レム睡眠行動異常

レム睡眠行動異常(REM sleep behavior disorder、RBD)は、睡眠中の夢に関連した行動や運動が有り、自分やパートナーへの暴力、その結果としての外傷に繋がる疾患です。

・通常レム睡眠中の骨格筋活動は低下しますが、 RBDでは筋活動の抑制が障害され,それにより 夢の行動化を来たします。

・確定診断は睡眠ポリグラフ検査における筋緊張の抑制を伴わないレム睡眠の検出に加え, レム睡眠中に起こったと推定される夢の行動化 の病歴や睡眠ポリグラフ検査中のレム睡眠中の複雑な運動行動の検出によってなされます。

50歳未満の発病のRBDは、ナルコレプシーや抗うつ剤(三環系抗うつ薬やSSRI)に関連しています。

一方で、50歳以上で発病のRBDは、10年以内にパーキンソン関連疾患(パーキンソン病やレビー小体型認知症や多系統萎縮症など)が発症すると言われています。

パーキンソン病では、発病する約20年前から便秘が始まります。原因は完全には解明されていませんが、初期に食道・大腸の粘膜下筋層に分布する神経叢にα-シヌクレイン(レビー小体の構成タンパク質)が蓄積して、この蓄積が迷走神経を逆行して、迷走神経背側核に至り、中脳を経て全脳性に広がるというBraakの仮説が徐々に証明されつつあります。この仮説がパーキンソン病に便秘が先行する理由です。

REM睡眠行動異常では、睡眠の調整に関与する脳幹の障害が考えられています。Braakの仮説に従って、脳幹から大脳へ症状が進行して、パーキンソン関連疾患に繋がって行きます。

治療としては、以下が推奨されています。

クロナゼパム(0.5〜1.0mg)が有効なことが多い。

メラトニンおよびメラトニンアゴニスト(2022, Cox)

・ドーパミンアゴニスト

・抑肝散

栄養療法から見てみると、推奨される治療薬は神経伝達物質の主要な3系列の代謝産物です。

この3系列を自分で生成出来るようにタンパク質、ビタミン、ミネラルを摂取する必要があります。

またこれらの神経伝達物質の90%以上は腸内細菌が作りますので、腸内細菌に滋養を与える水溶性食物繊維の摂取も大切です。