展、姜良鐸は「気不摂津」による痰湿内阻・気陰外脱を重視する。治療は初期の祛湿宣肺、中期の清熱解毒・通腑化瘀、危重期の開竅救逆・扶正、回復期の益気養陰・健脾化湿を基本とする。初期には藿朴夏苓湯(藿香、厚朴、半夏、茯苓、杏仁、薏苡仁、猪苓、沢瀉、白豆蔲)、小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、生姜、大棗、甘草)、達原飲(檳榔、厚朴、草果、知母、黄芩、芍薬、甘草)、神術散(蒼朮、藁本、白芷、細辛、羌活、川芎、甘草)、升陽益胃湯(黄耆、人参、白朮、甘草、半夏、陳皮、茯苓、柴胡、防風、羌活、独活、黄連、沢瀉、白芍)、麻杏薏甘湯(麻黄、杏仁、薏苡仁、甘草)などを用いる。中期の湿毒化熱・肺壅腑実には宣白承気湯(石膏、杏仁、瓜蔞皮、大黄)、解毒活血湯(連翹、葛根、柴胡、当帰、生地黄、赤芍、桃仁、紅花、枳殻、甘草)、升降散(白僵蚕、蝉退、姜黄、大黄)、麻杏石甘湯(麻黄、杏仁、石膏、甘草)、甘露消毒丹(滑石、茵陳蒿、黄芩、石菖蒲、川貝母、木通、藿香、射干、連翹、薄荷、白豆蔲)、黄連解毒湯(黄連、黄芩、黄柏、梔子)、小陥胸湯(黄連、半夏、瓜蔞実)などを選択する。危重期には参附四逆湯(人参、附子、乾姜、炙甘草)、清営湯(犀角、生地黄、玄参、麦門冬、金銀花、連翹、黄連、竹葉心、丹参)、生脈散(人参、麦門冬、五味子)、四逆湯(附子、乾姜、炙甘草)、安宮牛黄丸などによる清営開竅・回陽救逆を行う。回復期には竹葉石膏湯(竹葉、石膏、半夏、麦門冬、人参、甘草、粳米)、沙参麦冬湯(沙参、麦門冬、玉竹、天花粉、桑葉、白扁豆、甘草)、香砂六君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草、半夏、陳皮、木香、縮砂、生姜、大棗)、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、甘草、山薬、蓮子、白扁豆、薏苡仁、縮砂、桔梗)、五葉蘆根湯(藿香葉、佩蘭葉、薄荷葉、枇杷葉、鮮荷葉、蘆根、冬瓜仁)などを用いる。臨床研究では、中西医結合治療34例と西洋医学治療18例の後ろ向き比較で、併用群の症状消失時間、解熱時間、入院期間が短縮したと報告され、連花清瘟顆粒を併用した54例では7日後の有効率81.6%と報告された。また、神闕・関元・気海・足三里への艾灸、鍼治療、八段錦、芳香化湿を目的とする香囊なども紹介している。著者らは祛湿を治療の中心に据え、病期に応じて清熱・化瘀・扶正を組み合わせることを重視している。ただし、2020年当時の小規模観察研究や専門家の見解をまとめた総説であり、治療効果の確証には大規模比較試験が必要である。なお、方剤の構成生薬は原文にほとんど記載されていないため、標準的な処方構成を補記したものであり、実際の加減処方とは異なる可能性がある。(2020, Li et al)

本論文「基于『肺与大肠相表里』浅谈新型冠状病毒肺炎(COVID-19)」は、中医古典の**「肺と大腸は表裏関係にある」という理論を、現代医学の腸肺相関(gut–lung axis)および腸内細菌叢の観点から考察した論説である。肺は宣発粛降・通調水道を主り、大腸は伝導糟粕・津液吸収を担い、肺気が下降すれば大腸の伝導が促進され、大腸の通降が正常であれば肺気の宣降も円滑になると説明する。COVID-19の基本病機については、寒湿疫毒、湿熱内蘊、湿毒鬱肺、風熱疫毒など複数の見解を紹介し、共通する病理的基盤を正虚邪実と捉える。脾胃虚弱、気血生化不足、正気不足によって感染に対する抵抗力が低下し、湿邪や疫毒によって肺気宣降が障害されると、腑気不通、津液代謝異常、便秘・下痢などを生じる。一方、腸内細菌叢の異常は脾胃運化を障害し、肺気不足や免疫機能異常を介して肺疾患を増悪させる可能性がある。現代医学的には、腸内細菌叢の乱れに伴うビフィズス菌減少、病原性細菌増加、腸管由来エンドトキシン、Tリンパ球の減少、全身炎症反応の増強などを紹介し、肺と腸管の相互作用を説明している。また、ACE2が肺胞上皮だけでなく回腸・結腸の吸収上皮にも発現し、COVID-19患者には下痢などの消化器症状や便中SARS-CoV-2 RNA陽性例があることから、消化管病変と腸内環境の重要性を指摘する。治療では健脾益気・調理腸腑を肺疾患治療に併用すること**を提唱し、参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、甘草、山薬、蓮子、白扁豆、薏苡仁、縮砂、桔梗)、四君子湯(人参、白朮、茯苓、炙甘草)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)などを挙げる。特に、高齢重症肺炎患者に対する参苓白朮顆粒とメロペネムの併用研究では、抗菌薬単独より腸内細菌叢の均衡維持に有利であったと紹介している。さらに、重症患者への早期経腸栄養、微生態調節剤・プロバイオティクスの利用、回復期の腸内細菌叢修復によって二次感染の抑制や予後改善を図る可能性を論じている。著者らは、**肺病を肺だけで治療せず、脾胃・大腸の機能と腸内細菌叢を同時に調整する「肺腸同治」**がCOVID-19治療の新たな視点になると結論している。ただし、COVID-19患者の腸内細菌叢に関する直接的な研究は当時乏しく、本論文は理論的考察であって、これらの方剤によるCOVID-19の治療効果を実証したものではない。なお、方剤の構成生薬は原文に列挙されていないため、標準的な処方構成を補記した。(2020, Xia et al)