子宮筋腫を漢方で改善|論文

まとめ:子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、多くの論文に共通する中心病機は血瘀で、「無瘀不成癥(瘀血なくして癥瘕は形成されない)」という考え方が基本となります。その背景には気滞、気虚、腎虚、寒凝、痰湿などがあり、特に気滞血瘀、気虚血瘀、痰瘀互結、寒凝血瘀、腎虚血瘀として捉え、活血化瘀・破血消癥・軟堅散結を中心に、疏肝理気、益気、化痰、補腎などを組み合わせます。代表方剤は桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、桃仁、芍薬、牡丹皮)、理冲湯(黄耆、党参、白朮、山薬、天花粉、知母、三稜、莪朮、鶏内金)、大黄䗪虫丸、少腹逐瘀湯などです。なかでも多くの論文で繰り返し登場する三稜・莪朮は、破血行気・消癥作用をもつ子宮筋腫治療の中心的な生薬の組み合わせで、実験研究でも性ホルモン・ER/PR、Wnt/β-catenin、PI3K/Aktなど筋腫増殖に関係する経路への作用が報告されています。さらに桃仁、赤芍、丹参、三七、水蛭、䗪虫などの活血化瘀薬、夏枯草、牡蛎、鼈甲、浙貝母などの軟堅散結・化痰薬を病態に応じて組み合わせます。

したがって中医治療では、単に一つの「筋腫を小さくする漢方」を使用するのではなく、三稜・莪朮などによる活血消癥を軸として、血瘀+気滞・痰湿・気虚・腎虚など患者ごとの病態を辨証し、処方を組み立てることが重要と考えられます

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、五臓機能の失調と気血運行障害を基礎に、寒・痰・瘀、とくに気滞血瘀が主要病機とされる。桂枝茯苓丸(桂枝、牡丹皮、桃仁、芍薬、茯苓)は活血・化瘀・消癥を目的とする代表方で、臨床では単独のほかミフェプリストン、HIFU、四君子湯などとの併用により、筋腫体積の縮小、症状・血液流動性・性ホルモン・炎症指標の改善が報告されている。作用機序として、筋腫細胞増殖の抑制とアポトーシス促進、免疫・炎症調節、血液流動性改善、VEGF・HIF-1αなどを介した腫瘍血管新生抑制、E2・P・FSH・LHなど性ホルモンの調節が示唆されている。一方、大きな筋腫では効果が十分でないことや、既存研究には併用療法が多く統一された評価基準も不足しており、さらなる検証が必要とされる。(2026, 張祥)

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」「石瘕」「崩漏」などに属し、陰陽失調・正気虚損を根本、胞宮の瘀血内停を病変の中心とし、気滞・痰湿・血瘀が相互に結びついて形成されると考えられる。証型では気滞血瘀証が最も多く、ほかに腎虚血瘀、痰湿瘀結、湿熱瘀毒、寒凝血瘀、肝鬱気滞などがみられる。治療では温陽・益気・祛瘀・化痰・消癥を基本とし、**祛瘀化痰消瘤湯(桃仁、紅花、川芎、赤芍、三稜、莪朮、半夏、陳皮、茯苓など:推定)、益気化瘤湯(黄耆、党参、白朮、茯苓、当帰、赤芍、桃仁、三稜、莪朮など:推定)、血府逐瘀湯加減(桃仁、紅花、当帰、生地黄、川芎、赤芍、牛膝、桔梗、柴胡、枳殻、甘草)、桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)**などが用いられ、筋腫体積の縮小や性ホルモン・臨床症状の改善が報告されている。特に桂枝茯苓丸はミフェプリストンとの併用でFSH、E2、P、LHおよび筋腫体積を低下させることが報告されている。(2024, 匡清清)

