耳鳴を漢方で改善|論文

まとめ:耳鳴は中医学では、肝・脾・腎を中心とする五臓の機能失調によって耳竅の気血運行や濡養が障害される病態と捉える。実証では肝火上擾、肝鬱気滞、痰火鬱結、気滞血瘀、風邪外襲、虚証では腎精不足、肝腎陰虚、脾胃虚弱、気血不足、心腎不交などが主要病機となる。特に腎精不足による髄海失養、脾虚による清陽不升・痰湿内生、肝鬱による気機鬱滞と化火、瘀血による耳絡阻滞が重視される。慢性耳鳴では虚実夾雑が多く、不安、不眠、抑うつなどの情志失調が耳鳴を増悪させる悪循環も重要とされる。

治療は辨証論治を基本とし、肝火上擾には竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、柴胡、沢瀉、木通、車前子、当帰、生地黄、甘草)、肝鬱気滞には柴胡疏肝散(柴胡、香附、川芎、陳皮、枳殻、白芍、甘草)、痰濁阻滞には温胆湯(半夏、竹茹、枳実、陳皮、茯苓、甘草、生姜、大棗)、気滞血瘀には通竅活血湯(赤芍、川芎、桃仁、紅花、老葱、生姜、大棗、麝香)、腎精不足には耳聾左慈丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、柴胡、磁石)、脾胃虚弱には補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)や益気聡明湯(黄耆、人参、葛根、升麻、蔓荊子、白芍、黄柏、炙甘草)、心脾両虚には帰脾湯(黄耆、人参、白朮、茯苓、当帰、竜眼肉、酸棗仁、遠志、木香、炙甘草、生姜、大棗)などが用いられる。これらの方剤構成には標準的な処方を補記したものが含まれ、生薬用量は一部の研究を除き原論文に記載されていない。

近年は補腎のみならず、健脾升陽、疏肝理気、化痰祛瘀、活血通竅を組み合わせた治療が重視されている。特に葛根、丹参、川芎、柴胡、香附、石菖蒲、路路通などが頻用され、気血運行の改善と耳竅の疏通を目的としている。鍼灸では耳門、聴宮、聴会、翳風などの耳周穴を中心に、太衝、風池、百会、三陰交、太渓、足三里などを辨証に応じて配穴する。中薬と鍼灸の併用では単独治療を上回る成績が複数報告されており、耳鳴に伴う不安や睡眠障害への介入も重視される。以上の研究から、耳鳴は単なる腎虚ではなく、肝鬱・脾虚・腎虚を基盤として痰濁や瘀血が耳竅を阻滞する本虚標実の病態として総合的に辨証することが重要と考えられる。

神経性耳鳴の中医病機と鍼灸・中薬治療の研究進展をまとめた総説である。中医学では耳鳴を虚実に分け、虚証は腎精不足、脾胃虚弱、気血不足などによって耳竅が濡養されない病態、実証は肝火上炎、痰火上擾、痰濁阻滞、瘀血阻絡などによって耳竅が閉塞される病態と捉える。特に肝・脾・腎との関連が深く、腎精不足による髄海失養、脾虚による清陽不升と痰湿内生、肝火上擾による清竅攪乱が主要病機とされる。治療は辨証論治を基本とし、腎精不足には耳聾左慈丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、柴胡、磁石)、脾胃虚弱・中気不足には補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、瘀血阻絡には通竅活血湯(赤芍、川芎、桃仁、紅花、老葱、生姜、大棗、麝香)などを用いる。耳聾左慈丸と鍼刺の併用は単独薬物療法より良好な効果を示し、通竅活血湯と三陰交・太衝・翳風などへの鍼灸併用では聴力指標や血液流変学的指標の改善が報告されている。また、聡耳通竅湯と耳穴圧豆、鳴天鼓の併用では総有効率92.59%と報告された。聡耳通竅湯の構成生薬は原論文に記載されていない。補記した3方剤の構成生薬は一般的な処方構成に基づくものであり、原論文には記載されていない。 各方剤の生薬用量も原論文には記載されていない。(雷思聡ら、2025年)

耳鳴の病因病機を五臓の観点から整理し、中薬・鍼灸による治療研究を総括したものである。耳鳴は虚実に大別され、実証では肝火上擾、痰火鬱結、気滞血瘀、風熱侵襲、虚証では腎精虧損、気血不足が主要病機となる。心血不足や心脈瘀滞による耳竅失養、脾虚による清陽不升・痰湿内生、腎精不足による髄海失養、肝鬱気滞や肝陽上亢による耳竅攪乱に加え、肺気鬱閉による気機不暢も耳鳴の重要な病機とされる。特に肝鬱は脾虚・湿熱・瘀血を生じ、慢性耳鳴を複雑化させる。

