糖質制限で冷え性になる理由
まとめ:low T3 症候群になっています。①タンパク質摂取量の適正化、②果糖摂取を増やす方法がありますが、③糖質制限を緩める方法が最も有効です。
最後は、ダイエットを取るか、冷え性の解消を取るかという判断になります。
冷え性の原因は、基本的には身体の代謝の低下によって、低体温になりやすい身体になっていることです。
糖質制限をやり過ぎると、体重は減りますが、グルカゴンが過剰な状態となり、ケトン体を作るために脂肪の分解、不足したグルコースを作るために糖新生が活性化してタンパク質も分解してきます。
このタンパク質の分解を防ぐための生理的代償反応として、身体の代謝の鍵となる甲状腺ホルモンが低値になり、冷え性が起こってきます。
糖質制限→糖新生の亢進、身体のタンパク質の分解→身体の分解を防ぐために、代償的に全身の代謝を司る甲状腺ホルモンが低下→身体の代謝の低下→低体温、冷え性
となります。
low T3症候群では、甲状腺機能検査にて、T3低値、T4正常、TSH正常、生理活性のないrT3(リバースT3)が高値の状態です。
末梢の1型5’-脱ヨード酵素活性低下、異所性3型5’-脱ヨード酵素活性亢進、甲状腺自体からのT3分泌低下が関与します。さらに進行すると低T3,T4症候群、低T3,T4,TSH症候群になります。
肝硬変、腎不全などの慢性消耗性疾患や認知症でもlow T3 症候群が起こってきます。
高タンパク食は糖新生を促進することが知られています。(2009, Veldhorst)(2005, Mithieux)
過剰なタンパク質摂取は、糖新生を促進するためこの悪循環を返って悪化させます。
リコード法での最適値は、TSH 2.0 μlU/mL未満、遊離T3=3.2~4.2pg/mL、リバースT3 20 ng/dL未満、遊離T3(pg/mL)×100/リバースT3(ng/dL)20超、遊離T4=1.3~1.8 ng/dLです。TSH 2.0 μlU/mL以上、遊離T4=1.3ng/dL以下ではlow T3症候群を疑います。
アトキンス式ダイエットでは、毎食ごと就寝前の1日4回の体温を測定して、その平均が36.5度を下回る場合は、甲状腺機能が低下しています。
糖質制限で冷え性になる人は、よく出来ているとも、やり過ぎているとも言えます。