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、血瘀を核心病機とし、正気虚衰、情志不暢、飲食失宜、風寒湿などを背景に、気滞・痰湿・食滞が瘀血と結びつき胞宮に有形の積塊を形成すると考えられる。したがって活血化瘀を基本治法とし、正虚瘀阻、食滞瘀阻、気滞血瘀、気虚血瘀、痰湿瘀阻などに応じて扶正・消食・化痰除湿を併用する。 臨床では理冲湯(生黄耆、党参、白朮、生山薬、天花粉、知母、三稜、莪朮、生鶏内金)、桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)、血府逐瘀湯(桃仁、紅花、当帰、生地黄、川芎、赤芍、牛膝、桔梗、柴胡、枳殻、甘草)、少腹逐瘀湯(小茴香、乾姜、延胡索、没薬、当帰、川芎、官桂、赤芍、蒲黄、五霊脂)、膈下逐瘀湯(五霊脂、当帰、川芎、桃仁、牡丹皮、赤芍、烏薬、延胡索、甘草、香附、紅花、枳殻)、大黄牡丹湯(大黄、牡丹皮、桃仁、冬瓜仁、芒硝)、抵当湯(水蛭、虻虫、桃仁、大黄)などが用いられ、症状改善や筋腫体積縮小が報告されている。 現代薬理学的には、活血化瘀法は性ホルモン・ER/PRの抑制、VEGFなどを介する血管新生抑制、腫瘍細胞のアポトーシス促進、血液流動性改善、免疫調節、細胞外基質蓄積の抑制という複数経路から筋腫の発生・増大を抑制する可能性が示されている。(2024, 史莎莎)

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、肝・脾・腎および衝任の失調を本とし、湿・熱・痰・瘀が胞宮に結聚することを標とする。とくに肝鬱による気滞血瘀、脾虚による痰湿、腎虚による血行停滞が相互に関与するため、理気・活血化瘀を中心に扶正祛邪することが治療原則となる。 臨床では、理冲湯(生黄耆、党参、白朮、生山薬、天花粉、知母、三稜、莪朮、生鶏内金)、桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)、血府逐瘀湯(桃仁、紅花、当帰、生地黄、川芎、赤芍、牛膝、桔梗、柴胡、枳殻、甘草)、大黄牡丹湯(大黄、牡丹皮、桃仁、冬瓜仁、芒硝)、少腹逐瘀湯(小茴香、乾姜、延胡索、没薬、当帰、川芎、官桂、赤芍、蒲黄、五霊脂)、四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)+桂枝茯苓丸などが用いられ、筋腫体積や月経症状の改善が報告されている。 現代薬理学的には、桂枝茯苓丸によるER・PR発現低下、赤芍成分によるエストロゲン作用抑制、莪七煎膏や姜三七によるBcl-2低下・Bax増加を介したアポトーシス促進、さらに免疫調節、血液流動性改善、VEGF・NF-κB・TSGFなどを介した腫瘍血管新生抑制によって、筋腫細胞の増殖・増大を抑制する可能性が示されている。(2023, 王熙月)

※この論文では特に、赤芍の有効成分が子宮平滑筋の増殖を抑え、筋腫増大を明確に抑制したという基礎研究が紹介されている点が興味深いです。

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」「石瘕」に属し、本虚標実で血瘀を基本病機とし、肝・脾・腎および衝任の失調を背景に、気滞、気虚、痰湿、寒凝、瘀熱などが血瘀と結びついて胞宮に腫塊を形成すると考えられる。治療は証型に応じ、気滞血瘀には血府逐瘀湯(桃仁、紅花、当帰、生地黄、川芎、赤芍、牛膝、桔梗、柴胡、枳殻、甘草)桃紅四物湯加味(桃仁、紅花、当帰、川芎、牡丹皮、川牛膝、天葵子、薏苡仁、黄耆、穿山甲、甘草など)、気虚血瘀には益気化瘀方・消癥湯、痰瘀互結には祛瘀化痰消癥湯(陳皮、牛膝、茯苓、当帰、丹参、鶏内金、香附、半夏、蒼朮、三稜、莪朮)、寒凝血瘀には温経湯(呉茱萸、当帰、川芎、芍薬、人参、桂枝、阿膠、牡丹皮、生姜、甘草、半夏、麦門冬)、腎虚血瘀には**益母逐瘀生新方(益母草、人参、当帰、熟地黄、山茱萸、川芎、桃仁、炮姜、炙甘草)などが用いられ、筋腫体積・性ホルモン・血液流動性・臨床症状の改善が報告されている。 また古方では桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)、理冲湯(生黄耆、党参、白朮、生山薬、天花粉、知母、三稜、莪朮、生鶏内金)、抵当湯(水蛭、虻虫、桃仁、大黄)、下瘀血湯(大黄、桃仁、䗪虫)などの活血・破血・消癥方が位置づけられる。治療は一律に攻瘀するのではなく、「衰其大半而止」**として正気を顧護し、非月経期は活血化瘀・攻邪を重視し、月経期は益気祛瘀・止血を重視する分期治療も推奨されている。(2022, 何越)

