脊柱側弯症の栄養・運動

まとめ:脊柱側弯症では、運動療法の有効性は結論が出ていますが、栄養関係は明確な結論は出ていません。

骨塩密度を上げ、コアマッスルの強化のために、ビタミンD、ミネラル、動物性タンパク質の補給、GFCF食が推奨されています。

青年期特発性脊柱側弯症の患者229人と年齢を一致させた対照389人のビタミンDレベルを比較して、ビタミンDレベルは脊柱側弯症グループで低いことが指摘されています。ビタミンDレベルは血清Caレベルと正の相関があり、コブの角度と負の相関があり、脊柱側弯症の病因におけるビタミンDの役割の重要性が報告されています。(2017年、Baliogluら

香港で実施された一連の研究は、脊柱側弯症の患者の30%が骨減少症を患っていることを示しています。25-ヒドロキシビタミンD3レベルは、健康な青年の骨密度(BMD、bone mineral density)と正の相関があり、青年期特発性脊柱側弯症の患者のコブ角と負の相関があることがわかっています。(2018年、Ngら

脊柱側弯症リスクとビタミンD受容体(VDR)遺伝子多型の間に有意な関連が報告されています。(2018年のYinら2010年のSuhら

脊柱側弯症の遺伝については、単純な遺伝形式では説明が出来ないが、近親者での遺伝が数多く報告されています。最終的な結論は出ていません。(1967年のDe Georgeら2012年のGormanら

脊椎矯正手術の準備をしている脊柱側弯症の小児患者では、血清ビタミンD25レベルが低いことが報告されています。(2017年、Mayesら

脊柱側弯症に関する20の研究で、低い骨塩密度(BMD)が一般化された現象であり、脊柱側弯症の体系的な障害であることが示されています。(2008年、Liら)最新の研究でも、脊柱側弯症の低い骨塩密度(BMD)が指摘されています。(2019年のSaliogluら2021年のAlmomenら2020年、Liら

青年期の血清25(OH)D濃度は、骨塩密度(BMD)と相関することが報告されています。(2021年、Songら

一般的に骨塩密度(BMD)と血清25(OH)D濃度とは相関しておらず、bioactive vitamin D濃度(1,25ジヒドロオキシD)と相関することが指摘されています。(2018年、Allisonら

骨塩密度(BMD)は高用量のビタミンDサプリを投与しても、改善しないことが報告されています。(2019年、Burtら

セリアック病では、小腸の高度の絨毛の萎縮のためにカルシウムの吸収が出来ないために、骨塩密度(BMD)の低下がありますが、グルテンフリー・カゼインフリー食で改善することが報告されています。(1998年のMoraら2006年のTauら

低い骨塩密度(BMD)に対してビタミンC(2020年のZengら2018年のMalmirら)、ビタミンB12(2005年、Tuckerら)、カルシウム、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンK(2015年、De Jongeら)の重要性が指摘されています。

低い骨塩密度(BMD)に対して地中海式ダイエットの有効性が報告されています。(2016年、Chenら

栄養状態に問題があると思われる発展途上国では、重篤な脊柱側弯症が見られることが指摘されています。(2018年、Soliman

骨塩密度に対する食事の影響を調べた37,134人の参加者を含む20の研究のメタアナリシスで、雑食主義者と比較して、菜食主義者と完全菜食主義者は大腿骨頸部と腰椎のBMDが低く、完全菜食主義者も骨折率が高いことが報告されています。(2019年、Iguacelら

カルシウム+ビタミンDの補給が脊柱側弯症の骨強度を改善できる可能性が指摘されています。(2017年、Lamら

脊柱側弯症の患者が、ビタミンD、カルシウム、メラトニンの同時投与で改善する可能性を指摘しました。(2022年、Herdeaら

近年の総論では、カルシウムサプリメントは心血管リスク、特に心筋梗塞を上昇させる可能性がある一方で、食事源からのカルシウム摂取はそれらのリスクを十分に増加させないと総括されています。(2020年、Yangら

血清亜鉛は変化なく、特発性脊柱側弯症患者の背筋の亜鉛含有量の有意な減少が観察されました。(1990年、Dastych

特発性脊柱側弯症の患者において、血清中の亜鉛、銅、セレン、アルブミン、セルロプラスミンの濃度、および赤血球中のスーパーオキシドジスムターゼとグルタチオンペルオキシダーゼの活性を調べた結果、セレン濃度の有意な減少が報告されています。(2002年、Dastychら

脊柱側弯症患者の毛髪は、亜鉛および銅の含有量が大幅に増加し、セレンの含有量が減少していることが報告されています。(2008年、Dastychら

脊柱側弯症に対するシュロス運動の有効性が15の論文の総括されています。(2017年、Parkら

9つの研究を総括してコア強化技術(コアマッスルとは脊柱を安定して動かす筋肉)の脊柱側弯症に対する運動療法の有効性が総括されています。この運動にはシュロスエクササイズ(矯正運動を伴う)、脊椎の安定化と強直性反重力筋トレーニングの強化に関する脊柱側弯症への科学的運動アプローチ、体幹の姿勢を改善することを目的としたスイスボールの運動からなるピラティスメソッドが含まれていました。(2021年、Liら