中薬治療では、心血不足に帰脾湯(黄耆、人参、白朮、茯苓、当帰、竜眼肉、酸棗仁、遠志、木香、炙甘草、生姜、大棗)、腎精不足に耳聾左慈丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、柴胡、磁石)、脾虚・中気不足に補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)が用いられる。帰脾湯の総有効率は86.7%、補中益気湯は73.3%であった。また、通竅止鳴湯(柴胡、川芎、香附、石菖蒲、路路通、白芷、黄芩、蝉退、甘草)は耳聾左慈丸より良好な成績を示した。脾虚型には益気聡明湯(黄耆30g、葛根20g、党参15g、升麻10g、蔓荊子10g、白芍10g、黄柏10g、炙甘草10g)と温鍼灸の併用、肝火上擾型には竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、柴胡、沢瀉、木通、車前子、当帰、生地黄、甘草)と鍼刺の併用、腎陰虚型には六味地黄湯(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)と通督補腎鍼法の併用が報告されている。益気聡明湯以外の生薬用量は原論文に記載されておらず、通竅止鳴湯と益気聡明湯以外の方剤構成は標準的な処方構成を補記したものである。

鍼灸では耳門、聴宮、聴会、翳風を基本穴とし、肝火上擾には太衝・行間、腎精不足には太渓・三陰交、督脈調整には百会・神庭・風府などを配穴する。温鍼灸、耳管灸、耳穴圧豆、翳風への穴位注射も有効性が報告され、特に中薬と鍼灸の併用で良好な成績が得られている。ただし、各研究は比較的小規模で、辨証分類や評価基準も統一されておらず、報告された総有効率のみから確実な治療効果を判断することは難しい。(張坤岩ら、2025年)

慢性主観性耳鳴に不安状態を伴う病態について、中医病機と治療法を整理した総説である。耳鳴と不安は聴覚中枢と辺縁系の機能異常を介して相互に影響し、GABA、グルタミン酸、セロトニンなどの神経伝達物質の異常も関与すると考えられる。中医学では心・肝・脾・腎の失調を基盤とする本虚標実の病態と捉え、実証では肝火上炎、肝鬱気滞、痰熱、血瘀、虚証では心脾両虚、心腎不交、腎精虧虚が中心となる。特に肝失疏泄による気機鬱滞が耳竅の機能を障害するとともに、心神不寧を生じて不安を増悪させる。また、脾胃不足による痰湿内生、心血不足による耳竅失養、腎精不足による髄海失養なども慢性化に関与する。

治療は疏肝解鬱、清肝瀉火、化痰活血、養血安神を基本とし、肝火上擾には竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、柴胡、沢瀉、木通、車前子、当帰、生地黄、甘草)、肝鬱気滞には柴胡疏肝散(柴胡、香附、川芎、陳皮、枳殻、白芍、甘草)、少陽枢機不利には小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、炙甘草、生姜、大棗)、心神不寧を伴う場合には柴胡加竜骨牡蛎湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、桂枝、茯苓、竜骨、牡蛎、大黄、生姜、大棗)などが用いられる。心火亢盛には導赤散(生地黄、木通、竹葉、甘草)加減も報告されている。また、四藤竜牡湯加減とメコバラミンの併用では、特に肝気鬱結型の耳鳴に良好な効果が報告されているが、四藤竜牡湯および疏肝減鳴湯の構成生薬は原論文に記載されていない。柴胡、竜胆草、石菖蒲が頻用され、疏肝解鬱、清熱瀉火、開竅醒神を目的として使用される。上記の古典方剤の構成生薬は標準的な処方構成を補記したものであり、原論文に各生薬の用量は記載されていない。

鍼灸では百会、神庭、耳周穴などを用いる通督調神法が重視され、耳鳴の軽減とともに不安、抑うつ、睡眠障害の改善が報告されている。耳穴圧豆では内耳、三焦、脾、腎、神門、皮質下などを使用し、穴位注射、頭部按摩、認知行動療法との併用も検討されている。中医学では耳鳴と不安を別個の症状としてではなく、肝鬱・心神不寧・痰瘀阻絡などに共通する病機から捉え、心身を同時に調整することが重要とされる。(馬玉平ら、2025年)

神経性耳鳴に対する中医学の辨証論治と中薬・鍼灸治療の研究進展をまとめた総説である。耳鳴の基本病機は肝・脾・腎を中心とする本虚標実であり、腎精不足による髄海失養、脾胃虚弱による気血生化不足と痰湿内生、肝鬱気滞・肝火上擾による耳竅の気血運行障害が重要とされる。実証は風邪外襲、肝胆火盛、痰濁上壅、気滞血瘀など、虚証は肝腎陰虚、脾胃虚弱、心血不足、心腎不交などに分類される。薛伯寿は五臓失和を基本病機として通補兼施・調和五臓・祛風通竅を重視し、劉喜明は陽盛、気鬱、邪壅、陰虧の四類型から瀉熱、行気、祛邪、益陰を行うとした。