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、腎・脾・肝の失調を背景に、気滞血瘀・痰湿内生・痰瘀互結によって形成されると考え、活血化瘀・疏肝・軟堅散結を中心に、必要に応じ健脾和胃・補養気血を併用する。 単味生薬では、**黄連(ベルベリン:血液粘稠度・炎症低下、Bcl-2低下)、赤芍(SY-002:血清エストロゲン低下)、白芍(ペオニフロリン等:筋腫細胞増殖抑制)、茯苓(茯苓酸:miR-133a↑、EGF/EGFR↓による増殖抑制・アポトーシス促進)、姜三七(Bcl-2↓・Bax↑)、紫草(シコニン:ERK経路抑制)、夏枯草(ER・PR発現抑制・アポトーシス促進)**などに実験的な筋腫抑制作用が報告されている。

薬対では、特に三稜-莪朮が破血行気・消癥の中心として取り上げられ、ER・PRや筋腫線維芽細胞活性、PI3K/Akt系、FSH・LHなどへの作用が報告されている。ほかに桃仁-紅花は活血化瘀・血液流動性改善、大黄-䗪虫はIGF-I・EGFを抑制して筋腫細胞増殖を抑える可能性、**蒲黄-五霊脂〔失笑散〕は活血祛瘀・散結止痛作用が報告されている。 方剤では桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、桃仁、白芍、牡丹皮)**が筋腫体積、性ホルモン、血液流動性を改善し、COX-2・VEGF・HIF-1α抑制が機序として示唆され、**桔荔散結丸/片(橘核、荔枝核、続断、小茴香、烏薬など)**もER・PR・EGFRおよびWnt/β-catenin系を介した筋腫細胞増殖抑制が報告されている。(2022, 肖湉)

増大を止める生薬という観点でこの論文から拾うなら、三稜・莪朮、赤芍/白芍、茯苓、黄連、姜三七、紫草、夏枯草、大黄・䗪虫が特に注目候補です。ただし、ここで挙げられている機序の多くは動物・細胞実験で、臨床的に「増大を止める」と確立した単味生薬という意味ではありません。

子宮筋腫は中医学では「崩漏」「積聚」「癥瘕」「石癥」などに属し、正気不足、情志失調、肝鬱気滞、腎陰陽失調を背景に、気滞血瘀・痰湿・痰瘀互結が胞宮に停滞して形成されると考えられる。特に本論文では、腎虚による陰陽失調→冲任失調→血行不暢→瘀血、さらに腎陰不足では虚火による津液損傷から痰湿、腎陽不足では温煦不足から血瘀を生じるとして、「腎陰陽失調・痰瘀互結・瘀血阻滞」を根本病機として重視している。

治療では疏肝理気・益気養血・活血化瘀・化痰祛瘀・温陽散結を組み合わせ、**烏赤湯(熟附子、川烏、蜀椒、乾姜、赤石脂、香附、桑寄生、三稜、莪朮、鼈甲、劉寄奴、懐牛膝、皂角刺、穿山甲、葶藶子、蜈蚣)**は温煦胞宮・散寒化凝・疏肝理気・破血逐瘀・散結消癥により筋腫の異常増殖を抑制し、**消結化瘤湯(煅牡蛎、炙鼈甲、浙貝母、川芎、莪朮、当帰、甘草)は化痰・軟堅散結・活血化瘀を介して筋腫体積を縮小し、性ホルモンやAngⅡ、IFN-γなどの改善が報告されている。また消癥湯(構成生薬は本文に記載なし)**も臨床症状と筋腫体積を改善した。(2022, 劉巧玲)

この論文で**「増大する筋腫を止める」という観点から特に目につく生薬**は、三稜・莪朮・鼈甲・牡蛎・浙貝母・川芎・当帰・牛膝・劉寄奴です。なかでも前の論文群と合わせると、三稜+莪朮は複数のレビューで繰り返し登場しており、破血行気・消癥薬対として重要度が高そうです。

