スペルミジン

まとめ:オートファジーを誘導するスペルミジンは、老化、癌、代謝性疾患などへの有効性が期待されています。

スペルミジン(spermidine)は、生ピーマン、小麦胚芽、カリフラワー、ブロッコリー、マッシュルーム、各種チーズ、納豆、しいたけ、アマランサス粒、ドリアン、ナッツなどに多く含まれているポリアミン(2つ以上のアミノ基(-NH2)を持つ物質です。体内でアミノ酸から合成されます)です。

スペルミジンなどのポリアミンは、濃度に差があるものの食品にも含まれ、中でも、大豆、キノコ類などに多く含まれます。とくに、大豆を発酵させた納豆、醤油、味噌には、微生物が産生したスペルミジンが高濃度に含まれます。(日本食品機能研究会

スペルミジンは、オートファジーやタンパク質の脱アセチル化の促進によって、癌、代謝性疾患、心臓病、および神経変性に対する保護効果があることが総括されています。(2018, Madeo)(2018, Madeo)

自己報告された認知機能低下のある被験者を含む第 II 相試験では、SPD は 3 か月の治療期間後にすでに認知機能の検出可能な改善をもたらすことが報告されています。(2018, Wirth)

食事に含まれるスペルミジンが正常な加齢中に神経保護的に作用を持つことが総括されています。(2021, Schroeder)

スペルミジンによるオートファジーの誘導は長寿を促進することが報告されています。(2009, Eisenberg)

大規模な食事調査で、スペルミジンの摂取量が多いほど死亡率が低くなることが報告されています。(2018, Kiechi)

■スペルミジン以外のオートファジーを誘導する天然物質

エピガロカテキンガレート、レスベラトロール、クルクミンなどの特定のポリフェノールがオートファジー応答を誘発できることを示しており、その結果、細胞の寿命を延ばし、アミロイド疾患でのいくつかのヒトのミスフォールド/凝集ペプチドおよびタンパク質のクリアランスを促進するオートファジーによるハウスキーピング機能を改善することが報告されています。(2013, Lamb)

ハウスキーピング遺伝子とは、ほとんどの細胞や組織で、常にほぼ一定量が発現し、機能している一連の遺伝子群で、エネルギー代謝や細胞の維持・増殖などに不可欠なはたらきを担っています。

クルクミン ( Curcuma longa )、バコシド ( Bacopa monnieri )、カテキン ( Camellia sinensis )、ツボクサ( Centella asiatica )、ウイタノリド (ウィタニアソムニフェラ、アシュワガンダ)、レスベラトロール(ヴィティス・ヴィニフェラなどの植物化学物質が、オートファジーを誘導することにより、健康な被験者と、パーキンソン病、アルツハイマー病、認知症、筋萎縮性側索硬化症などの中枢神経系障害の患者の両方を対象とした臨床研究では、認知機能の向上、抗酸化作用、抗炎症作用を示す有望な結果が得られています。(2019, Limanaqi)