中薬治療では、肝胆火盛に竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、柴胡、沢瀉、木通、車前子、当帰、生地黄、甘草)、脾胃虚弱に参苓白朮散(人参、白朮、茯苓、山薬、白扁豆、蓮子、薏苡仁、縮砂、桔梗、炙甘草)、中気不足に補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、肝腎陰虚に耳聾左慈丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、柴胡、磁石)、二至丸(女貞子、旱蓮草)、六味地黄丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)などが用いられる。心火上炎には導赤散(生地黄、木通、竹葉、甘草)、腎陰不足には左帰飲(熟地黄、山茱萸、山薬、枸杞子、茯苓、炙甘草)、心神不寧には酸棗仁湯(酸棗仁、茯苓、知母、川芎、甘草)や百合地黄湯(百合、生地黄)が使用される。また、肝鬱には沈香鬱金散、脾虚痰阻には定眩除鳴湯などの経験方も紹介されている。竜胆瀉肝湯と耳鳴順応療法の併用では、治療4週後の総有効率87.1%、半年後91.9%と報告された。上記の古典方剤の構成生薬は標準的な処方構成を補記したものであり、経験方の構成生薬および各方剤の用量は原論文に記載されていない。

鍼灸治療では少陽経を中心とする疏通経絡・活血行気・開竅聡耳が重視され、率谷への鍼刺と丹参穴位注射、敦煌『灸経図』に基づく鍼法、側頭三針と調息法、三歩通竅法、通三関鍼法、体鍼と腹鍼の併用などが報告されている。また、耳穴の神門、肝、腎、内耳などへの王不留行子圧豆、揿鍼と認知行動療法、五行音楽療法、小針刀による耳周・後頭部の筋膜緊張緩和なども検討されている。中医学では耳鳴そのものに加え、不眠、焦燥、聴力低下などの随伴症状を改善し、体質を調整することが重視される。ただし、臨床研究は小規模なものが多く、客観的評価指標も不足しているため、有効性の確立にはさらなる検証が必要である。(魏翠萍ら、2024年)

特発性耳鳴に対する中医学的治療を、臓腑辨証、体質、情志、易感因子の観点から整理した総説である。耳鳴は腎虚のみならず、心・肝・脾・肺を含む五臓の機能失調により、気血陰陽の運行が乱れ、風・火・痰・湿・瘀血が耳竅を阻滞することで発症すると考えられる。実証は風熱外襲、肝火上擾、痰火瘀結、虚証は心血不足、脾気虚弱、腎精不足、腎気虧虚に分類される。治療は調理気機・活血通竅を基本とし、辨病・辨証・辨体を組み合わせ、臓腑機能の調整と体質改善を重視する。

中薬治療では、脾気虚弱に健脾益気安神湯、肝火上擾に疏肝減鳴湯が用いられ、健脾益気安神湯の総有効率は80.88%で、西薬群の64.71%を上回った。また、耳鳴治療では葛根、丹参、川芎、香附、路路通、柴胡、石菖蒲、甘草などの行気活血・開竅薬が頻用される。裴正学は肝火上擾型に牡丹皮、黄芩、梔子、薄荷、菊花、連翹、白芍、磁石、石決明などを用い、清肝瀉熱・開鬱通竅を図っている。健脾益気安神湯と疏肝減鳴湯の構成生薬および各生薬の用量は原論文に記載されていない。鍼灸では翳風、聴宮、聴会、耳門、風池などを用い、耳穴の内耳、外耳、肝、腎、交感、内分泌などへの圧迫刺激を併用する。鍼灸と中薬の併用では総有効率89.47%、鍼灸単独では71.05%と報告され、刺絡放血、艾灸、電鍼などの併用も検討されている。

本論文の特徴は、耳鳴を体質および情志との関連から考察している点である。耳鳴患者には陽虚質、気虚質、陰虚質、気鬱質などの偏頗体質が多く、特に血瘀質、気鬱質、痰湿質は耳鳴に伴う不安状態と関連する。中医学では心藏神、肺藏魄、肝藏魂、脾藏意、腎藏志という五神理論から情志と臓腑の関係を捉え、耳鳴による不安・抑うつがさらに耳鳴を増悪させる悪循環を重視する。そのため、疏肝理気・調神安志に加え、認知行動療法、音楽療法、睡眠改善などを組み合わせることが推奨される。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、消化器疾患、片頭痛などの併存疾患や易感因子への介入も重要とされる。耳鳴治療は単なる補腎や局所治療にとどまらず、五臓調整、体質改善、情志調節を統合することが重要である。ただし、既存研究は小規模で評価基準も統一されておらず、報告された有効率については慎重な解釈が必要である。(馬海燕ら、2023年)

特発性耳鳴に対する中医学的治療を、臓腑辨証、体質、情志、易感因子の観点から整理した総説である。耳鳴は腎虚のみならず、心・肝・脾・肺を含む五臓の機能失調により、気血陰陽の運行が乱れ、風・火・痰・湿・瘀血が耳竅を阻滞することで発症すると考えられる。実証は風熱外襲、肝火上擾、痰火瘀結、虚証は心血不足、脾気虚弱、腎精不足、腎気虧虚に分類される。治療は調理気機・活血通竅を基本とし、辨病・辨証・辨体を組み合わせ、臓腑機能の調整と体質改善を重視する。

