果糖
栄養療法の治療者は、糖質制限の立場から、果糖を否定するのか肯定するのかで二分されます。
当院では、一般的には緩めの糖質制限を勧めることが多いので、果糖は大量でなければ勧めています。
果糖を勧めると言っても、原則はWhole Foodなので勧めるのは果物やハチミツになります。
異性化糖=果糖ブドウ糖液糖=ハイフルクトースコーンシロップ(HFCS)ではありません。
有名な「果糖中毒」は、この異性化糖の問題を指摘した本で、果糖は問題視していません。
糖質制限と言っても、全ての糖が悪者で、全てやめれば良いとは考えていません。
異性化糖などの加工食品は、必ずコンタミネーションなどの問題が起こってきます。まず問題となるのは、エンドトキシンと呼ばれる細菌の細胞壁に含まれる成分のLPSで、リーキーガットの原因になります。
Whole Foodとは、食材を出来るだけそのままの形で食べるという意味ですが、これは動物でも植物でも表面にバリアを持っており(皮のことです)、内部には細菌は存在しません。食材の表面の洗浄や料理で処理することで、ある程度は雑菌を排除出来ます。
一方で加工食品は、雑菌の混入を避けることが出来ません。
動物や植物の表面のバリア機能を利用しながら、食材を食べるということが非常に大切です。
果糖はブドウ糖に比べて、酸化ストレスが強いことから忌避するという考えもありますが、体内の代謝では果糖の形では存在しないように、優先的に処理されます。
人類がお猿さんだった頃の主食は、果物です。
アスリートは、果糖を上手く利用して食べることを実践していますし、スポーツ飲料のOS-1には、果糖が含まれています。
果糖の利点は、糖新生の逆経路で代謝されますので、糖新生の経路を抑制出来ます。これは、アミノ酸の分解、つまり筋肉が痩せることを防ぐことが可能になります。
このことは、糖質制限のやり過ぎで起こって来るlow T3症候群の甲状腺機能低下症を防ぐために、果糖が鍵になるという意味です。
果物を食べることで、筋肉量を確保しながら、ある程度の糖質を摂取して、なおかつ食物繊維やフィトケミカルを摂ることが出来ます。