子宮筋腫は中医学では「積聚」「癥瘕」「石癥」に属し、肝・脾・腎および冲任の失調を基礎として、気鬱・痰湿・血瘀が胞宮に結聚することを主要病機とし、とくに血瘀が治療上の中心とされる。 治療では活血化瘀・破血消癥・化痰散結を基本とし、**桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、桃仁、白芍、牡丹皮)、痰結消散方(半夏、厚朴、香附、川芎、半枝蓮、山慈菇、牡蛎、皂角刺、当帰)、紫蛇消瘤断経湯(紫草、石見穿、白花蛇舌草、夏枯草、生牡蛎、墨旱蓮、女貞子、大薊、小薊)、夏氏消癥湯(三稜、莪朮、姜黄、水蛭、玄参、山慈菇、貝母、白芥子、制天南星、陳皮、茯苓、法半夏、牡蛎、甘草)、烏赤湯(熟附子、川烏、蜀椒、乾姜、赤石脂、香附、莪朮、三稜、懐牛膝、桑寄生、劉寄奴、葶藶子、皂角、穿山甲、鼈甲、蜈蚣)**などが用いられ、筋腫体積や臨床症状の改善が報告されている。

さらに、行気化瘀消癥湯(香附、烏薬、益母草、桃仁、丹参、三稜、青皮、莪朮、夏枯草、鼈甲、牡蛎、白英、黄耆、当帰、小茴香、炙甘草)活血化瘤方(菟絲子、淫羊藿、補骨脂、巴戟天、莪朮、川芎、乳香、没薬、三稜、当帰)、**蒋氏扶正消癥方(三稜、莪朮、桃仁、川芎、当帰、牡丹皮、白朮、延胡索、木香、鼈甲、黄耆、桂枝)**などでも筋腫縮小が報告されている。(2022, 徐文立)

この論文で特に興味深いのは、仝小林が**「莪朮+三七+枯礬」という3味の小方を使用し、莪朮+三七で活血消癥、莪朮+枯礬で消痰止血として、特に直径3 cm以下の筋腫を得意とした**と紹介されている点です。

これまでの論文を横断すると、やはり三稜・莪朮が最も一貫して登場する「筋腫そのものを攻める」生薬群で、そこに桃仁、丹参、川芎、水蛭、䗪虫、三七などの活血破血薬と、牡蛎、鼈甲、夏枯草、山慈菇、浙貝母などの軟堅散結・化痰消癥薬を組み合わせる構造が目立ちます。

子宮筋腫は中医学では「癥瘕積聚」に属し、瘀血内阻、痰湿鬱結、気血瘀滞、寒凝血瘀、気虚血瘀、湿熱瘀阻などを主要病機とし、中薬は性ホルモン調節、遺伝子・蛋白発現調節、抗炎・鎮痛、免疫調節など複数の経路から筋腫増殖を抑制すると考えられる。 特に大黄-䗪虫は血清プロゲステロンおよび局所PRを低下させ、三稜-莪朮はc-myc・Wnt5b・β-catenin発現を抑制し、なかでも三稜:莪朮=1:1高用量でβ-cateninまで有意に抑制したことから、筋腫細胞増殖シグナルを直接抑える薬対として注目される。

単味・有効成分では、**黄連(小檗碱=ベルベリン)**がヒト子宮筋腫細胞の増殖を抑制し、G2/M期で細胞周期を停止・アポトーシスを誘導してCyclin A1・B1・CDK1↓、CDK4・p21・p53↑を示す。**莪朮(莪朮揮発油)**は実験的筋腫モデルで子宮臓器指数を低下、**三稜(三稜総フラボノイド)**にも筋腫抑制作用が示され、**雷公藤(雷公藤多苷)は性腺軸を可逆的に抑制するとともに筋腫組織のER・PR発現を低下させる。ほかに芍薬(芍薬苷)、益母草(益母草アルカロイド)、紅花(フラボノイド)、水蛭(ヒルジン)、牡丹皮(ペオノール)**などの作用も紹介されている。(2019, 楊相海)

この論文から**「増大する筋腫を止める生薬」に絞ると、特に重要なのは ①三稜+莪朮、②黄連、③大黄+䗪虫、④雷公藤です。なかでも三稜+莪朮**は、この論文でも筋腫モデルに対するWnt/β-catenin系抑制が具体的に示されており、これまでアップされた複数のレビューにも繰り返し登場するため、現時点の論文群を横断すると最も一貫性があります。