中薬治療では、脾気虚弱に健脾益気安神湯、肝火上擾に疏肝減鳴湯が用いられ、健脾益気安神湯の総有効率は80.88%で、西薬群の64.71%を上回った。また、耳鳴治療では葛根、丹参、川芎、香附、路路通、柴胡、石菖蒲、甘草などの行気活血・開竅薬が頻用される。裴正学は肝火上擾型に牡丹皮、黄芩、梔子、薄荷、菊花、連翹、白芍、磁石、石決明などを用い、清肝瀉熱・開鬱通竅を図っている。健脾益気安神湯と疏肝減鳴湯の構成生薬および各生薬の用量は原論文に記載されていない。鍼灸では翳風、聴宮、聴会、耳門、風池などを用い、耳穴の内耳、外耳、肝、腎、交感、内分泌などへの圧迫刺激を併用する。鍼灸と中薬の併用では総有効率89.47%、鍼灸単独では71.05%と報告され、刺絡放血、艾灸、電鍼などの併用も検討されている。

本論文の特徴は、耳鳴を体質および情志との関連から考察している点である。耳鳴患者には陽虚質、気虚質、陰虚質、気鬱質などの偏頗体質が多く、特に血瘀質、気鬱質、痰湿質は耳鳴に伴う不安状態と関連する。中医学では心藏神、肺藏魄、肝藏魂、脾藏意、腎藏志という五神理論から情志と臓腑の関係を捉え、耳鳴による不安・抑うつがさらに耳鳴を増悪させる悪循環を重視する。そのため、疏肝理気・調神安志に加え、認知行動療法、音楽療法、睡眠改善などを組み合わせることが推奨される。また、高血圧、糖尿病、脂質異常症、消化器疾患、片頭痛などの併存疾患や易感因子への介入も重要とされる。耳鳴治療は単なる補腎や局所治療にとどまらず、五臓調整、体質改善、情志調節を統合することが重要である。ただし、既存研究は小規模で評価基準も統一されておらず、報告された有効率については慎重な解釈が必要である。(馬海燕ら、2023年)

過去6年間の中医薬による耳鳴治療の研究を整理し、虚実辨証に基づく中薬・鍼灸治療を検討した総説である。耳鳴は五臓の機能失調と経絡・経筋の気血運行障害によって生じ、特に脾胃虚弱による清陽不升・濁陰不降が重要とされる。500例の耳鳴患者を対象とした研究では脾胃虚弱型が63%を占め、その他に肝火上擾、腎精虧損、痰火鬱結、風熱侵襲などが認められた。実証では肝火上擾、痰火鬱結、気滞血瘀、風邪外襲、肝気鬱滞、虚証では肝腎陰虚、腎虚不栄、脾胃虚弱を中心に辨証する。

中薬治療では、肝火上擾に竜胆瀉肝湯(竜胆草、黄芩、梔子、柴胡、沢瀉、木通、車前子、当帰、生地黄、甘草)、痰火鬱結に小柴胡湯(柴胡、黄芩、半夏、人参、炙甘草、生姜、大棗)と磁朱丸(磁石、朱砂、神麹)の合方、柴胡温胆湯、気滞血瘀に通竅活血湯(赤芍、川芎、桃仁、紅花、老葱、鮮姜、紅棗、麝香)、痰瘀互結に祛瘀豁痰湯などが用いられる。風寒外襲には麻黄附子細辛湯(麻黄、附子、細辛)、風熱外襲には銀翹散(金銀花、連翹、桔梗、薄荷、牛蒡子、淡豆豉、荊芥、竹葉、芦根、甘草)、肝気鬱結には逍遥散(柴胡、当帰、白芍、白朮、茯苓、炙甘草、生姜、薄荷)や四逆散(柴胡、白芍、枳実、炙甘草)、肝腎陰虚には耳聾左慈丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、磁石、柴胡)、腎精不足には六味地黄湯(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、腎陽虚水泛には真武湯(附子、茯苓、白朮、白芍、生姜)、脾胃虚弱には補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)や益気聡明湯(黄耆、人参、葛根、升麻、蔓荊子、白芍、黄柏、炙甘草)などが使用される。なお、これらの古典方剤の構成生薬は標準的な処方構成を補記したものであり、柴胡温胆湯、祛瘀豁痰湯などの具体的な構成生薬および各方剤の用量は原論文に記載されていない。

鍼灸治療では耳門、聴宮、聴会、翳風を基本穴とし、肝火上擾には太衝、侠渓、外関、神門、痰火鬱結には風池、陽陵泉、足臨泣、豊隆、内庭、気滞血瘀には頸部夾脊穴や天柱、風府、肝腎陰虚には太渓、三陰交、懸鐘、腎虚には照海、腎兪、関元、脾胃虚弱には足三里、陰陵泉、中脘、気海などを組み合わせる。肝気鬱結型では百会、率谷、瘛脈などへの瀉法を用い、情志失調を改善する。さらに、耳尖放血、電鍼、耳穴揿鍼、艾灸、推拿、五音療法、耳鳴順応療法なども併用される。特に本論文では、耳鳴を腎虚のみから捉えるのではなく、脾胃虚弱による清陽不升、少陽経の気機失調、肝鬱と情志障害、頸部経筋の緊張による気滞血瘀など、多様な病機から辨証することの重要性が強調されている。ただし、紹介された治療法の多くは個別の臨床報告に基づいており、有効性を確立するには質の高い比較試験が必要である。(邱博炜ら、2019年)

