カルシウムサプリメント
まとめ:骨粗鬆症や脊柱側弯症に対して、ビタミンDサプリメントが推奨されています。
議論はあるもののカルシウムサプリメントについては、心血管リスクを上げるリスク、ミルクアルカリ症候群(腎不全、便秘)のリスクが指摘されています。カルシウムサプリメントの過剰摂取による活性型ビタミンD低下のリスクも指摘されています。
661のレポートから18の論文のメタアナリシスを行い、ビタミンDの有無に関わらずカルシウム補給は高齢女性の冠状動脈性心臓病による死亡リスクを増加させないことを総括しました。(2015年、Lewisら)
カルシウムサプリメントの使用が心血管疾患のリスクの増加させるという仮説は、医学的な証拠が不十分であると総括されています。(2012年、Heanayら)
17の研究を総括して、ビタミンDの補給は心血管疾患死亡率の有意な減少を示すのに対して、カルシウムの補給は心血管疾患死亡率への効果が無いことを総括しました。(2010年、Wangら)
カルシウムサプリメントが心血管イベントのリスクを高める可能性があるという懸念がいくつかありますが、証拠は決定的ではないと総括されています。(2019年、Heraviら)
11,921人のデータを元にしたメタアナリシスで、カルシウムサプリメントの使用が心筋梗塞のリスクが27%〜31%増加し、脳卒中のリスクが12%〜20%増加することを報告しました。カルシウムサプリメントによる心血管リスクの増加は、循環カルシウム濃度の上昇を正常集団の心血管疾患に関連付ける疫学データと一致しています。これらの影響には、血管石灰化、血管細胞、血液凝固、カルシウム感知受容体への影響など、いくつかの病態生理学的メカニズムが考えられます。したがって、カルシウムサプリメントの心血管リスクは、骨格への利点を上回っているように見え、他の骨粗鬆症治療には不要であると考察しています。(2013年、Reid)
15の論文のメタアナリシスにて、ビタミンDを併用しないカルシウムのサプリメントは、心筋梗塞のリスクを増加させることを報告しました。(2015年、Bollandら)
3,282人の地域在住の閉経後女性を対象としたカルシウムとビタミンDの投与と心血管リスクとの関係を調べました。ビタミンDを含むまたは含まないカルシウムサプリメントは、心血管イベント、特に心筋梗塞のリスクを増加させることを報告しました。(2011年、Bollandら)
カルシウムサプリメントは、胃腸の副作用、特に便秘を引き起こし、腎臓結石のリスクを高め、心臓発作を約20%増加させます。低用量のビタミンDは安全ですが、4000 IU /日を超える用量は、より多くの転倒や骨折に関連しています。現在の証拠は、健康な地域在住の成人におけるカルシウムまたはビタミンDサプリメントの使用をサポートしていないと総括しています。(2020年、Reid)
食事によるカルシウムの多量摂取 (>2,000 mg/日) は、前立腺がんのリスク増加と関連しています。この関連性は、25-ヒドロキシビタミン D から 1,25-ジヒドロキシビタミン D への変換が減少するため、活性型 1,25-ジヒドロキシビタミン D の濃度が低いことに起因すると考えられています。(2006, Smith)