水銀のデトックス

前の記事で、水銀をデトックスさせる必須ミネラルはないと書きました。

統計処理すると有意水準のP<0.05を満たす必須ミネラルはありません。

亜鉛は、水銀と同族元素ですが、オリゴスキャンで見ると亜鉛には水銀のデトックス効果は認められません。

相関関係を見ると、相関係数がプラスになっています。これは、亜鉛の体内量が増えると、水銀の体内量が減る関係ではない(逆に増える?)ことを意味します。

しかしながら、メタロチオネインの作用機序から考えると亜鉛で水銀のデトックスが理論的には可能です。

すべての必須ミネラルの中で、最も水銀のデトックス効果が期待できるのがセレンですが、P=0.065で統計学的な有意水準(P<0.05)にわずかに到達していません。

散布図で見ると、ゆるやかな負の相関があるように見えます。

過去の記事の水銀とセレンに以下の記載があります。

ヒトのカドミウムの体内半減期が16〜38年に対して、水銀の体内半減期は70日と短くなっています。

カドミウムと水銀の身体での共通の解毒システムとしては、メタロチオネインという解毒・抗酸化タンパク質がありますが、この両者の生物学的半減期が違う理由は、水銀には別の解毒システムが存在しているからです。

それがセレンです。

セレンと水銀がモル比で1対1のセレン化水銀として安定した金属粒子を形成して排泄されます。

一方で魚類では、水銀は主に筋肉に貯蔵されて、体外にはほとんど排出されません。

そのために生物学的連鎖で、大型魚ほど水銀濃度が高い傾向があります。(食物連鎖による生物濃縮)

ヒトにおける水銀の生物学的半減期は70日と短いので、通常の魚食では水銀中毒になることはありません。

魚に含まれるセレンとオメガ3脂肪酸が、水銀を解毒してくれるからです。

セレンを含む主な食べものは、魚と農産物です。

ヒトで水銀蓄積となる原因は、大型魚の大量摂取とアマルガム(水銀を40~50%含む金属で、銀35%、スズ9%、銅6%そして少量の亜鉛)です。水銀対策は、まずこの2つの排除です。

今回のオリゴスキャンの結果も、過去のセレンと水銀の知見と一致しています。

まとめとしての水銀のデトックスは、「大型魚を避けることとアマルガムの抜去」が基本です。

食物連鎖の地位が高い大型魚ほど水銀が濃縮されています。

それでも水銀の蓄積がある場合は、サプリでセレンを摂る方法があります。