神経性耳鳴に対する中薬、鍼灸および各種外治法の臨床研究をまとめた総説である。中医学では耳鳴を肝・心・脾・肺・腎の機能失調と関連づけ、腎精虧損、脾腎両虚、気滞血瘀、痰瘀阻絡、痰火鬱結などの病機から辨証する。治療は補腎益精・健脾益気・化痰祛瘀・活血通竅を基本とし、耳竅の気血運行を改善することが重視される。

中薬治療では、痰瘀阻絡型に化痰祛瘀方(桃仁12g、紅花9g、丹参15g、川芎15g、法半夏9g、製南星9g、石菖蒲10g、茯苓10g、陳皮10g、生山楂10g、葛根10g)が使用され、30例に対する14日間の治療で総有効率90.3%と報告された。気滞血瘀型には聡耳通竅湯とエスタゾラムの併用により耳鳴症状および爪郭微小循環の改善が認められ、腎精虧損型には益腎活血通竅湯と西薬の併用で45例中95.56%、脾腎両虚兼痰瘀内阻型には骨参舒耳湯とビタミンB12穴位注射の併用で75例中98.67%の総有効率が報告された。聡耳通竅湯、益腎活血通竅湯、骨参舒耳湯の構成生薬および用量は原論文に記載されていない。

鍼灸治療では、辨証取穴、局所と遠隔の配穴、経筋上の阿是穴、発症時刻に基づく取穴などが検討されている。特に『黄帝内経』に由来する発蒙鍼法は、得気後に患者が閉口して頬を膨らませ、術者が外耳道を指で塞ぎながら捻鍼し、その後急に指を離す操作を繰り返して耳竅を通じさせる方法であり、総有効率90.3%と通常鍼刺の74.2%を上回った。また、電鍼、腹鍼、温鍼灸、穴位埋線、穴位注射、頭鍼、耳鍼、耳尖放血、推拿、耳管灸などの併用療法も紹介されている。腹鍼と中薬の併用では耳鳴、抑うつ状態および聴力の改善が報告され、耳鍼では腎、皮質下、内耳、外耳、肝、胆、三焦などが用いられる。痰火鬱結型には耳尖放血、頑固な耳鳴には率谷穴への鍼刺と局所推拿、腎虚型には温補を目的とした灸法が応用される。

腎精虧損型に対する隔薬灸では、補腎益精散(熟地黄15g、杜仲12g、山薬12g、菟絲子9g、山茱萸12g、丁香9g、附子9g)を粉末にして生姜汁で練った薬餅を使用し、60例で総有効率95%と報告された。さらに、耳管灸は艾灸の温熱を耳内に伝えて温通経絡・行気活血を図る方法であり、管氏耳病六聡穴(翳聡、耳霊、聴会、角孫、翳風、聴宮)への鍼刺と天竺灸の併用では総有効率95%と報告された。本論文は、神経性耳鳴を単なる腎虚ではなく五臓の失調と気血・痰瘀の病態から捉え、中薬と鍼灸を組み合わせた個別化治療の重要性を示している。ただし、各研究は小規模で、診断・効果判定基準の不統一、無作為化や盲検化の不足、長期追跡の欠如などがあり、報告された高い有効率をそのまま確立した治療効果とみなすことはできない。(畢婷婷ら、2019年)

過去10年間の耳鳴に対する中医学的治療を整理し、従来の腎虚中心の治療から、肺・脾胃・肝胆・心を含む五臓辨証への展開を論じた総説である。耳鳴の病機には腎精不足、脾胃虚弱、肝胆火熱、風邪外襲、痰火鬱結、陽盛内熱、血虚血滞などがあり、各臓腑の失調によって耳竅の気血運行や濡養が障害される。腎虚では腎精不足による耳絡失養、脾胃虚弱では清陽不升・気血生化不足と痰湿内生、肝胆病変では肝気鬱結・肝胆湿熱による耳竅への火熱上擾、肺病変では風邪外襲による肺失宣降・気機閉阻、心病変では心血不足による耳竅失養や心火上炎が重要とされる。特に脾胃については、脾虚による清陽不升が耳鳴の重要な原因であり、補腎治療だけでなく健脾益気・升清降濁を組み合わせる必要性が強調されている。