なお、黄連のベルベリンはヒト子宮筋腫細胞そのものを用いた研究が引用されている点でかなり興味深いです。

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、正気虚弱・臓腑機能失調を基礎として、気・血・痰・湿・熱毒が冲任・胞宮・胞絡に互結して形成されると考え、治療は「消法」を基本に活血化瘀・消癥散結・扶正祛邪を行う。 内服では、**加味桂枝茯苓湯(茯苓15g、桂枝10g、赤芍10g、牡丹皮20g、丹参30g、桃仁10g、川芎10g、穿山甲6g、当帰20g、木香10g、莪朮10g、益母草30g)**で総有効率94.3%、**少腹逐瘀湯(川芎15g、当帰10g、赤芍15g、蒲黄10g、延胡索5g、五霊脂6g、没薬6g、小茴香5g、乾姜10g、官桂5g)**で92.5%、**理冲湯(黄耆30g、党参15g、天花粉15g、白朮10g、山薬20g、知母15g、三稜10g、莪朮15g、鶏内金15g)**で93.55%の総有効率が報告されている。

経験方では、消瘤湯(王不留行100g、夏枯草30g、生牡蛎30g、紫蘇子30g)+少量ミフェプリストンで筋腫体積縮小がみられ、非月経期の消癥方として鬼箭羽、莪朮、丹参、牡丹皮、夏枯草、川牛膝、生牡蛎、黄耆を用いた治療では筋腫縮小・消退の有効率85.2%が報告されている。また活血化瘀方(桂枝15g、茯苓20g、桃仁20g、当帰20g、黄耆10g、牡丹皮15g、赤芍15g、香附15g、鼈甲10g、生牡蛎10g)+ミフェプリストンでも筋腫縮小が認められた。(2019, 王盼盼)

この論文で特に目につくのは、加味桂枝茯苓湯に丹参30g・益母草30g・莪朮10gを追加している点です。つまり単なる桂枝茯苓丸ではなく、桃仁・牡丹皮・赤芍+丹参・川芎・益母草・莪朮と活血消癥作用をかなり強化しています。

また、これまでの論文と合わせると、三稜・莪朮に加えて、夏枯草+牡蛎が「散結して筋腫そのものを抑える」組み合わせとして何度も出てきます。今回の論文でも王不留行100g+夏枯草30g+牡蛎30g+紫蘇子30gという非常に特徴的な消瘤湯が紹介されています。

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」などに属し、肝鬱気滞、冲任気血損傷、経産期の調攝不良、臓腑虚弱、飲食不節などを誘因として、腎の陰陽失調を本とし、血瘀・痰湿が互結して胞宮に腫塊を形成すると考える。沈氏女科では特に**「痰瘀同治・調整陰陽」を重視し、虚証では調腎、実証では痰瘀同治、虚実夾雑では扶正祛邪とする。 治療は活血化瘀を基本に軟堅散結を併用し、牡蛎、鼈甲、昆布、黄耆、三稜、莪朮、桃仁などが代表薬として挙げられ、瘀血阻宮には桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、牡丹皮、桃仁、芍薬)、痰阻血絡には温胆湯(半夏、竹茹、枳実、陳皮、茯苓、甘草、生姜、大棗)、腎陰陽調整には杞菊地黄湯(熟地黄、山茱萸、山薬、牡丹皮、茯苓、沢瀉、枸杞子、菊花)、陰陽失調・虚火には二仙湯(仙茅、淫羊藿、巴戟天、当帰、知母、黄柏)**などを使い分ける。

また古方では、下瘀血湯(大黄、桃仁、䗪虫)、桃核承気湯(桃仁、大黄、桂枝、甘草、芒硝)、抵当湯(水蛭、虻虫、桃仁、大黄)、大黄䗪虫丸などの破血逐瘀方を用い、現代臨床では大黄䗪虫丸に三稜・莪朮を加えて活血消癥作用を強化する方法も紹介されている。寒凝血瘀には桂枝茯苓丸、痰瘀互結には開鬱二陳湯、肝腎陰虚には一貫煎+補腎祛瘀方など、病機に応じて使い分ける。(2019, 任聡)

この論文で増大抑制の観点から最も重要な記載は、やはり**「三稜・莪朮」**です。大黄䗪虫丸だけでは「力量略顕不足」とし、三稜・莪朮を追加して活血消癥作用を強めると明記しています。さらに面白いのは、単純に破血薬を増やすのではなく、**「補腎調陰陽+活血化瘀+化痰+軟堅散結」**という構造を推奨している点です。これまでの論文を横断すると、増大する筋腫に対する中医処方の骨格としては、三稜・莪朮 + 桃仁・赤芍/牡丹皮・丹参 + 夏枯草・牡蛎/鼈甲という組み合わせがかなり浮かび上がってきています。

