アルツハイマー病のためのサプリメント

まとめ:アルツハイマー病に対する臨床試験でのサプリメント治療は明確な結論は出ていません。

可能性のあるサプリメントとしては、ビタミンB群とビタミンDが上げられます。

アルツハイマー病に対する基礎研究や動物モデルでは、様々な生理活性物質に対する有効性を示すデータが蓄積されていますが、臨床試験では明確な結論は出ていません。

イチョウ葉エキスは、アルツハイマー病患者に対して行った6件の治験では一致した結果は得られませんでした。(2010年、Janβenら)

クルクミンを、アルツハイマー病患者に対して行った3件の治験では一致した結果は得られませんでした。(2018年、Chenら)

レスベラトロールをアルツハイマー病患者に投与した治験の総論では、有益な神経保護効果に関する臨床的証拠は、ほとんどありませんでした。(2021年、Ferreら)

ビタミンDは、アルツハイマー病を予防する証拠はまだありませんが、不足している場合に補充する有効性は今後立証される可能性があります。ビタミンDの投与量と認知機能の低下との関連は、用量依存性ではないようです。ビタミンDの神経保護効果は、低濃度または高濃度ではなく、中程度の濃度でのみ達成される可能性があります。(2021年、Panzaら)

ビタミンEとセレンの認知症の予防効果を調べましたが、予防効果は認められませんでした。(2017年、Kryscioら)

ビタミンCのアルツハイマー病に対する予防効果を調べましたが、予防効果は認められませんでした。(2000年、Masakiら)

ホモシステインはアルツハイマー病のリスク要因であるというデータは蓄積されつつありますが、アルツハイマー病に対するビタミンB12および葉酸の治療効果は一致した結論に達していません。軽度認知障害(MCI)の患者、特にホモシステインレベルが高い患者にビタミンB群の有益な効果が示されています。(2017年、Yangら)

グルタチオンは、脳内で最も豊富な内因性抗酸化物質です。酸化ストレスは、アルツハイマー病とMCI脳の顕著な特徴です。

グルタチオン投与とアルツハイマー病との関係を調べた試験は今までにありません。(2019年、Mandalら)

パーキンソン病に対してグルタチオンを投与する試験が行われましたが、有意な結果は出ませんでした。(2017年、Mishleyら)

パーキンソン病に対して、経験則的にグルタチオンの静脈内投与が有効であるという報告もあります。(2017年、Otto)

現在のほとんどの研究は、グルタチオンのレベルを増加させる間接的な方法として脳内のシステインレベルを増加させることに焦点を合わせています。特に、N-アセチル-1-システインは、脳のシステインレベルを直接増加させることが知られており、脳と末梢でのグルタチオンの生合成の増加を可能にします。(2000年、Pocernichら)

Nアセチルシステインは、グルタチオン産生の効果的な前駆体であり、血液脳関門(BBB)を通過することが示されています。Nアセチルシステインは、グルタチオン合成の律速基質であるシステインを提供します。Nアセチルシステインは、グルタチオンレベルを上げ、フリーラジカルと直接相互作用することにより、抗酸化剤として機能することが知られています。

Nアセチルシステインとアルツハイマー病との関係を調べた総論としては、認知機能を促進しますが、予防効果は認められませんでした。(2017年、Haraら)

グルタチオンは脳内で最も重要な抗酸化物質であり、トランスポーターを介して血液脳関門を通過するので、経口や静脈投与で脳内に届かせることは理論的には可能です。しかし、元々は細胞内のメチレーション回路で潤沢に作られるはずの内因性抗酸化物質なので、メチレーション回路に問題が生じないことの方がより重要です。グルタチオンのサプリメントは、ヒトの場合は魚の20分の1程度の量を投与するのが最大量なので、量的に不十分と考えるのが三石理論です。グルタチオンが効果があったとしても、量的に足りず、一過性の対症療法になる可能性が高いです。以上からグルタチオンの前駆物質であるNアセチルシステインが注目されていますが、これもメチレーション回路全体で考える方が良いです。

メチレーション回路のスタートは動物性タンパク質に多く含まれるメチオニンです。そこからホモシステインを経て、システインからグルタチオンに代謝されます。一見、ビタミンB12と葉酸が要のように見えますが、ビタミンで言えばビタミンB3が補酵素としてより活躍していますし、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンDも重要です。補因子として、亜鉛、鉄、マグネシウム、モリブデンが関与しており、有害ミネラルとして、アルミニウム、鉛、カドミウム、水銀が阻害しています。これらがすべてが不足せず、有害ミネラルの排除が必要ですので、単一の栄養素でメチレーション回路の問題は解決出来ません。

栄養療法はより前駆物質を摂取することが原則です。加工・精製される度に、エンドトキシンなどのコンタミネーションの問題が生じるからです。