中薬治療では、腎精不足に六味地黄湯を基本として製何首烏、枸杞子、白芍、当帰などを加え、補腎填精・養血通竅を図る。脾胃虚弱には補中益気湯による益気升陽、肝胆火熱には柔肝定眩止鳴湯や天麻鈎藤飲と耳聾左慈丸の合方、肺経風邪には疏風宣肺・通利耳竅、心火上炎には大黄黄連瀉心湯による清心瀉火が用いられる。天麻鈎藤飲と耳聾左慈丸の併用では神経性耳鳴68例に対して総有効率78.9%と報告された。また、肺経風邪による清竅閉阻には石菖蒲と蝉退の配伍が紹介され、心火亢盛と腎陰不足が併存する場合には、まず清心瀉火を行い、その後に滋補腎陰を図る「瀉離填坎法」が提唱されている。六味地黄湯(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓)、補中益気湯(黄耆、人参、白朮、炙甘草、当帰、陳皮、升麻、柴胡)、天麻鈎藤飲(天麻、鈎藤、石決明、梔子、黄芩、牛膝、杜仲、桑寄生、益母草、茯神、夜交藤)、耳聾左慈丸(熟地黄、山茱萸、山薬、沢瀉、牡丹皮、茯苓、磁石、柴胡)、大黄黄連瀉心湯(大黄、黄連、黄芩)の構成生薬は標準的な処方構成を補記したものであり、柔肝定眩止鳴湯の構成生薬および各方剤の具体的用量は原論文に記載されていない。

鍼灸治療では、腎経だけでなく手少陽三焦経を中心とした耳周経絡の疏通が重視され、耳門、聴宮、百会などへの鍼刺、子午流注納甲法、電鍼、穴位注射、耳穴圧迫、艾灸、導引などが紹介されている。顱息穴への穴位注射では総有効率81.63%、耳穴圧迫と中医辨証治療の併用では41例中92.68%、改良鳴天鼓法では74.19%の総有効率が報告された。また、葦管灸や補腎益精散を用いた隔薬灸などの温通経絡・補腎益精を目的とする治療も検討されている。情志面では、心藏神、肺藏魄、肝藏魂、脾藏意、腎藏志という五神理論から、怒・憂・思慮などの情志失調が五臓を介して耳鳴に影響すると考えられる。著者らは、耳鳴を単なる腎虚や耳局所の病変として捉えず、五臓の機能失調、気血陰陽の偏り、情志との関連を総合的に辨証することが重要と結論づけている。ただし、耳鳴は主観的症状であり、辨証や効果判定の標準化が不十分であるため、治療効果の客観的検証が今後の課題とされる。(李臻ら、2019年)

神経性耳鳴に対する西洋医学および中医学の診断・治療の現状を整理した概説である。神経性耳鳴は耳鳴に加えて聴力低下、耳痛、不眠、注意力低下、精神的疲労、情緒障害などを伴い、長期化すると日常生活や社会生活に大きな影響を及ぼす。西洋医学的治療として、心理的介入、内耳循環改善、神経機能の調整、局所光照射療法などが紹介されているが、著者は発症機序の解明が不十分であり、確立された特異的治療法が乏しいことを指摘している。

中医学的治療では、疏通経絡・調和気血・通利耳竅を基本として、鍼灸、穴位注射、推拿按摩などが紹介されている。鍼刺では聴宮、翳風、中渚、侠渓などを用い、経絡を疏通して耳竅の気血運行を改善する。隔薬灸では石菖蒲、鬱金、半夏、氷片を生姜汁で練った薬餅を使用し、聴宮、聴会、完骨、天柱などに施灸する。穴位注射ではビタミンB1、ビタミンB12、丹参注射液、黄耆注射液、プロカインなどを聴宮、聴会、翳風、完骨、腎兪などに使用し、経絡気血の調整と局所循環の改善を図る。推拿按摩では耳部、内耳、神門、腎、屏間、側頭部などの耳穴を刺激する。さらに頭鍼、電鍼、中薬と鍼灸の併用なども紹介されている。薬餅に使用する各生薬の具体的な用量は原論文に記載されていない。

本論文では中医学的な臓腑辨証や病機の詳細な分類、内服方剤の構成、具体的な治療成績は示されておらず、外治法を中心とした治療手段の紹介にとどまっている。著者は、神経性耳鳴の病因・病態に関する研究不足、治療法の選択肢の少なさ、医療者の認識不足を課題として挙げている。ただし、各治療法の有効性を検証する比較試験や定量的な成績は提示されておらず、治療効果については慎重な評価が必要である。(馮志涛、2019年)

過去5年間の耳鳴に対する鍼灸と薬物療法の併用研究を整理した総説である。中医学では耳鳴を五臓六腑の失調と経絡の気血運行障害によって生じる病態と捉え、脾胃虚弱による清陽不升、腎精不足による耳竅失養、肝火上擾、痰濁阻絡、気滞血瘀などが重要とされる。治療は辨証論治を基本とし、鍼刺による疏通経絡・通利耳竅と、中薬による平肝潜陽・化痰祛瘀・活血通絡・補益肝腎を組み合わせる。鍼刺では耳門、聴宮、聴会、翳風などの耳周穴と手足少陽経を中心に、百会、四神聡、風池、外関、太衝、足三里、三陰交などを配穴する。