子宮筋腫は中医学では「石瘕」「癥疾」「月経過多」「崩漏」などに属し、情志不暢・飲食不節などによる臓腑機能失調から、気滞・血瘀・痰湿が形成され胞宮に集積して癥瘕となると考える。臓腑では特に肝・脾・腎との関係が深く、肝失疏泄、脾失健運、腎失気化を基礎病態とする一方、気血津液弁証では**「無瘀不成癥」=血瘀がほぼ全病型を貫く中心病機**と位置づけられる。実際、気滞血瘀、気虚血瘀、陰虚血瘀、腎虚血瘀、寒湿凝結、痰瘀互結などに分類され、6分類中5分類に血瘀が含まれている。(2017, 邢峰麗)

この論文で興味深いのは、体質・超音波所見と証型を結びつけようとしている点です。肥満傾向では痰瘀互結証、多発性子宮筋腫では気虚血瘀証が多いとされ、超音波では気滞血瘀・気虚型は等~低エコー、痰湿血瘀・瘀血阻滞型は混合~高エコーが多いという報告が紹介されています。ただし著者自身、現時点では客観的指標だけで証型を決定できる段階ではないと結論しています。

したがって、これまでの論文群と合わせるとかなり整理できます。子宮筋腫の共通病機=血瘀であり、その背景を、

気滞血瘀 → 疏肝理気+活血化瘀
気虚血瘀 → 益気+活血化瘀
痰瘀互結 → 化痰軟堅+活血消癥
寒凝血瘀 → 温経散寒+活血消癥
腎虚血瘀 → 補腎+活血化瘀

と分ける考え方になります。

特に**「増大している筋腫」という今回の目的なら、前の論文群で繰り返し出てきた三稜・莪朮などの消癥薬を軸にしながら、この論文の弁証で「なぜ血瘀が生じているのか」を判定して補助薬を決める**、という組み立てが一番合理的です。

子宮筋腫は中医学では「癥瘕」に属し、気滞・血瘀・痰湿・湿熱を主要病理因子とし、とくに気滞血瘀、痰瘀互結が筋腫形成の中心とされる。治療は活血化瘀・軟堅散結を基本とし、気滞型には香棱丸、血瘀型には桂枝茯苓丸(桂枝、茯苓、桃仁、芍薬、牡丹皮)、痰湿型には**二陳湯(半夏、陳皮、茯苓、甘草)**などを用い、月経周期に応じて非月経期には活血化瘀・軟堅散結、月経期には出血量を考慮しながら化瘀を主体として治療する。(2015, 孫艶浮)

特に化瘀扶正消瘤湯では、三稜、莪朮、水蛭、当帰、赤芍、紅花、昆布、香附、党参、黄耆、鹿角膠、牛膝などを用い、98例で総有効率86.9%と報告され、著者らは**「三稜・莪朮・水蛭は消癥瘕専薬」と位置づけている。また芪朮消癥湯(柴胡、香附、白芍、当帰、生地黄、川芎、桃仁、紅花、黄耆、蒼朮、茯苓、三稜、莪朮、穿山甲、三七など)**では、益気養血・理気・化痰と破血消癥を組み合わせ、三稜・莪朮については腫瘍細胞のアポトーシス誘導・異常増殖抑制作用が紹介されている。

さらに痰瘀互結には**加味桂枝茯苓湯(桂枝、茯苓、牡丹皮、赤芍、桃仁、土鼈虫など)を用い、桂枝・桃仁・土鼈虫の組み合わせで化瘀・散結・消癥を強化する。痰湿が強ければ蒼附導痰丸(蒼朮、枳実、制半夏、香附、胆南星、茯苓、生姜、陳皮、甘草)**による燥湿化痰・散結を併用する。(2015, 孫艶浮)

この論文から「増大を止める生薬」を抜くと

かなり明確です。

三稜・莪朮・水蛭 > 土鼈虫・桃仁・赤芍・紅花 > 昆布・夏枯草 > 丹参・三七

特に今回の論文は、三稜+莪朮だけでなく「水蛭」を同格の消癥瘕専薬として挙げている点が、これまでの論文との違いです。

これまでアップされた論文を全部横断すると、処方の核はかなり収束してきました。三稜+莪朮を中心に、血瘀が強ければ赤芍・桃仁・丹参・水蛭/土鼈虫、痰瘀・硬い腫塊なら夏枯草・牡蛎・鼈甲・昆布を加えるという構造です。