逃げ込み療法
子宮筋腫や子宮内膜症などの方が、手術をせずに薬物療法などを続けて、閉経を待つという方法を「逃げ込み療法」と言います。
閉経になれば、症状が軽くなったり、治まったりするので、それまで待つ治療です。
子宮筋腫とは子宮を構成している平滑筋という筋肉組織由来の良性腫瘍です。
子宮内膜症とは、本来なら子宮の内側の壁を覆っている子宮内膜が、子宮の内腔以外の部位(卵巣や腹膜、子宮の壁の中など)に発生し、発育を続ける病気です。
どちらも女性ホルモンのひとつのエストロゲンの影響で悪化して、月経過多や月経痛となるエストロゲン依存性疾患です。
エストロゲンには、子宮内膜の増殖や子宮の筋肉を発達させる作用があります。
2006年にDerooらは、エストロゲン受容体を介するエストロゲン依存性疾患として、さまざまな種類の癌(乳がん、卵巣がん、結腸直腸がん、前立腺がん、子宮内膜がん) 、骨粗鬆症、神経変性疾患、心血管疾患、インスリン抵抗性、紅斑性狼瘡、子宮内膜症、および肥満について考察しました。
標準医学では逃げ込み療法のリスクも指摘されていますが、栄養療法の観点では逃げ込み療法は以下になります。
1.環境エストロゲンを避ける
現代社会で使われるプラスティック、農薬、除草剤、溶剤、接着剤、洗剤、化粧品などの石油化学物質は強いエストロゲン作用を持つので、環境エストロゲンと呼ばれています。これらを出来るだけ避ける必要があります。
食べ物をプラスティック容器に保存しない、缶製品を出来るだけ避ける、水道に浄水器を付ける、殺虫剤、除草剤、消毒剤、洗剤を出来るだけ使わない、芳香剤、香水、ネイルを出来るだけ避ける、繊維柔軟剤を出来るだけ使わないようにします。
2.抗エストロゲン作用を持つ植物性プロゲステロンを摂る。
ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、ケール、白菜、ルッコラ、大根、わさび、クレソンなどのアブラナ科の野菜は、抗エストロゲン作用を持つ植物性プロゲステロン作用を持っています。
酸化ストレスに対処するために抗酸化作用を持つアブラナ科以外の野菜や果物も積極的に摂取します。
3.不足しているビタミン、ミネラルの補給
エストロゲン過剰で不足する亜鉛、マグネシウム、ビタミンB群を食事やサプリなどで補給します。
4.炎症の原因となる食品を避ける
小麦製品、乳製品(バターとホエイプロテインを除く)を出来るだけ減らす。
糖質過食、植物油などの多価不飽和脂肪酸を避け、ホエイプロテインなどで高タンパク食を行います。
5.天然のプロゲステロンクリーム
唾液検査での結果や基礎体温表で高温期が10日以下で短い場合には、プロゲステロンの分泌が不十分であると考えられます。この場合には天然のプロゲステロンクリームを使う方法があります。
詳しい使い方は、リー博士の『天然ホルモン実用ガイド―天然のプロゲステロンが女性の健康を守る!』を参照してください。