鍼薬併用の臨床研究では、自擬方(柴胡15g、葛根30g、法半夏10g、胆南星10g、黄耆30g、丹参20g、皂角刺10g、全蝎3g、紅花10g、枸杞子15g、桑寄生15g)と鍼刺の併用で総有効率90%、肝火上擾型に竜胆瀉肝湯と耳根、耳門、聴宮、聴会、翳風、合谷への鍼刺を併用した研究では91.9%で、中薬単独群の78.9%を上回った。また、活血化瘀を目的とした処方(桃仁15g、紅花15g、川芎15g、葛根25g、鶏血藤25g、赤芍15g、白芍20g、磁石30g〔先煎〕、水蛭5g)と鍼刺の併用では40例中92.5%の総有効率が報告された。腎精虧虚型には耳聾左慈丸加味と鍼刺の併用で88.89%、中薬単独では69.09%であった。なお、竜胆瀉肝湯、耳聾左慈丸加味の具体的な構成生薬と用量は原論文に記載されていない。

西薬との併用では、ベタヒスチン、メコバラミン、フルナリジンなどに鍼刺を組み合わせ、頸源性耳鳴には項八穴と耳周穴を中心に治療する。穴位注射では聴宮、聴会、翳風、耳門などにビタミンB12、紅花注射液、リドカイン、山莨菪碱などを使用し、鍼刺との併用で85.7~98.6%の総有効率が報告されている。さらに、湧泉や神闕への穴位貼敷、頭鍼、電鍼、中薬・西薬・鍼刺を組み合わせた総合療法も紹介され、滋腎聡耳方と鍼刺の併用では79.06%、養血清脳丸と頭鍼の併用では95.94%の総有効率が報告された。滋腎聡耳方の構成生薬および用量は原論文に記載されていない。

著者らは、鍼薬併用によって内外から耳竅の気血運行を調整し、単独治療より良好な効果が期待できると論じている。一方、鍼刺と薬物の相互作用は十分解明されておらず、併用が必ずしも相乗効果を示すとは限らない。また、耳鳴の病因や辨証分類、効果判定基準が統一されておらず、長期追跡研究も不足している。今後は辨証の標準化、併用療法の最適な組み合わせと用量の検討、長期的な有効性・安全性の検証が必要とされる。(趙暁倩ら、2018年)

耳鳴に対する中薬内服、鍼灸、穴位注射および総合療法の臨床研究をまとめた総説である。中医学では耳鳴を脾胃虚弱による清陽不升・気血不足、肝腎陰虚・腎精不足による耳竅失養、肝胆火旺による火熱上擾、気虚血瘀による耳絡阻滞などから辨証し、益気升陽・補益肝腎・清肝瀉火・活血化瘀・通利耳竅を治療原則とする。

中薬治療では、補中益気湯加減による36例の治療で総有効率88.9%、聡耳湯加味による肝腎陰虚型耳鳴、竜胆瀉肝湯による鼻咽癌放射線治療後の耳鳴、補陽還五湯加減による神経性耳鳴、益気聡明湯加減による50例の治療などが報告されている。益気補腎活血通竅湯(黄耆30g、丹参30g、葛根30g、当帰15g、川芎15g、熟地黄15g、枸杞子15g、黄芩15g、柴胡12g、石菖蒲12g、鬱金12g、甘草6g)では22例中90.91%、益腎柔肝通絡湯(熟地黄30g、山茱萸30g、川芎20g、葛根20g、丹参20g、石決明20g、白芍15g、当帰15g、路路通15g、牛膝15g、桔梗12g、石菖蒲12g)では総有効率93%と報告された。また、益気補腎活血開竅湯(葛根30g、磁石24g、丹参15g、香附15g、赤芍15g、桃仁10g、路路通10g、柴胡10g、川芎6g、当帰6g、紅花5g、地竜5g)による43例の治療では総有効率95.5%であった。補中益気湯加減、聡耳湯加味、竜胆瀉肝湯、補陽還五湯加減、益気聡明湯加減の具体的な構成生薬と用量は原論文に記載されていない。

外治法では、耳門、翳風、聴宮、聴会、百会、神庭、太渓、外関、懸鐘、風池、完骨などへの鍼刺が用いられ、総有効率80.6~93.3%と報告された。温鍼灸では中白・下白、あるいは百会・風池・翳風・聴宮などを使用し、通常鍼刺や西薬治療より良好な結果が示されている。穴位注射では顱息、耳迷根、翳風、聴宮などに天麻素、葛根素、糖質コルチコイド、複方麝香注射液などを使用する。顱息穴への天麻素注射では総有効率81.63%であったが、糖質コルチコイド群との有意差は認められなかった。

総合療法では、耳聾1号(熟地黄、山薬、牡丹皮、酒製山茱萸、煅磁石、枸杞子、丹参、醋製五味子、路路通、石菖蒲、鈎藤、製遠志、沢瀉)と温鍼灸の併用で総有効率92.3%、体鍼と耳穴埋鍼の併用で93.3%と報告された。また、呉茱萸を湧泉穴に貼付し、益気通竅湯加減を内服する方法も紹介されている。耳聾1号および益気通竅湯加減の各生薬用量は原論文に記載されていない。著者らは、中医治療には多様な選択肢があり良好な臨床成績が報告されている一方、耳鳴の客観的評価法、統一された効果判定基準、大規模臨床研究および長期追跡が不足しており、有効性の確立にはさらなる検証が必要と結論づけている。(鄭妍妍ら、2018年)

