新型コロナとカリウム

まとめ:新型コロナ感染症では低カリウム血症が見られます。カリウムの補給が有効で、後遺症でも同じ病態が考えられます。

新型コロナ感染症では、ACE2受容体に結合することによってレニン-アンギオテンシン系のアルドステロンのカリウムの腎性排泄作用で、低カリウム血症になります。腎臓からのカリウム喪失が主な原因であることから、カリウムの補給で軽快することが報告されています。(2020, Chen)

新型コロナ感染症のイタリアでの入院患者290人で低カリウム血症が119人(41%)見られました。低カリウム血症に対して、カリウムの補給だけでなくカリウム保持性利尿薬が有効であること、カリウム喪失性利尿薬(サイアザイド系利尿薬、ループ利尿薬、浸透圧利尿薬)がリスクになることが報告されています。また、低カリウムは新型コロナ感染症の予後とは無関係でした。(2021, Alfano)

スピノラクトンは、抗アルドステロン作用によりカリウム保持性利尿作用を持ち、他にも抗アンドロゲン作用、抗炎症作用などにより新型コロナ感染症に対する有効性が指摘されています。(2021, Kotfis)

スピロラクトンは、ステロイドホルモン受容体に幅広く結合して阻害する拮抗薬です。(2017, Carone)

新型コロナ感染症の中国での175人の入院患者では、低カリウム血症が95人(54%)であり、重症度と関係しました。カリウムの補給によっても是正は困難でした。(2020, Chen)

イランでの134人の新型コロナ感染症の入院及び外来患者にて、49.1%が高血糖、38%が低ナトリウム血症、9.1%が低カリウム血症、32%が低マグネシウム血症でした。(2020, Sarvazad)

新型コロナ感染症では低ナトリウム血症、高ナトリウム血症、低カリウム血症、低カルシウム血症、低塩素血症、血液量過剰症、および血液量減少症が見られることが総括されています。(2021, Pourfridoni)