神経性耳鳴に対する中薬治療、中西薬併用、鍼灸、鍼薬併用の臨床研究を整理した総説である。中医学では耳鳴を風邪外襲、肝胆火盛、痰火上擾、痰湿阻竅、脾胃虚弱、腎精虧虚などに辨証し、祛風清熱・化痰開竅・補腎填精・健脾升陽・疏肝理気・活血通絡を治療原則とする。特に脾胃を気機升降の枢軸と捉え、脾胃虚弱による清陽不升・濁陰不降が耳竅の失養を引き起こす病機を重視している。また、肝・脾・腎の三臓を中心とした辨証論治が紹介されている。

中薬治療では、通竅止鳴湯加減による47例の治療で総有効率74.5%、疏肝通竅安神法(柴胡、鬱金、五味子、酸棗仁、石菖蒲、丹参)による50例の治療で80%、清肝通竅湯による86例の治療で97.6%、養陰滋腎方による70例の治療で97.1%と報告された。腎虚肝鬱型には知柏地黄湯と丹梔逍遥散の合方、腎精虧虚型には葛丹地黄湯が用いられた。脾胃を中心とする治療では、333例を対象とした研究で耳鳴評価尺度の改善が認められ、脾虚湿滞型に升陽益胃湯を使用した40例では総有効率87.5%で、西薬対照群の67.5%を上回った。また、益気升陽法として四君子湯と二陳湯の合方に石菖蒲、葛根、升麻、荷葉を加えた46例の治療も紹介されている。各方剤の具体的な生薬用量は原論文に記載されていない。

中西薬併用では、腎精虧損型に益腎活血通竅湯とフルナリジン、γ-オリザノールを併用し、総有効率82.9%で西薬単独群の54.7%を上回った。また、腎陰虚型に滋腎聡耳方と血管拡張薬・神経栄養薬を併用した研究では79.06%の総有効率が報告された。鍼灸治療では、升清降濁開竅鍼法による30例の治療で90.0%、聴会、完骨、頭竅陰、暈聴区、天窓、百会などへの鍼刺で88.8%、温鍼灸で96.88%、電鍼で92.0%の総有効率が報告されている。鍼刺は疏通経絡・調和気血によって耳竅の機能を改善すると考えられ、聴覚中枢におけるGABAやセロトニン系への作用も仮説として紹介されている。

鍼薬併用では、骨参舒耳湯と電鍼による40例の治療で総有効率97.5%、形神同治を重視した鍼薬併用による46例の治療で95.6%、通寧散と鍼灸の併用による60例の治療で76.67%と報告された。骨参舒耳湯、通寧散、滋腎聡耳方などの構成生薬および用量は原論文に記載されていない。著者らは、耳鳴治療において補腎法だけでなく、脾胃の升降機能を調整する健脾升陽法、肝鬱や痰湿に対する疏肝化痰法、鍼灸による経絡疏通を組み合わせる重要性を指摘している。一方、病因病機や治療作用機序の解明、辨証分類の標準化、大規模臨床研究、長期的な治療効果の検証が不足しており、報告された高い総有効率をそのまま確立した治療効果と判断することはできない。(周文ら、2016年)

耳鳴・耳聾に対する中医学的治療の研究動向を、穴位治療と方剤治療を中心に整理した総説である。中医学では耳鳴・耳聾を耳竅の気血運行障害や臓腑機能の失調と関連づけ、経絡疏通・調和気血・補益臓腑を基本として治療する。特に鍼灸などの穴位治療と、中薬による辨証論治を組み合わせた治療法が紹介されている。

穴位治療では、微波による耳周穴刺激、穴位注射、耳穴埋圧などが報告されている。微波治療では聴宮、聴会、翳風などを刺激し、穴位注射では耳周の経穴を用いて局所循環の改善を図る。耳穴埋圧では耳穴への持続刺激を行い、治療成績の改善が報告されている。ただし、これらは個別研究の報告であり、有効性が確立されたことを意味しない。

方剤治療では、益気聡明湯加減が紹介されている。脾胃虚弱による清陽不升、気血不足に伴う耳竅失養を改善する目的で、益気升陽・通利耳竅を図る治療である。益気聡明湯の一般的な構成生薬は黄耆、人参、葛根、升麻、蔓荊子、白芍、黄柏、炙甘草であるが、これは標準的な処方構成の補足であり、原論文には各生薬の構成・用量は記載されていない。また、中薬と心理的介入を組み合わせた治療も紹介されており、耳鳴に伴う精神的負担の軽減を重視している。著者は、中医学的治療には一定の臨床的可能性があるものの、治療法ごとの評価基準や研究方法にばらつきがり、さらなる臨床研究が必要と結論づけている。(魏聡蘭、2015年)